伊藤昌亮のレビュー一覧

  • 炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで

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    ネタバレ

    著者自身が後書きで触れているように、現代社会、特にSNSを媒介としたコミュニケーションにおける様々な不寛容さを問題提起した書なので、これを元に、自分の考え方を整理するための書として非常に良書と思う。
    ざっと感じた点をメモ。
    1章 自粛警察の原動力が、新自由主義に基づく自己責任感にあり、結果の責任を事後的に自分で引き受けないとならない状況では他者のルール破りが許せないから、という視座が興味深い。こと日本人は、他人が得をするのが許せない、という足の引っ張り合いから来ると思っていたので。誰が弱者を問うのが大事、という考えは重要と思う。
    2章 他者を批判するのは自分が「正しい」が和にいることをアピール

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    2024年08月01日
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代

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    非常に示唆的。
    いわゆる「ネトウヨ」的な言説に対する長年の疑問のいくつかに解答を得ました。
    例えば、主張思想的には、完全に「保守」の産経グループのフジテレビがなぜネトウヨの敵になっていたのか?とか。
    最終章で、「ネトウヨ」は停滞していったと過去の事象のように捉えられているが、変質してより、社会全体に蔓延しているといったほうが良い状況。
    ぜひ、2010年代~現在を再度考察した論考を。

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    2022年09月26日
  • 炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで

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    ■ハッシュタグとはSNSでの投稿をカテゴライズするためのラベルとして使われるものだが、それが今日では社会運動のスローガンとして用いられることが多くなっている。
     人々が特定のハッシュタグとともに自らの思いを投稿していくことで、それが多くの人々の思いと結びつき、全体として一つの運動体が構成され「ハッシュタグアクティヴィズム」と呼ばれるこうした動きはネットの中ばかりでなくリアルな場にもさまざまに広がり、今や社会全体と揺るがすほどの大きな影響力を持つに至っている。
    ■ハッシュタグはオーディエンスを確保するための手立てとなる。そこでは「集団極化」と呼ばれる現象が起きやすくなっている。「集団極化」とは集

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    2022年06月14日
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代

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    ネタバレ

    大変な労作。分厚い本です。右派の近代から2010年代までの動きを丹念に追っています。タイトルにあるネット右派についてももちろん詳細に書かれていますが、個人的には幕末から近代の「保守」は決して排外的な「右翼」のイデオロギーを持っておらず、アジアと連携していく姿勢を見せていたということと、ネオナチとディープエコロジー思想についての関わりがゾクリときました。ヨーロッパのエコロジーな団体が過激なことが長年謎でしたが、それがナチズムに基づいていたとは…。本書の中ではそれがいちばんの衝撃でした。

    基本的に読みにくい文章ではないのですが、引用が多すぎてもう少し著者の中で咀嚼してから書いていただきたかったで

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    2020年05月18日
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代

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    NPOを始めとする社会課題解決の取り組みに関わる仕事をしていると「多様性への寛容」というのは核となる考え方であり、なぜそれが反発を受けるのか、なぜヘイトスピーチにまで至るものが受容されうるのか、社会課題の放置が容認されるのか、理解が難しく感じることがしばしばある。またそもそもNPOや関連するセクターに従事すること自体に対して戸惑うほどの不信感がぶつけられることがあるが、そうた感情はどこからくるのだろうと感じたことのある人は少なくないのではないか。

    理解困難なままに、言説空間も感覚も断絶したままでひたすらに多様性やあるいはそれを前提とした各社会課題解決やその啓発を訴えても何も変わらないだろうと

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    2020年02月28日
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代

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    「ネトウヨ」って言ってしまうとしょうもないねんけど、蚊だってボウフラだって研究すれば有益なこともあるわけで。いやはや、しょうもない言うてたらそれなりに力は持ってはるし、出自から成長過程から懇切丁寧に説明してくれてるので、恐いもの、汚らわしいモノ見たさでも一読の価値あり。

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    2019年11月04日
  • ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代

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    実に豊穣な本であった。ネット右派についてはそれを糾弾する本ばかりが多いが、それだけに、このようなある程度はネット右派を弁護する立場の本が欲しかった。
    この本では1989年頃から2010年前後までのネット右翼各派(右翼系の既成右翼・新右翼・ネオナチ右翼、保守系のサブカル保守・バックラッシュ保守・ビジネス保守)それぞれがどのような課題(アジェンダ。嫌韓・反リベラル・歴史修正主義・排外主義・反マスメディア)を提示して活動し、糾合されていったのかを解き明かしている。非常に内容が豊富であり、まとめるのは難しい。ただ、それらに対する反対陣営のまとまりの悪さを感じた、ということは言える。
    ……………ぜんぜ

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    2019年09月20日
  • フラッシュモブズ : 儀礼と運動の交わるところ

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    なげぇ!!!笑

    長いけど、内容はよかったー!
    あ、長いとはいえ、最初のうちがまんして読んでいると、
    最後の方にいくにつれどんどん面白くなってきます。

    フラッシュモブの成立とその原因(?)について、ここまで詳しく書いた本って初めてだと思う。
    「ほー、そういう表現で説明できるのか!」と何回も思ったし、
    フラッシュモブが立体的に理解できた。
    もう少し内容を省いて(重複してるとこ多かった)、この半分の分量にできると、
    もっとたくさんの人に読まれたのではないかなあ。

    あと、装丁がかわいい!

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    2013年07月14日
  • 炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで

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    軽い気持ちでやったことや、意図していないことにフォーカスが当たることで、起こりうる「炎上」は今や聞き慣れた言葉だが、丁寧に考察してみるとその構造や原因は単純なものではなく、捉え方も難しい。

    本書では単に「不祥事」としての「炎上」と片付けるのではなく、時代の変化やネオリベラリズムをはじめとした思想の影響と関連づけて、社会における炎上を考える機会を与えてくれる。

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    2022年01月22日
  • フラッシュモブズ : 儀礼と運動の交わるところ

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    No.609
    フラッシュモブとは瞬間的な群衆という意味。
    それをまじめに論じているところが興味深い。
    これもひとつのことを成し遂げる組織形態。

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    2014年03月30日
  • 炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで

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    独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
    なかなかおもしろかったです。
    ネット空間は、人間の本性も可視化されたってことなんだろうなと思いました。
    リア充はたぶん、ネットなんて使っている暇ない・・・。
    (使うとすれば、自分の儲けになるPRのために使う)

    著者の伊藤先生がネットで「弱者男性」に関するインタビューを受けている記事を読んだのですが、そこで言われる「弱者男性」って、ヘテロ男性のことなんだなと、ヘテロではない自分は思ったのでした。
    本当の弱者はきっと、声も出さずに静かに溺れていくように思われるので、顕在化されることはないのかもしれません。

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    2024年06月09日