山田清機の一覧
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ユーザーレビュー
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13人のタクシードライバーの身の上話を収めたノンフィクション。
タクシー業界は一種のセーフティネットのように行き場のない人たちの受け皿になっているため、ドライバー達の経歴も種々雑多で実にさまざまな過去を持った人達が集まる。
妻に逃げられた元ホームレスや、バブル崩壊で約八億円もの借金を背負った元社長
...続きを読む、子どもと専業主夫になった夫を養うためにタクシー業界に飛び込んだ元スーツアクターなど異色の経歴ばかりで、それぞれの人生がありとても面白かった。
無線屋ドライバーの何曜日の何時にどこで無線客が現れるかをもとにスケジュールを組み、配車センターのオペレーターの癖まで研究し尽くして確実に客を乗せて稼ぐテクニックがパチプロのようで興味深い。アナログからデジタル無線になってこの技が活きる余地がなくなったのが残念だ。
作者のフリーライター独立後の貧乏生活をつづったエッセイのような「長いあとがき」もクスッと笑えたりしんみりしたりするエピソードばかりで面白かった。
Posted by ブクログ
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自分の地元の特殊な町の様子を描いた本、知っている町をもうちょっと知れるかな…程度で買ったのですが、私は何も知らなかった。
通った事もあるし見た事もある建物や商店。
しかし、それは通っただけだし見ただけだと気付かされた。
登場する苦しい生活を強いられている人達に、私はやはり偏見を持っている。
この本を
...続きを読む読み終えた今、180°とは言わないが、真実90°くらいは見方が変わったと思う。
自分はこういう状況には絶対になりたくないから必死に生きようとか、そういう考えを持つ事でも、立派な理解なのだと思える。
真の無関心こそが悪と思う。
自分に出来る事を見付ける事が、ひいては自分の為にいつだって成る。
Posted by ブクログ
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東京の山谷、大阪の西成と合わせて日本三大ドヤ街と言われている横浜の寿町。横浜の中心部にあり、めでたい名前ではあるが最貧困地区という現実。
その寿町を取材した本が出版された。
足かけ6年という取材期間。住民の高齢化と高い罹患率。取材した人をしばらく振りに訪ねると、もう亡くなっていた、という
...続きを読むことも頻繁にある。生活費をギャンブルや酒に全てつぎ込む人、貧困詐欺に無自覚に加担している人、病気で働けない人、そんな人たちを支援する福祉の人々、ドヤ街が形づくられる前から住んでいた人々、支える人、支えられる人、の様々な人家模様が描かれている良書だ。ルポルタージュとして、酔っぱらいの昔話を鵜呑みしていいのかという問題点もあるけど、故郷や肉親縁者との絆を断ってここに流れ着いた人たちの過去を追跡するのは難しいのだろう。
戦後の高度成長期、工場地帯には体ひとつで稼げる仕事が溢れていた。仕事のない地方から続々と出稼ぎ労働者が押し寄せ、彼らが泊まる安い宿泊所、ドヤ(ヤドというのも憚られるくらい粗末なヤドだったからドヤと呼ばれるようになった、と言われている)が建てられた。海上物流の拠点であった横浜港にも仕事は余るほどあった。働けば働くだけ金は稼げた。家族のために金を送る人が多かっただろうが、若くて、体も頑強な肉体労働者にとってドヤ街をとりまくネオンサインの歓楽街は魅力的だった。酒や女やギャンブルに溺れ、借金まみれになる人もいた。依存症になる人もいた。友人と思っていた人に騙され、借金を肩代わりして破産した人もいた。そして面目がなくなって、故郷に帰ることもできなくなり、この街から離れられなくなった。
寿町が他のドヤ街と違うのは、各地の経済がバブル崩壊とともに縮小していったにも関わらず、横浜だけはつい最近まで、みなとみらい地区の再開発という巨大プロジェクトが進行していたということだ。
常に住みたい街のランキングで上位になる横浜(横浜駅周辺とみなとみらい地区)を建設してきたのは、寿町に集まってきた労働者たちだ。景気の良いときは3Kと呼ばれた仕事を担ってきた重要な作業員たちだが、再開発も縮小し、工事現場でも大型機械化が進んで、人力に頼らなくなると、調整弁として使い捨てされたのも寿町の労働者たちだ。
こんな一等地に貧困地区を抱えなくてもいいじゃないか、彼らを他の地域に移して、再開発したほうが横浜の発展に繋がるじゃないか、そんな意見はチョイチョイ挙がるらしい。
井戸水の恩恵を受けておきながら、井戸を掘ってくれた人の恩を忘れるような横浜でいいわけがない。
そんな人はハマッ子失格!
Posted by ブクログ
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つい最近、友達が教えてくれた話。
AIを組み込んだ、赤ん坊の泣き声の分析器というものが
開発されて、そのAI機器を使えば、赤ん坊がどんな状態であるかがたちどころに分かる、というようなものらしい。
でも、これもの凄く変ですよね。
というお話だった。
さて、本書
生身のノンフィクション・ライターの山田
...続きを読むさんが
寿町に暮らす生身の凄い人たちに
聞き取りを重ねて、成り立っている一冊。
生身の人間だからこそ
ぶち当たった壮絶な体験、
それを乗り越えてきたしたたかさ、
根底に横たわっている他者への愛情、
まぁ 生々しい実態と
想像を絶するような克服の史実が
丁寧な取材と聞き取りに
現れてくる。
読みながら
宮本常一さんの
「忘れられた日本人」が
何度も思い出されていました。
生身の人と生身の人が
出遭うからこそ
生まれてくる「暮らし」が
ここにある。
冒頭のAI分析器、
やっぱり おかしいと 思う。
Posted by ブクログ
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とても味わい深く読んだ。色々な人の人生がある。6名の無名の方の人生がそれぞれ丁寧に過去から今が描かれていて彩りがある。楠木健が帯に書いていた通り、わたしも誰か映画化しないかしら?と思いました。今年読んだ本の中でとても印象に残る本の1つになりました。
Posted by ブクログ
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