日常を過ごしてる中で、男女の違いやお互いに理解し合えないところがあり、これが何に由来するのかを知りたくて、読んだ。何十年か生きていれば、聞いたことのある情報が多く、新規性は少なかったようの思う。しかし、聞いたことのある情報について深堀りし、内容を整理できたという点で本書は、個人的に良書の一冊である。
男女では、性格や運動能力など異なる部分が多い。例えば、女性は探し物が得意で、急に怒りを表面に出す。男性は論理的思考が得意だが、マルチタスクな作業ができない。このような特徴を持つ理由を進化学の観点から紐解いていく。ちなみに、著者は男女で平和なコミュニケーションを築いてもらいたいためか、本書では夫婦関係や恋愛について話を持ち出すことが多い。
男性は昔、狩猟をしていたため、空間把握能力が高く、余計な会話を必要としない傾向にある。加えて、目的達成やモノの分析について興味を示す。
一方女性は家庭を維持する役割を担っていたため、様々なところにアンテナを張っている。それゆえ、
マルチタスクであり、コミュニケーションを取ることを好む。脳梁が太いため、左脳と右脳の連結が強く、物事を分けて考えることが苦手である。
当方は男性なため、女性に対して興味深いと考えたことを述べる。
女性にとって、コミュニケーションを取ることそのものが仲良くなる証であることは、非常に驚いた。男性視点だと、物事を解決する手段だったり、気になることを聞くという現象としか捉えている人はいないのではないだろうか。黙っていても信頼感があれば仲がいいと感じるので、女性に比べると会話量が少なくても、仲良しな関係が成立しやすいのかもしれない。それでも、仲良くなるためには、会話は絶対に必要である。
左脳と右脳のつながりが強いため、会話量と仲の良さが比例すると感じるのが、女性だ。だから、男性は黙っていると怒っているように思われるし、女性が黙れば怒っていることになる。
つまり、女性の立場になってみれば、言葉や地図の目印など分かりやすいことが重要なのだろう。逆に、察する力が強いのは男性の方である気がする。
男女の違いを認識している人は多いと思うが、その違いを明確に理解している人は少ない。これからの社会では、男女の進化論的な性質よりも理性が勝るため、お互いの性質をいくつか持ち合わせる必要が出てくる。例えば、女性は男らしい振る舞いをした方が社会で認められやすいし、男性は効率良く物事を進めるために女性の基質が必要になる可能性がある。ただ、本書で述べられていることはあくまで大きな傾向があることを示しているだけで、これが万人に同じ強さで当てはまるわけではないことは心に留めておきたい。また、異性の考え方になろうとするのではなく、お互いを俯瞰的に見て、お互いの性質を理解しておくことが大事だと考える。