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「非道の独裁者」――日本人の多くが抱くスターリンのイメージだろう。一九二〇年代末にソ連の指導的地位を固めて以降、農業集団化や大粛清により大量の死者を出し、晩年は猜疑心から側近を次々逮捕させた。だが、それでも彼を評価するロシア人が今なお多いのはなぜか。ソ連崩壊後の新史料をもとに、グルジアに生まれ、革命家として頭角を現し、最高指導者としてヒトラーやアメリカと渡りあった生涯をたどる。
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Posted by ブクログ
スターリン 「非道の独裁者」の実像 著:横手 慎二 中公新書 2274 スターリンがヒトラーとともに20世紀を代表する独裁者である だがヒットラーは死に、スターリンは、その生を全うした 農民を弾圧し、急速な工業化を成し遂げ、欧米に対抗する力を得たソ連は、反体制派や非協力者をシベリアに抑留して体制を...続きを読む維持した。それは、スターリンの指示によるものだった。 気になったのは、以下です ■スターリンの成長 ・スターリンとは、鋼鉄の人を意味する。本名は、ソソという ・レーニンの片腕となり、革命家として成長していく ・レーニンたちは、ヨーロッパの同士と連携して革命を進めてしようとしたが、スターリンは、ロシア一国で革命を進めることを目指した 共産党の変容 ・共産党の階層化 ・国家機関の再編、共産党の一党支配へ ・国家機関の共産党による人事権の掌握 ■スターリンの功績 ソ連を農業国から、工業国へと転換するために、漸進的な工業化政策の転換 ・ソ連は列国に対抗するために、速やかに工業化を目指さなければならなかった ・そのためには、農産物を売って、外貨を稼ぎ、水力発電所や鉄道を建設した ・農産物を隠そうとした農民を弾圧し、抵抗したものを、シベリアに流刑にし、また、粛清した ・重工業部門への投資を優先したがために、軽工業への投資がおざなりになり、日用品の不足が慢性化した 飢饉 ・農民から穀物を収奪した結果、ウラルやウクライナ、ヴォルガ地方で飢饉が始まった ・農民が、農村から出て行くことを禁止し、極秘指令を出し、北カフカースやウクライナの農民を弾圧した ・飢饉でなくなったのは400万人から500万人と推定される、それは、第一次世界大戦で死亡したロシア国民より多くのソ連人が命を落としたのである 大粛清 ・処刑された女性は数万に及ぶ ・その中には、政治犯以外にも、聖職者や海外に親類縁者を持つ者、敵側の諜報員と連絡を取っているのではないかと疑われて、弾圧されて人々も入っている ・こうして、政治的な理由で逮捕されたのは、134万人に達し、そのうち68万人余りが処刑された 強制移民 ・中央アジアの少数民族の強制的追放政策を強力に推し進められた ・この地域に住んでいた、チェチェン人、ツングース人、バルカル人、カラチャイ人、カルムイク人は、ドイツ兵に協力した者がいたとして、これらの民族をはるか遠方に追放する策を勧めた ・ソ連国内の朝鮮人、ヴォルカ地域のドイツ人、バルト地域の3民族、ポーランド人などソビエト体制の敵になる可能性があるとみなした民族に対して、同様の追放措置をとってきた ・第二次世界大戦後、ユダヤ人排斥運動がおきた フルシチョフのスターリン批判 ①スターリンの粗暴さ ②キーロフ暗殺以降の大粛清 ③第二次世界大戦期のスターリンの失敗 ④戦中、戦後の個人崇拝 戦後のスターリンの妄想 ・戦後のソ連は、ドイツと日本からの報復攻撃を極端に恐れていた 目次 はじめに 第1章 ゴリの少年 第2章 カフカースの革命家 第3章 コーバからスターリンへ 第4章 ロシアの革命と内戦 第5章 権力闘争の勝者 第6章 最高指導者 第7章 ヒトラーとの戦い 第8章 アメリカとの戦い 終章 歴史的評価をめぐって おわりに 主要参考文献 スターリン関連年表 主要人名索引 ISBN:9784121022745 出版社:中央公論新社 判型:新書 ページ数:320ページ 定価:900円(本体) 2014年07月25日初版 2018年08月30日6版
ロシアの源流?
悪の権化といえば思考停止。そんな自分が本人に迫った。実は多くの知識や思想が彼を作り上げていた。必読すべし
#タメになる
あらゆる世界史に出てくる登場人物の中で最もヤバイ人「スターリン(鋼鉄の人)」の出生から没後まで。 私達非ロシア人のぼんやりとした「独裁・粛清・虐殺の歴史的極悪人」と現代のロシア人一般市民との間でどうしてこれ程スターリンの評価に乖離があるのか(未だに人気は高いとか、賛否両論分かれるとか、少なくともシ...続きを読むンプルに完全無欠の最大悪呼ばわりされることはない未解決の歴史評価といえる)に一つの納得を与えてくれる実に良いバランスの本。 敬虔な母に良かれと思って神学校へ進められた美しい詩を紡ぎ比較的優等生といえるグルジア人少年「ヨシフ・ジュガシヴィリ」から体制(少年の彼にはとってそれは例えば神学校だ)への不審とそれでも母との親密さ故にそう簡単に爆発には至らぬ葛藤を持つ「ソソ(冒険小説から)」へ、反骨の問題児となり退学後は猛烈なロマン・理想・美意識・思想そして不屈の実行力をもとに革命やひたすら邁進する「コーバ(冒険小説から)」そしてついに至る「スターリン(鋼鉄の人:の意、ジュガシヴィリよりはよりロシア人らしい響きではあるものの普通人名に使う言葉ではないという)」への道、そして第二次世界大戦・冷戦・没後の歴史的評価の混乱へと進む。 特にやや「ロマンに過ぎる」ところすら感じる使命感に燃えた革命思想の「コーバ」時代の、常人なら絶対に折れている度重なる流刑とシベリア送り、その度の脱走と、内部からの密告で破られる何度でも破られる変装(本当に何なんだこの不屈の精神力は)、死を覚悟して金を無心する程の(しかもその手紙を送った相手は実はスパイだった)状況に追い詰められ、当然の如く陥る人間不信故のロマンからリアリズムの人「スターリン」へと至る道は凄まじい。 スターリンに至る頃にはロマンや理想といった遥か彼方の「目的」の為にはもはや一切の「手段」を選ばぬ歩くリアリズム、文字通り鋼鉄の人に至っており、その際の高速で180°転換も厭わない実行手腕の貫徹したリアリズムからはもはやロマンの欠片も感じられない。「ソヴィエト」絶対死守の目的とした工業化の為に、これ程大量の人命を失う事への躊躇の無さ、権力闘争を勝ち抜く為のあらゆる手段のこれまた躊躇の無さ、ロマンなき故に誰にも信頼も寄せずよくもまぁこれ程までと驚く程の徹底的な粛清、晩年のヒトラーの姿もやや感じさせる噴出する猜疑心と狼狽の姿に、やはり私の少ない世界史知識の中ではあらゆる意味で最も「ヤバイ」人であることが再確認出来たと思う。 ではスターリンがいなかったらロシア・ソヴィエトはどうなっていたのか?「歴史にifはない」というこの「歴史のif」と現実に向き合い続けなければいけなかったのがスターリン亡き後のソヴィエト連邦であり現在のロシアである。これに比べれば「ヒトラーがかの交通事故で死亡していたら」のifや、「神国日本ではない大日本帝国」のifの方がまだ簡単に見える程の大難題に感じる。前者は少なくともホロコーストは起きなかったであろうし、なんといっても前者も後者あそこまでヤラかしてドイツも日本も「敗けて」いるのである。しかしスターリンはありとあらゆるものを犠牲にしながら工業化を押し進め、歴史に残る甚大なる犠牲の上で戦争に「勝った」のだ。ではロシア・ソヴィエトはあの状況であの工業化なくして勝利はあったのか(ここにはヒトラーが存在するという前提があり、ifは二重になり更にややこしい)?では戦争に勝利できたならこれ程の犠牲は「致し方なかった」で済む話なのか?ではゴルバチョフが声明を出したように「良いところも悪いところもあった」で済むような次元の話なのか?現在も続くスターリンに対する正当な歴史的評価は最後まで読んでも私には判断出来なかった。 とはいえ、今でもロシア国内でスターリンの評価がこうして国内外とで大きく分かれる理由の一旦は確実に一つ掴むことが出来た実感がある。 本書は資料の少ない少年・青年時代の動向をよくぞここまで詳細に、という点もありつつも、むしろ資料が揃っているはずの「スターリン」時代の動向・思考への記述の少なさがやや気になるものの、著者としては「それは既にありとあらゆる世界で論じられきっているので」という前提なのだろうと納得し、己の基礎知識の無さを恥じ入るのみである。 個人的に、これで大日本帝国・ナチス ヒトラー・ソヴィエト スターリンについての書籍をざっと読み終えたことになるけれど、こうなるとその前提としての世界大恐慌が社会に与えたインパクトと、スターリンに続く毛沢東の知識がなければ理解できないことが多すぎることに気付き(そしてもちろんチャーチルにルーズベルトにも理解が足りない)、読めば読むほど分からない部分が増えていく混乱にのまれている正月だった。
【スターリンは今もなおロシアと外部世界の間にあって、両者の関係を示す重要な指標なのである】(文中より引用) 「非道な独裁者」として語られる一方、少なくない数のロシア国民から今なお高く評価されているスターリン。ロシアという窓を通し、スターリンについて、そしてスターリンという窓を通してロシアについて思...続きを読む考を巡らせた作品です。著者は、『東アジアのロシア』等を世に送り出している横手慎二。 これまで数多くの評伝が数多くの評価と共に著されてきたスターリンですが、近年までに公開された資料に基づき、その評価の幅までをも射程に収めて概観した有意義な作品。スターリンという人物がどのようにロシアにおいて語られているかを考える上でとても参考になりました。 コンパクトにまとまっていて☆5つ
終章に書かれてあるロシア人のスターリンに対する評価が興味深いです。 これほど手軽にまとまった形でスターリンについて読めることに感謝。 追記)最近某政党の最高幹部がスターリンについてインタビューに答えたものを目にする機会があったけど、この本を読んでから見たせいか、「お気楽だな、おい」という感想しか出て...続きを読むこなかったです。
有名すぎるソ連の独裁者、その生涯と、その行動に対する分析、国内と諸外国の評価など、多岐にわたる視点から書かれています。スターリンとはどういう人だったのか、なぜあのような判断・行動をしたのか。当時の帝政ロシアからソビエト連邦への変遷の中での人々の思い、希望なども交えつつ書かれていますので、非常に分かり...続きを読むやすかったです。
“スターリン”の少年期から晩年に至るまで、様々な研究や論考や史料に依拠しながら、行動と性格、或いは行動の理由と性格形成のようなことも交えて語っているものである。また全般に、「スターリン視点で語るロシア革命と大戦間期と第2次大戦や戦後の通史」という体裁でもあり、非常に興味深い。
青年期から殺伐とした革命運動に身を投じた結果、政治における組織論の重要さに早くから気づき、また組織内の敵・味方を峻別する鋭敏な感覚を身に付けていったスターリン。その結果、彼は革命成就後も「社会主義-資本主義」という国家外部におけるイデオロギーの対立を国家組織内部の「体制-反体制」という構図に投影して...続きを読むしまう。これが第一次世界大戦におけるそれよりも多くのロシア国民犠牲者を出し、後世まで彼の評価が定まらない最大の原因である「大粛清」に繋がったと著者はみる。 本書の出色はレーニン没後の共産党内部における権力闘争の記述。第一次世界大戦により荒廃した産業の再建策についての深刻な対立の結果、スターリンが政敵として後に追い落とすトロツキー等の主張に結局は沿った形で(しかし方法としては比較にならないほど苛烈なやり方で)農業を犠牲にし工業の発展を優先するに至るまでの経緯が、当時のロシアを取り巻く国際情勢やスターリン自身の性向と絡めながら理路整然と描写されており、非常に判り易い。 本書で紹介されるスターリンの少年期の詩や、レーニンの著作を詳細に読み込んでいたというエピソードからは、自分が心酔する対象に無心に打ち込む「素朴な優等生」というイメージが浮かび上がる。この一途さが農民の虐待や大粛清等に寄与した一方で、(政治的要請によるものではあっても)少数民族の権利を尊重し、ロシアそのものの国内事情を重視する「一国社会主義」の提唱、さらには工業化の成功による第二次世界大戦の勝利など、ロシア国民によりアピールする結果に繋がったのは間違いないだろう。ある国における最大の成功と最大の失敗の原因が同時に一指導者に帰せられるとしたら、彼に一体どのような歴史的評価がなされるべきなのだろうか。
スターリンの伝記。彼は決して生まれながらの「怪物」だったのではなく、家族を思いやる普通の人間であったことが分かる。
スターリンの人間性や言動の背景について、これまでの「極悪非道」といった彼への評価に対して、広範な歴史資料をもとに慎重に検討した一冊。大粛清に至った側面よりも、スターリンが最高指導者の座を獲得するまでの道程により焦点が当てられていた向きがあった。スターリンが理論的な指導者であるというよりも、実践的な革...続きを読む命家であったことが印象的。後半になるにつれて、スターリンの思想の内実ではなく、ソ連やその周辺国における史実が中心に扱われていた点が惜しいと思った。スターリンの猜疑心が強くなっていった道程や、若き頃の思想からの変化がどのようであったかがもう少し描写されていると、より楽しめたかと思う。
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