伊藤昌亮の作品一覧
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ユーザーレビュー
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非常に示唆的。
いわゆる「ネトウヨ」的な言説に対する長年の疑問のいくつかに解答を得ました。
例えば、主張思想的には、完全に「保守」の産経グループのフジテレビがなぜネトウヨの敵になっていたのか?とか。
最終章で、「ネトウヨ」は停滞していったと過去の事象のように捉えられているが、変質してより、社会全体に
...続きを読む蔓延しているといったほうが良い状況。
ぜひ、2010年代~現在を再度考察した論考を。
Posted by ブクログ
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■ハッシュタグとはSNSでの投稿をカテゴライズするためのラベルとして使われるものだが、それが今日では社会運動のスローガンとして用いられることが多くなっている。
人々が特定のハッシュタグとともに自らの思いを投稿していくことで、それが多くの人々の思いと結びつき、全体として一つの運動体が構成され「ハッシ
...続きを読むュタグアクティヴィズム」と呼ばれるこうした動きはネットの中ばかりでなくリアルな場にもさまざまに広がり、今や社会全体と揺るがすほどの大きな影響力を持つに至っている。
■ハッシュタグはオーディエンスを確保するための手立てとなる。そこでは「集団極化」と呼ばれる現象が起きやすくなっている。「集団極化」とは集団で考えた場合の方が個人で考えた場合よりも意見が極端なものになりやすく、行動が過激なものになりやすい現象を指す。
■著名人の過去の言動を告発し、その点を批判するだけではなく、その人物の活動をボイコットし、果てはその地位を剥奪してしまおうとするような風潮を「キャンセルカルチャー」と呼ぶ。
■キャンセルカルチャーの特質、とりわけその思考様式にみられる3つの特徴。
①リベラリズムの規範、それも文化的な意味でのそれとの結びつき。つまり多様性を重んじ社会的弱者としてのマイノリティーを擁護する立場から特権的な地位にあぐらをかいているマジョリティを糾弾することで古い価値観や旧来の権力構造を否定し社会を変革していこうとする志向がある。そのため、ジェンダー、エスニシティ、障害などに関連し弱い立場にあzる人々の人権を侵害するような言動を行ったもの、とりわけ権力者がそのターゲットとなることが多い。
②不寛容性。リベラリズムの規範に抵触するような行為がなされると、ほんとちょっとしたことであれ、しかも事情のいかんを問わず、厳しい処罰が求められる。そこには情状酌量という考え方が存在しないばかりか量刑、つまり対の重さに照らして罰の厳しさを決めるという考え方が意識されることもあまりなく、一律にキャンセルが求められる。
③過去の行為の問題化。どんなに遠い過去になされた行為であっても、昔のことだからと言って不問に付されることはなく、しかも当時の事情のいかんを問わず、厳しい処罰が求められる。そこには事項という考え方が存在しないばかりか過去の行為をあえて掘り返してきて今更糾弾するという姿勢がしばしばみられる。
Posted by ブクログ
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大変な労作。分厚い本です。右派の近代から2010年代までの動きを丹念に追っています。タイトルにあるネット右派についてももちろん詳細に書かれていますが、個人的には幕末から近代の「保守」は決して排外的な「右翼」のイデオロギーを持っておらず、アジアと連携していく姿勢を見せていたということと、ネオナチとディ
...続きを読むープエコロジー思想についての関わりがゾクリときました。ヨーロッパのエコロジーな団体が過激なことが長年謎でしたが、それがナチズムに基づいていたとは…。本書の中ではそれがいちばんの衝撃でした。
基本的に読みにくい文章ではないのですが、引用が多すぎてもう少し著者の中で咀嚼してから書いていただきたかったです。
しかし労作にはちがいありません。おもしろく読みました。
Posted by ブクログ
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NPOを始めとする社会課題解決の取り組みに関わる仕事をしていると「多様性への寛容」というのは核となる考え方であり、なぜそれが反発を受けるのか、なぜヘイトスピーチにまで至るものが受容されうるのか、社会課題の放置が容認されるのか、理解が難しく感じることがしばしばある。またそもそもNPOや関連するセクター
...続きを読むに従事すること自体に対して戸惑うほどの不信感がぶつけられることがあるが、そうた感情はどこからくるのだろうと感じたことのある人は少なくないのではないか。
理解困難なままに、言説空間も感覚も断絶したままでひたすらに多様性やあるいはそれを前提とした各社会課題解決やその啓発を訴えても何も変わらないだろうということで、経緯や背景や論理や感覚を理解・想像したいということで手にとったのがこの本。
読んで良かった。500ページにも渡る本だし、拾い読みしては意味が薄くなってしまう本なのでなかなか読者の数を増やすのは難しそうにも感じるが、リベラルであることを自認する多くのNPOセクター関係者は読むべきであろうと思う。自分たちの言説がいかなる社会と対峙しているのか、その上で戦略を立てていかなければ、日本の行き着く先も欧米みたいな左右ともに極端なポピュリズムということにしかならないだろうから。
中身についても触れていきたいところだけど、この本の感想を短くまとめることはなかなか難しい。だからこそ500ページもの記述が必要だった訳で。よくこれだけまとめて書き上げたものだなと著者を尊敬する。ところどころ推測がすぎるというかやや強引な論旨も見受けられるけど、それでも平成の約20年間を中心とした右派的な様々な文脈の経緯や変遷についてまとめあげた構想力・構成力は素晴らしい。
ネット右派(いわゆる「ネトウヨ」も含め広く定義した言葉)には、独自の文脈を持ったさまざまなクラスタやアジェンダが含まれており、統合・分離を繰り返す中で現在のような大きな動きになってきたということは、当たり前といえば当たり前だけど、これまであまりはっきりとは意識しておらず、どこかざっくりと「ネット右派(ネトウヨ)という理解困難な人たちがいる」とくくってしまっていたような気がする。そして大事なことは、多くのNPOが激動する社会経済環境の中で翻弄される弱者への寄り添いや配慮というところから動いているように、ネット右派側の様々なクラスタの動きも当然ながら社会経済的文脈の中で変遷を重ねて今に至っているということ。そうした同じ人間的な次元からの理解や対話は、互いに前提の理解や想像さえ及べば、困難ではあっても不可能ではないと思える。
・ネット右派のさまざまなクラスタ
保守系セクター:サブカル保守クラスタ、バックラッシュ保守クラスタ、ビジネス保守クラスタ
右翼系セクター:既成右翼系クラスタ、新右翼系クラスタ、ネオナチ極右系クラスタ
・ネット右派に扱われるさまざまなアジェンダ
嫌韓アジェンダ、反リベラル市民アジェンダ、歴史修正主義アジェンダ、排外主義アジェンダ、反マスメディアアジェンダ
→さまざまなクラスタがあり、文脈や人脈を共有しているものもあればしていないもののある。また、アジェンダについてもそれぞれの経緯や論理がありそれら一つ一つは必ずしも飛躍しすぎた理解不能なものはあまりない。また、アジェンダごとに関心のある層も異なっている。問題は、これらの複数のクラスタやアジェンダ(とそれらの担い手自身も)が平成の20年間の中でそれぞれ社会経済的な影響を受け変遷するなかで悪魔的な合体の果てにモンスター化していることが問題。
・例えば、嫌韓アジェンダの背景の一つとして冷戦体制の終結がある。それまでは東西冷戦の枠組みのなかで、貿易摩擦問題を筆頭にとりわけ日米間の問題に、そして経済問題に焦点化されるきらいがあった日本の外交問題の主要なアジェンダに、国際情勢の流動化に伴ってさまざまな国との間のさまざまな政治問題が入り込んでくるようになる。そうしたなか、とりわけ従軍慰安婦問題などをきっかけに、アメリカに変わる新たな「反日国家」として立ち現れてきたのが韓国だった。
Posted by ブクログ
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「ネトウヨ」って言ってしまうとしょうもないねんけど、蚊だってボウフラだって研究すれば有益なこともあるわけで。いやはや、しょうもない言うてたらそれなりに力は持ってはるし、出自から成長過程から懇切丁寧に説明してくれてるので、恐いもの、汚らわしいモノ見たさでも一読の価値あり。
Posted by ブクログ
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