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Posted by ブクログ
意見が反対の人であっても、相手が何故その意見をとるのかを理解することができれば、対話の余地はあると信じています。
しかし、昨今政治情勢に関して言えば、なぜこれらの政治勢力が「支持」を獲得するのかさっぱり見えてこない。下品だから大嫌いな言説をあえて借りるなら「肉屋を支持する豚」ではないかと思える状況が続いているように思えて混乱していました。
本書で示される「あいまいな弱者」と「明確な弱者」の概念を用いた分析は、この点について、かなりクリアな整理ができていると思います。
政策的な結論の是非や特定の政党、政治家を支持するかどうかといった以前に、この分析をベースにした議論が社会全体でできれば、あるいは、社会的に分断に「出口」を見出すことができるのではないか、そんな希望を持てる本でした。
Posted by ブクログ
社会的なことには疎いので、社会科学的な本を意識的に読むようにしている。
日本に生活していながら、この社会で起きていることにいかに自分は無知で無頓着だったことか。
大まかな内容は
1章 ひろゆき論
2章 山上徹也
3章 石丸現象
4章 左右対立から新旧対立へ
5章 財務省解体デモ
6章 参政党
7章 社会分断の今日的構造(総括)
左右対立、新旧対立、上下対立という3つの軸と「曖昧な弱者」という補助線を引くことで、社会がこれほど鮮明に理解できるとは。
個人的にリベラル派の退潮という現象を興味深く見ていたが、それを左右対立ではなく、新旧対立という観点へと対立の軸が移ったためだとみるなど大変勉強になった。
しかし、私は本書を批判的に見るところへまではまだ達していない。
Posted by ブクログ
自分に向けられる敵意の質を見事に描きだしてくれた。家族福祉>高齢者と障碍者向けだけが公的な制度に置き換えられてほかのあいまいな弱者が取り残された>ベーシックインカムじゃダメかな。あいまいな弱者の大量発生。直感的なまず減税のわかりやすさ>意図するところを汲めない現システム側のおばか。参政党の農本主義>これはほんとに同意。強い外国人への反感が弱い外国人に向けられる>生活保護バッシングと同じ。意識高くないリベラルってどんなだろう。現体制から疎外され、もらえるお金が増えることが想像できない永遠の若者である中年層マジョリティ、弱者のためのネオリベからも漏れる層のデモ。富裕層優遇策は同意。
Posted by ブクログ
「曖昧な弱者」をキーワードにして、右派と左派の対立から「オールドな彼ら」と「ニューなわれわれ」という対立軸に持ち込んで勝利していく自民党と新興政党伸長の説明は、極めて明晰で分かりやすく、伊藤氏の慧眼に感銘を受けた。なるほど、昨今の政治情勢にかかわる謎の多くが説明されている。リベラル派の主張は理想主義的かつ高邁な「文化政治」に傾きすぎていて、もはや多数派となった日々の暮らしに汲々とするロウアーミドルの人々には響かない。手取りを増やす、社会保障の負担を減らす、というような即物的「経済政治」を訴える党が伸長するのもむべなるかな。本来は結託すべき「明白な弱者」と「曖昧な弱者」に分断をもたらし、政治的に利用している「強者」がいることを、目を凝らして見るべきなのだろう。著者の言う通り、解決可能な分断の方が、ともすれば弱者いじめに陥る「オールド」と「ニュー」というイメージ優先の対立よりもずっとましだし健全だと思う。
Posted by ブクログ
『曖昧な弱者の時代』読書ノート(簡潔版・最終)
「明白な弱者」と「曖昧な弱者」の対立が、SNSで弱者叩き・弱者争いを生み、政治を動かしているという見取り図。
第1章(ひろゆき):
若者層の支持とリベラルへの反発を背景に、「ダメな人」のための「優しいネオリベ」を提示。プログラミング思考やライフハックで権威を切り、情報強者の立場からポピュリズムを展開する。曖昧な弱者の反感を吸収する典型例。
私見:核は第2章(山上):
公認された弱者リストからこぼれ落ちた者が、リストを作る側(リベラル)とリストに載った側の両方に敵意を向ける過程。孤立した「ネトウヨになりきれなかったネトウヨ」として描かれる。
第3章(石丸現象):
TikTokを通じた若者層の支持を分析。「対決型」の裏に「応援型」の姿勢があり、前政治的な自己啓発的呼びかけがネオリベラリズムの内面化と結びつく。
第4章(オールドなものへの敵意):
左右対立よりも新旧対立が前面に出る局面を扱う。「オールド連合」対「ニューなわれわれ」の構図が現れ、争点の転換が示される。
第5章(財務省解体デモ):
労働組合の外にいる層が「取られるお金を減らす」方向に動く財政ポピュリズム。「高級」な既存運動から取り残された人々の運動。
第6章(参政党):「真ん中が傷んでいる」という感覚に、積極財政と排外的な包摂で応える。「左から入って右に行く」形で曖昧な弱者の憤懣を掬い上げる。
私見:国民民主・参政党・チームみらいは、いずれも曖昧な弱者の痛みの断片を部分的に拾うが、構造をはっきり見据えてはいない。不満が分散して流れ、弱者同士の対立が再生産されやすい混沌が続いている。また、「曖昧な弱者」の範囲が広すぎて、個別の事情が薄まる懸念もある。
「出口のある分断」(政策で対処可能な領域)へ転換できるかは、まだ見えない。
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