作品一覧

  • 償いは済んでいる―忘れられた戦犯と遺族の歴史
    5.0
    平和の日々の中で消し去られた歴史の真実と悲劇――太平洋戦争は遠い過去の出来事となりつつあり、覚えている人も少なくなった。しかし、現在の「平和」は戦犯として罪を問われた人たちの命と引き換えに得たものだ。日本はかけがえのない人の命をもって、戦後にお詫びや償いを済ませてきた。息子が、夫が、父が、なぜ、どうして、どんな罪をどう問われて、戦犯となり、命を奪われたのか! 無念の思いを胸に抱えて生きてきた、家族の人生を徹底取材。 忘れられた20世紀の歴史の悲劇に迫る渾身の1冊!!
  • 死ぬという大仕事
    5.0
    女流作家の話題の遺作がついに電子化! 2009年4月14日に死去した作家・上坂冬子氏の遺作を電子化。08年秋にがん再発が見つかり、手遅れと言える状態から、「緩和ケア」医療を選択することで残された時間を有意義に生きた記録。それは同時に、自らの病状を受け入れて、「いかに自分らしく死ぬか」を徹底して追求した時間でもあった。  また上坂氏は、望む治療が受けられない「がん難民」が多発する医療制度に疑問を抱き、自らの闘病を詳細に明かすとともに、病室で医師らにインタビューして原稿にまとめた。かつてない赤裸々な筆致で末期がん患者の本音と真実が語られた「最後の傑作」である。  発売当初から大反響が起きて原書は版を重ね、「死」をテーマとしたノンフィクションとしては異例のベストセラーとなった。  文庫化に当たり、当時の主治医ほか医療スタッフに再取材し、この3年間で医療現場、緩和ケア体制がどのように変わったかを追補したものを電子化した。

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  • 新版「生体解剖」事件 B29飛行士、医学実験の真相
    4.0
    昭和20年5月、九州上空にて、海軍戦闘機「紫電改」の体当たりによって墜落したB29爆撃機の飛行士12名。彼らは大きなケガを負うこともなく、捕虜になった。しかし、戦局の悪化と度重なる空襲により、捕虜の処遇に困っていた西部軍司令部は、九州大学医学部OBの軍医に処置を一任する。やがて、飛行士たちのうち8名が九大の解剖室に運ばれ、「肺摘出」「心臓摘出」「脳の切開」といった医学実験の犠牲となった。しかも、生きたまま麻酔を打たれ、輸血に代わる「海水注射」も打たれながら……。人間の命を救う立場にある医者が、なぜ凄惨な行為を行ったのか。責任は軍部にあるのか、医者にあるのか。原爆で死んだことに偽装した事件が、なぜアメリカにばれたのか。そして戦犯裁判の結末は? 戦後、日米を震撼させた悲劇の真相を克明に追ったノンフィクション。昭和54年の発売とともに大反響を呼んだ名著が、戦後60年目に甦る!

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  • 巣鴨プリズン13号鉄扉 BC級戦犯とその遺族
    4.0
    極東国際軍事裁判で処刑を宣告され、断頭台の露と消えた戦犯たち。彼らの死をめぐる事実関係を洗い直し、知られざる戦争の側面を浮彫りにした力作。
  • 対論・異色昭和史
    3.6
    1巻799円 (税込)
    雑誌『思想の科学』への投稿がきっかけで交流が始まった二人。半世紀ぶりに再会し、語り合った昭和の記憶とは? 鶴見氏は、昭和三年の張作霖爆殺事件の号外を覚えているという。八歳年下の上坂氏が、戦前から戦後の体験談について、根掘り葉掘り質問をぶつける。「米国から帰国したのは愛国心かしら?」と問う上坂氏に、「断じて違う!」と烈火のごとく否定する鶴見氏。一方で、「戦時体制にも爽やかさがあった」と吐露する上坂氏に対して、「私もそう感じた」と応える鶴見氏。やがて議論は、六〇年安保、ベ平連、三島事件、靖国問題へ。六〇年安保のデモ行進に誘われた上坂氏は「後にも先にもデモに参加したのはあれが初めて」と。その後、ノンフィクション作家として自立してゆく上坂氏の原点に、鶴見氏らとの交流があったというのは興味深い。現在では護憲派、改憲派という立場を異にする二人だが、いまだからこそ訊ける、話せる逸話が尽きない。圧巻の一六五歳対論!
  • 日本はそんなに悪い国なのか A級戦犯・靖国問題・平和祈念碑設立をめぐって
    3.5
    1巻579円 (税込)
    毎年、8月15日が近づくと話題になる「首相の靖国神社参拝」、それに過剰に反応する近隣諸国……。戦後、日本に定着した、新種の風物詩と揶揄したくなるほどである。しかし、「近隣諸国への配慮」と「国策を考えて」という、まやかしの名目で、首相の靖国神社参拝を問題視し、近隣諸国に謝罪外交を続ける日本に、著者は疑問を投げかける。「正々堂々と反論もせず、言い逃れを画策する態度こそ問題である」と。本書は、A級戦犯・靖国問題・平和祈念碑設立をめぐって、敗戦から60年を経て、いまなお繰り返される不毛な議論に終止符を打つべく、その是非を世に問うた論考集である。文庫化に際して、昭和28年8月3日の衆議院本会議における「戦犯の赦免に関する決議」などを収録。この資料を見れば、当時の日本社会党、日本共産党も含め、「全会一致」で「戦犯赦免」を可決していることがわかる。その時点から日本に「戦犯」はいないことを記しておこう。
  • ひとりで暮らす ひとりで生きる 女の生活力
    3.0
    1巻999円 (税込)
    独身で生きてきて悔いはないかと聞かれれば、意地にも悔いているなどとはいわないけれど、私としては他人さまに独身をすすめる気になれない。むしろ死んだつもりで妥協できるなら、一度は結婚したほうがいいというだろう。/「死んだつもりの見合い」 年老いてからは、幾ばくかの貯金と一匹の愛犬がいればいいといった人がいるが、女が体を張って生きている時期には、没頭できる仕事と心の支えとしての親がいればいい。外に七人の敵がいるのは男も女も変わりはない。/「足の先まで緊張して」 常識とは標準的な生活をしている人を基盤にしてつくられたものだろうから、家庭を持たずに生きてきた私などが異論を唱えるのは筋ちがいなのだ。そうは思いながら母の死に直面した私は、ことさら常識にさからった。/「試練」 多忙を恨むなかれ。多忙とは体中の細胞を躍動させる状況であり、細胞がフル回転する時期は人の一生で案外短いものだ。/「多忙の効用」 ほか

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  • ハル・ライシャワー
    -
    財閥の家に生まれ、自由な発想と独立心に恵まれ、アメリカ留学を果たした松方ハル。帰国後はジャーナリストとして活躍。 そして人生の転機となったエドウィン・ライシャワーとの運命の出会い……。40歳で結婚、いきなり3人の子供の継母に。そして駐日大使夫人として大活躍。激動の時代、波乱万丈の人生を生き抜いた日本女性の感動の生涯を徹底取材した不朽の一作!!
  • この人・この母
    -
    1巻550円 (税込)
    ここに登場するのは、素晴らしいおふくろや、お母さんたちです。生まれや境遇、経てきた苦労の数々は、みんな千差万別ですが、共通点はただ一つ……何かに向けて親が一途に生きていけば、子どもたちは勇気づけられ逞しく育っていく、ということ。型破りの愛情で結ばれた感動的な、この13組の母と子の素敵な関係。自分も10人兄妹の大家族に生まれた著者が、親と子のつながりの大切さを説く。楽しいエピソードがいっぱいで、小沢征爾・王貞治・畑正憲らには、こんな素敵なお母さんがいたという新鮮な驚きも。作家やタレントなど有名人13人のお母さんが語る、子育ての記録。おふくろ、万歳!
  • 政治経済より人間力 松下政経塾は何をするところか
    -
    創設三十年で、政界に百人の人材を送った松下政経塾。選挙のたびに候補者の出身母体として告知されるが、実際はどんなところで、何を教えているのだろうか。本書は、松下政経塾の実態に迫ったノンフィクションである。著者が取材を思いついたのは、松下幸之助塾主と記念撮影をした二十五年前の写真がきっかけであった。あのとき訪れた塾は、いまどうなっているのだろうか。入塾式から教室研修、恒例のイベント、百キロ行軍の取材、さらには、女医塾生を追いかけてアメリカへ飛び立つなど、ほぼ一年間、塾生とつかず離れずの立場で行動をともにした。そこで感じたことは、政経塾は政治家養成のために綿密なカリキュラムを用意してくれる機関ではなく、志を抱いた青年たちが「人間力」を磨くために、あくまで自修自得の場を与えてくれる“道場”である、ということ。そのような塾と塾生のゆるやかな関係に、新たな可能性を感じとる。政治混迷のいま、指導者の資質を改めて問い直した好著。
  • おんなの一人旅
    -
    1巻440円 (税込)
    「せまい日本、そんなに急いでどこへ行く」ってヒネくれた標語ねえ。ソリャ確かにせまいけど、歩けば歩くほど、面白いことがあるわよと原稿執筆とテレビ出演のはざまをぬって講演に、取材にと日本全国津々浦々へ。エンヤトットと大漁節で迎えてくれた女学校、名物の牛なべを食いそびれて涙した夜、講演料を定期預金でくれた銀行、見上げるほどの大女芸者で歓待してくれた新聞社等々、気軽さと心細さを道連れに駈け巡った旅先で起こった立腹、抱腹の旅エッセイ。

ユーザーレビュー

  • 死ぬという大仕事

    Posted by ブクログ

    作家上坂冬子さんが、がんでなくなられたのは2009年4月14日。

    本書は「緩和ケア」にふれた筆者が自身の体験として、そしてジャーナリストの視点から緩和ケアを綴った遺作となる。
    2009年6月に刊行されたものの文庫版で、編集者からの追記が加えられている。

    上坂冬子さんの希望が綴られているとともに、当時(ほんの数年前)のがん医療、緩和ケア、終末期医療の課題が浮き彫りにされている。

    上坂冬子さんらしい語り口と、それに対する慈恵医大病院の医師、理事長の率直な意見がお茶を濁すことなく記されている。

    ユーモアあり、ストレートな問題提起ありと満足できる内容となっている。

    がん患者の立場から、また、

    0
    2013年01月16日
  • 償いは済んでいる―忘れられた戦犯と遺族の歴史

    Posted by ブクログ

    本書の中で上坂冬子氏は次のように仰っている。「戦後補償を論ずるなら、敗戦から講和条約締結までのあいだに戦敗国が戦勝国から受けた報復の事実と、いわれたとおりに日本が済ませた償いの事実を見極めてからにすべきです。そして、もし日本が国際社会に向かって不戦決議をするなら、まず何よりも不公平な裁判によって戦争”犯罪人”と位置付けられてきた名もない国民の名誉回復を決議するのが先決だ」この言葉は本書の内容を、そして現在の日本の異常とそこからの脱出を的確に表現していると思います。

    0
    2010年05月22日
  • 対論・異色昭和史

    Posted by ブクログ

    ちょうど出たばかりのこの本を、さていつ読もうかな、などと思っている時に、残念なことに、上坂冬子の訃報が入りました。

    思えば彼女は、筋金入りの保守派でした。どちらかというと、まぎれもなく、真剣に対峙するとしたら、とんでもない許し難い保守反動でした。

    悪しき改憲論者で、韓国従軍慰安婦への無理解や、夫婦別姓反対で、戦中派に相応しく皇国史観を残存した前世紀の遺物=シーラーカンスに似た化石に近い存在でした。(けなしているように見えますが、私流にちょっとお茶目に、面白可笑しく装って、誉めそやそうとしているのですが、あまり成功していません・・・)

    そういう、どちらかというと敵なのに、でも何故か、彼女の

    0
    2011年08月06日
  • 新版「生体解剖」事件 B29飛行士、医学実験の真相

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    太平洋戦争が終る3ヶ月前、九州に墜落したB29爆撃機の飛行士が九州大学医学部の解剖室へ運ばれた。そこで生きたまま医学実験や解剖の犠牲となった。終戦間際の混乱の中、いったい誰が指示をしたのか、軍の命令に九州大学の医師たちはNOと言えなかったのか。それとも、医師たちも自分の研究の成果を上げるためにすすんで協力したのか。

    この事件に関しては、遠藤周作の『海と毒薬』を以前読んだことがある。映画化されたものも観ている。しかし、その当時はどちらかというと“フィクション”という感覚のほうが強かった。その後いろいろな本を読み、太平洋戦争中の日本軍のしてきたことを知るようになった今、あらためてこの本を読むと“

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    2019年02月05日
  • 日本はそんなに悪い国なのか A級戦犯・靖国問題・平和祈念碑設立をめぐって

    Posted by ブクログ

    靖国問題について知りたくて読書。

    平成に入るくらいまで臭いものには蓋ように避けてきた問題、憲法改正もそうだし、先の大戦での分析や反省も避け、自虐史観を貫き通してきた印象がある。

    日本が岐路に経つ今、日本人自身が主体的に総括して、中国や韓国へ発信ししていくことは大切なような氣がする。

    靖国神社の問題は、私も含め日本人が知らなすぎる。A級戦犯とB級、C級の違いを知っている人がどれほどいるのか。恥ずかしながら私は、教壇に立っていた時代も正しく認識していなかった。日本のことですら知らないことが多すぎる。もっと謙虚に歴史を学ぶべきだと思う。

    一貫して感じるのは、戦争が人の運命を変え、不幸にするこ

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    2013年01月30日

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