作品一覧

  • 炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで
    4.3
    インターネットやSNSを中心に沸き起こる、尽きることのない分断・衝突・ぶつかり合い――。「炎上」という現象をかくも夥しく呼び起こしてしまう今日の社会、すなわち「炎上社会」は、どんな対立構造を持ち、いかなる紛争状況を抱えているのか。また、その背景にはどんな社会構造があり、時代状況があるのか。本書の意図は、炎上社会の成り立ちを分析し、炎上という現象の社会的な意味と文脈を明らかにすることである。 【目次】 第1章 自粛警察と新自由主義 第2章 SNSの倫理と新自由主義の精神 第3章 ハッシュタグアクティヴィズムの光と影 第4章 差別と反差別と反・反差別 第5章 誹謗中傷と共感市場主義 第6章 キャンセルカルチャーの論理と背理
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代
    5.0
    1巻3,300円 (税込)
    保守的・愛国的な信条を背景に、その言動でしばしば他者を排撃する「ネット右派」。彼らはどのように生まれ、いかに日本社会を侵食していったのか。その真の意図とは何だったのか。 前史にあたる1990年代の雑誌論壇と草創期のネット論壇、55年体制の崩壊から現政権の成立までの政治状況、マンガ・アニメや「2ちゃんねる」などの文化状況、歴史教科書問題や外国人労働者問題、日本会議・在特会・極右組織などの団体の動向――。 日本社会に全面展開するネット右派の2000年代までを、嫌韓・反リベラル市民・歴史修正主義・排外主義・反マスメディアという5つのアジェンダ(論題)と、サブカル保守・バックラッシュ保守・ネオナチ極右・ビジネス保守という4つのクラスタ(担い手)からあざやかに分析する。 圧巻の情報量で「ネット右派の現代史」と「平成のアンダーグラウンド」を描き出す「ネット/右翼」研究の決定版。
  • フラッシュモブズ : 儀礼と運動の交わるところ
    4.5
    1巻3,784円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本の2ちゃんねるオフから中東のフェイスブック・デモまで、世界中で繰り広げられるフラッシュモブ現象。そこでは人間行動の地殻変動が進行しているのではないか? ネット群衆のうねりに時代の躍動を探る、新しい群衆論。

ユーザーレビュー

  • 炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    著者自身が後書きで触れているように、現代社会、特にSNSを媒介としたコミュニケーションにおける様々な不寛容さを問題提起した書なので、これを元に、自分の考え方を整理するための書として非常に良書と思う。
    ざっと感じた点をメモ。
    1章 自粛警察の原動力が、新自由主義に基づく自己責任感にあり、結果の責任を事後的に自分で引き受けないとならない状況では他者のルール破りが許せないから、という視座が興味深い。こと日本人は、他人が得をするのが許せない、という足の引っ張り合いから来ると思っていたので。誰が弱者を問うのが大事、という考えは重要と思う。
    2章 他者を批判するのは自分が「正しい」が和にいることをアピール

    0
    2024年08月01日
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代

    Posted by ブクログ

    非常に示唆的。
    いわゆる「ネトウヨ」的な言説に対する長年の疑問のいくつかに解答を得ました。
    例えば、主張思想的には、完全に「保守」の産経グループのフジテレビがなぜネトウヨの敵になっていたのか?とか。
    最終章で、「ネトウヨ」は停滞していったと過去の事象のように捉えられているが、変質してより、社会全体に蔓延しているといったほうが良い状況。
    ぜひ、2010年代~現在を再度考察した論考を。

    0
    2022年09月26日
  • 炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで

    Posted by ブクログ

    ■ハッシュタグとはSNSでの投稿をカテゴライズするためのラベルとして使われるものだが、それが今日では社会運動のスローガンとして用いられることが多くなっている。
     人々が特定のハッシュタグとともに自らの思いを投稿していくことで、それが多くの人々の思いと結びつき、全体として一つの運動体が構成され「ハッシュタグアクティヴィズム」と呼ばれるこうした動きはネットの中ばかりでなくリアルな場にもさまざまに広がり、今や社会全体と揺るがすほどの大きな影響力を持つに至っている。
    ■ハッシュタグはオーディエンスを確保するための手立てとなる。そこでは「集団極化」と呼ばれる現象が起きやすくなっている。「集団極化」とは集

    0
    2022年06月14日
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    大変な労作。分厚い本です。右派の近代から2010年代までの動きを丹念に追っています。タイトルにあるネット右派についてももちろん詳細に書かれていますが、個人的には幕末から近代の「保守」は決して排外的な「右翼」のイデオロギーを持っておらず、アジアと連携していく姿勢を見せていたということと、ネオナチとディープエコロジー思想についての関わりがゾクリときました。ヨーロッパのエコロジーな団体が過激なことが長年謎でしたが、それがナチズムに基づいていたとは…。本書の中ではそれがいちばんの衝撃でした。

    基本的に読みにくい文章ではないのですが、引用が多すぎてもう少し著者の中で咀嚼してから書いていただきたかったで

    0
    2020年05月18日
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代

    Posted by ブクログ

    NPOを始めとする社会課題解決の取り組みに関わる仕事をしていると「多様性への寛容」というのは核となる考え方であり、なぜそれが反発を受けるのか、なぜヘイトスピーチにまで至るものが受容されうるのか、社会課題の放置が容認されるのか、理解が難しく感じることがしばしばある。またそもそもNPOや関連するセクターに従事すること自体に対して戸惑うほどの不信感がぶつけられることがあるが、そうた感情はどこからくるのだろうと感じたことのある人は少なくないのではないか。

    理解困難なままに、言説空間も感覚も断絶したままでひたすらに多様性やあるいはそれを前提とした各社会課題解決やその啓発を訴えても何も変わらないだろうと

    0
    2020年02月28日

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