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社会・政治 10位
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SNSで駆り立てられた「正義」.「真の弱者」から向けられた「偽りの弱者」への怒り.多くの人々が「この社会で損をしている」という思いに突き動かされている今,社会の至るところで噴出する「敵意」や「憎悪」から,私たちは何を聞き取るのか.そして,どう向き合うべきなのか.もっともクリティカルな日本社会論!
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Posted by ブクログ
「曖昧な弱者」をキーワードにして、右派と左派の対立から「オールドな彼ら」と「ニューなわれわれ」という対立軸に持ち込んで勝利していく自民党と新興政党伸長の説明は、極めて明晰で分かりやすく、伊藤氏の慧眼に感銘を受けた。なるほど、昨今の政治情勢にかかわる謎の多くが説明されている。リベラル派の主張は理想主義...続きを読む的かつ高邁な「文化政治」に傾きすぎていて、もはや多数派となった日々の暮らしに汲々とするロウアーミドルの人々には響かない。手取りを増やす、社会保障の負担を減らす、というような即物的「経済政治」を訴える党が伸長するのもむべなるかな。本来は結託すべき「明白な弱者」と「曖昧な弱者」に分断をもたらし、政治的に利用している「強者」がいることを、目を凝らして見るべきなのだろう。著者の言う通り、解決可能な分断の方が、ともすれば弱者いじめに陥る「オールド」と「ニュー」というイメージ優先の対立よりもずっとましだし健全だと思う。
今まで手厚く保護されてきた生活保護受給層等を「明白な弱者」、いわゆる弱者男性のような近年の格差の拡大で生まれた社会保障の網にかからないが社会的困窮者を「曖昧な弱者」、と定義して現状の日本社会を描いた本 今まで意識していなかった対立軸等に目を向けられて、世の中の見方が変わる本だと思った。 名著すぎる
岩波新書にしては大変読みやすく、またなるほど!と手を叩きたくなる内容だった。 今の日本社会の見取り図を示してくれている。でてくる、曖昧な弱者、明白な弱者、真ん中等、直感で理解できる秀逸な言葉だと思った!
貧困者や被差別者など"明白な弱者"には含まれないが、決して恵まれた立場ではない"曖昧な弱者"という定義はとても腑に落ちた。ロスジェネ世代としては我々にもっと手を差し伸べてくれとは思いますが、自分より弱いものを見つけて叩くという社会は不毛でしかない…。
目まぐるしく変わる政治 一瞬でヒーローになった人がもう消えたり 様々な政党が 躍進したかと思うと たちまちリーダーが叩かれたり 憎悪 敵意 ばかりじゃ 良き方向には進んでいかない
令和の若者はなぜ熱狂し、信奉するのか。 ひろゆき、石丸伸二、参政党、そして高市早苗... なぜ彼らは社会を動かしたのか。 本書ではそこに「曖昧な弱者」という要素を見出すことでこれらの"旋風"に共通点を見出していく。 時代の潮流が掴みにくくなったとされる令和の時代、 大...続きを読む衆から個人へと消費や関心が変化した時世において、もはや全体を可視化しながら巻き込むことができる手段は非常に少ないだろう。 しかし、我々が細分化されていると考えられてきた思考は、意外にもその背景の陰で強大な世論を築きあげている。 本書の表題でもある「曖昧な弱者」。 本書においてはこう定義されている。 「中間層の二分化、すなわちアッパーミドル層とロウアーミドル層との間の「曖昧な格差」のもとで、極端な困窮ではないものの困難な生活を強いられるという「曖昧な貧困」に苦しめられる新たな弱者」。 そうした彼らがなぜ"熱狂"を選択したのか。 以下では本書に綴られていた中でもとりわけ重要な指摘がなされていた点について抜粋する。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ①ひろゆきと"優しい"?ネオリベ 本来、強者をより強者へ向かわせ、弱者をより弱者へと向かわせる要素を持ち合わせている「ネオリベラリズム」を信奉する若者が数多く存在している。そんな逆転現象を牽引した人物こそ、ひろゆきなのである。 いまや日本において、平均でいること、あるいは本書にもあるように中間でいることの難易度はかなり高いものと言えよう。その要因はふたつと考える。 ひとつは格差の拡大と実質賃金の減少、もうひとつは中間の理想化である。 要は、自らの居場所が地盤沈下し続けているにもかかわらず、ハードルは皆の力によって押し上げ続けられているという状態である。 さて、終身雇用や年功序列など主に企業を中心に事実上の高福祉社会を成立させてきた日本においては、平均であれば困窮することはないというある種の共通認識が存在してきたと言えよう。これは現代においても同義である。そうした思考が我々に宿り続けているものの、社会は変容し、いつしか高福祉の恩恵を受けることが難しくなった。 彼は「ネオリベラリズム」によって一発逆転のチャンスがある、ライフハックを中心にその抜け道を照らし出す。 その特有のスタンスは、時に意欲のある若者を叱咤しつつ激励し、時に病める若者を励ます。「弱者」を自負しながらも「弱者」として認知されず、あるいは競争に疲れ果て、意欲があってもその力を発揮できないと絶望したことで「弱者」を自認せざるを得ないような、そんな「曖昧な弱者」たちにとってひろゆきがヒーローとなるのは自然なことかもしれない。 ②自己啓発系政治家? "石丸伸二" 広島県北部に位置する人口約23,000人の市、安芸高田市。同市の市長を務めていた人物、石丸伸二は突如その職を辞職し、首都東京の都知事選に立候補した。 当選には至らなかったものの、その順位は2位、獲得票数は約165万票であった。 なぜ石丸旋風が起きたのか。 なぜ彼は若者を動かし、そして若者は政治を動かしたのか。 本書では彼が人気を博した理由を、 前政治的な政治活動をしたこととしている。 何より彼の知名度を上げたのは、安芸高田市議会における彼の"対決姿勢"であった。 居眠りをする議員を名指しで注意し、嫌がらせに対して明確に異議を唱える。 その構図を、とりわけ曖昧な弱者とされる人々は自らを圧迫する強者に対する対決姿勢そのものと捉える。その上石丸は"勉強"や"テクニック""コツ"など、彼らが成り上がる為のアドバイスを多数投稿し続けていたのである。 「経済成長の時代を知らず、そもそも「世の中がよくなる」という実感を持つことができない彼らからすれば、「世の中をいかにしてよくするか」を語られても、空疎なフィクションのようにしか聞こえないのではないだろうか。」 P67 L9 「低成長の時代しか知らず、社会全体が成長していくというイメージを持ちにくい彼らには、その一員であるだけでは成長できないという感覚があるのではないだろうか。つまり社会の成長戦略は当てにならず、それに乗っていてもジリ貧になるばかりなので、自己の成長戦略が別途必要となる、というわけだ。その結果、「社会のよき一員」になるよりも「よき自分」になることが重視され、自己啓発的な意識が高まる一方で、社会的なものへの関心が薄らいでいく。」 P73 L9 「今日の社会では、とりわけ雇用の問題から、不安定で流動的な状態からいつまでも抜け出すことのできない人たちが多くなっている。彼らは「周縁的人間」のまま、成長と自己実現のための機会を十分に与えられることもなく、それゆえにそのための欲求をいつまでも持ち続ける。いわば「永遠の若者」だと言えるだろう。今回、石丸氏を支持した中年世代の中には、そうした人たちも多かったのではないだろうか。」 P82 L11 上記の三箇所には極めて重要な指摘がいくつもなされている。 曖昧な弱者を守り、そして明確な強者へと立ち向かい、その知識や特有の着眼点によって淘汰を図ろうとするその姿勢はひろゆきとの共通点も見られるだろう。 ③"オールド"アレルギーな社会 "オールドメディア"、テレビや新聞などのいわゆるマスメディアに対して用いられるこの蔑称は2020年代を象徴するような言葉だと言っても良い。 ④積極財政信仰 〜リベラルから保守へ 参政党と高市旋風〜
「明白か?曖昧か?」、その補助線を引くだけで、世界がこんなに観察できるようになるとは!多くの方に「必読」と言わせたのも納得の一冊。 リベラルと自認する潮流がなぜ人気ガタ落ちなのか。高市政権や参政党の跳躍とそこにくすぐるドグマを、キーワードひとつで浮かび上がれせる技が凄い。一方で、まさに「曖昧」がゆえ...続きを読むに、実際どうする?の議論にはとっつきにくさもあり、伊藤先生が打ち出した補助線を、僕らがどう活かしていくかには、またひとつ発明が必要な気もしている。取り急ぎ、いち商売人として、補助線を意識しながら、この社会に参加しながら、答え合わせしていきたい。
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曖昧な弱者の時代
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伊藤昌亮
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