作品一覧

  • 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ
    4.0
    1巻1,034円 (税込)
    贈与は人間の営む社会・文化で常に見られるものだが、とりわけ日本は先進諸国の中でも贈答儀礼をよく保存している社会として研究者から注目を集めてきた。その歴史は中世までさかのぼり、同時に、この時代の贈与慣行は世界的にも類を見ない極端に功利的な性質を帯びる。損得の釣り合いを重視し、一年中贈り物が飛び交う中世人の精神を探り、義理や虚礼、賄賂といった負のイメージを纏い続ける贈与の源泉を繙く。

ユーザーレビュー

  • 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ

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    日本中世において猖獗を極めた贈与経済についての本。モース『贈与論』とゴドリエ『贈与の謎』の議論によれば、贈与には提供の義務、受容の義務、返礼の義務、神に対する贈与の義務の4つの類型がある。日本古代において租と調は元々、神に対する贈与の義務が税に転化したものだったが、平安時代中期においてそれらは官物と呼ばれる地税に統合されて、神への捧げものとしての性格が失われてしまった。

    神への義務は失われてしまったが、その後も他の形態の贈与は生き続け、中世には贈与儀礼が大いに発展した。将軍家に対しても多くの贈与品が集まったが、そこに目をつけたのが室町幕府。1441年9月の嘉吉の徳政令は京都の金融業者である土

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    2021年06月25日
  • 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ

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    人類学における贈与論を一定のベースにしつつも、日本の中世における、主として14世紀から15世紀の贈与・贈答儀礼の在り方や変遷について、具体の史料に拠って、明晰に解き明かした書。随所に切れ味の良い見解が示され、歴史を学ぶ醍醐味を味わうことができた。

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    2020年05月05日
  • 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ

    Posted by ブクログ

    [送り送られの心うち]世界の中でも独特の位置づけがなされる日本の贈与文化。その中でも特に特異な発展を示した中世の贈与の在り方を眺めながら、贈与が果たしていた社会的役割や、その裏に隠されていた贈与への人々の思いを明らかにしていく作品です。著者は、日本中世史や経済流通史を専攻としている桜井英治。

    中世の文化における贈与というものが本当に複雑で「変わった」ものだったことに驚かされるばかりです。現在行われている贈与を頭に思い描きながら本書を読むと、その違いに興味が湧くと同時に、なんとも中世の人たちも大変だったなと思うこと間違いなしです。それにしても夏に送った贈り物のお返しが年初に届くことがままあった

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    2014年09月02日
  • 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ

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    レヴィ=ストロース的なものを期待してはいけない。悪くない本だが、ジャック・アタリの所有論をヨーロッパについての考察としてはともにすすめたい。

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    2014年06月20日
  • 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ

    Posted by ブクログ

    Lv【初心者】~
    桜井先生の魅力的な室町描写が光る一冊!
    当然、室町だけでなくもっと広い時代、日本を超えた枠組みで贈与を面白く扱っておられる。
    だけど、やっぱり先生の室町描写、特に当時の経済のお話は物凄く魅力的で引き込まれる。

    貞成親王と六代将軍・足利義教の間で交わされる「折紙銭」の摩訶不思議な遣り取りは、室町期の朝廷と武家の在り方を知る上で、なるほど、うなずかされる事しきり、だ。

    桜井先生の「室町人の精神」→「破産者達の中世」→本書の順で読み直しても面白いと思うのでオススメ

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    2014年05月25日

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