桐島洋子さんが自身と子供たちの人生について途中まで執筆し、その後をかれんさん、ノエルさん、ローランドさんが、まるで渡されたラグビーボールをパスで繋いでいくかのように執筆した作品。
洋子さんが描き出した半生のなんと、ドラマチックで、自由であることか! そして文章の瑞々しいことといったら、本当に他に比べ
...続きを読むられる作家がいるだろうか。
洋子さんは若い頃、文藝春秋社の社員で、編集者だった。その頃、作家の原稿を取りに行くのに、高原に住む作家のところには馬に乗って取りに行ったり、海辺の作家には泳いでビチャビチャの姿で原稿取りに行っている。こんな方が子供を産むとどうなるか、知っている人も多いと思うが、改めて読む価値は十分にある。
後半は一転して、子供たちの立場からの洋子さん一家の姿が描かれる。やはり、そこには華やかななだけでない複雑な事情が語られる。一度は崩壊しかけた家族の絆が再び結ばれたことがわかる。
若い人が読めば、洋子さんの生き方に刺激を得られるだろうし、子育て中の人が読めば、育児のヒントが得られるかもしれない。年配の人は家族のことを考えるだろう。多くの人にとって示唆に富む本である。