境真良の作品一覧
「境真良」の「アイドル国富論―聖子・明菜の時代からAKB・ももクロ時代までを解く」「Kindleショック」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
ユーザーに最も近く、従って最も興味を引くガジェット評論の本ではありません。個別のガジェットから一歩引いて抽象化した上でそれらが特定のサービスと結びついた「デバイス=クラウド生態系」に注目し、ネットは今後どうなっていくのか、どうあるべきかという壮大な問題について「コンテンツ」を切り口に考察しています。
ネットが今後どうあるべきか、という規範性の問題については例えば「コンテンツ産業は著作権(と対価獲得)重視」という一定のポジションに基づく考察/主張が当然で、その点で本書の論旨には概ね同意できます。一方でネットには利害が異なる多様な参加者が存在するので、本書の基本認識&概念を利用してそれぞれの立場を踏まえて新しいネット像をブラッシュアップできたらなお良いですね。
Posted by ブクログ
80年代アイドルの活躍した時代から、90年代の「アイドル冬の時代」を経て、モーニング娘。やAKB48、ももいろクローバーZといったグループが乱立し「アイドル戦国時代」とも称される現代に至るまでの歴史を、日本経済の変化から解き明かす試みです。
現代のアイドルを支持している人びとは、グローバル資本主義の流動性を前提としており、その点では宇野常寛のいう「資本主義ネイティブ」でありながら、グローバル資本主義のなかでエリートをめざす競争から距離を置こうとする「ヘタレマッチョ」だと著者はいいます。そして、こうした「ヘタレマッチョ」たちが自分たちの置かれている宿命を受け入れるべく鼓舞するような「アイドル」を支持しているという見解が示されています。
アイドルの歴史にかんする考察についても、また日本経済の見方についても、著者の議論は興味深く読みました。ただ、中産階級主義についての評価にかんしては、個人的に著者のように楽観的にはなれないと感じてしまいます。
中産階級が解体していくなかで、ほんらい国家に対して適切な距離を保っていたはずの大衆文化が「韓流」や「クールジャパン」といった国家的戦略のなかに組み込まれてしまうことにより、かえって国家間の摩擦が増幅される危険性を鑑みるならば、日本のアイドルがたどり着いた「ヘタレマッチョ」を元気づけ励ます存在という役割に希望を見いだそうとする著者の見解も、理解できます。しかしながら、こうした中産階級主義には「内」に対する抑圧的な構造を抱え込んでいるのではないかという反省をおこなうことも必要でしょう。このことは、かつて丸山眞男をはじめとする戦後の知識人たちを相手に「大衆の原像を繰り込む」ことの必要性を訴えた吉本隆明が大衆文化批評の世界に身を投げ入れるようになった際に、痛切に感じとっていた問題でもあったように思います。
とはいえ、「アイドル」という存在に熱中する人びとの意識に、国民経済的な観点からせまるという著者の試みは、じゅうぶんに成功しているのではないかと思います。