大谷亨の作品一覧

「大谷亨」の「中国の死神」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 中国の死神
    4.0
    中国の死神である「無常」。寿命が尽きようとする者の魂を捉えにくるこの冥界からの使者は、日本では無名だが中国ではよく知られた民間信仰の鬼神である。冥界と密接な関係をもつ廟で盛んに祀られ、その信仰は中国にとどまらず台湾や東南アジア各地にまで広がっている。 「白と黒」のペアで存在することが多い無常は、謎の高帽子をかぶったり長い舌をダラリと垂らしたりと、強烈な視覚イメージで中国人のあいだに根づいている。だがその一方、無常がいつ、どの地域で、どのように誕生して現在に至るのか、なぜ人々は死神を拝むのか、そうした無常信仰に対する客観的な考察はこれまで十分になされてこなかった。 本書は、2年半に及ぶ中国でのフィールドワークに基づきながら、無常の歴史的変遷を緻密にたどり、妖怪から神へと上り詰めたそのプロセスや背景にある民間信仰の原理を明らかにする中国妖怪学の書。貴重な写真をフルカラーで130点以上収録。

ユーザーレビュー

  • 中国の死神

    Posted by ブクログ

    各時代の政権や宗教団体に整備された神様然とした神ではなく、特定地域の庶民発・流転を繰り返してきた地元の信仰対象としての死神・無常と庶民の関わりを描く
    元々の由来がここで考察されている通りとしたらかなり格が上がりつつあるようにも見えるが、分身の取り入れなど今後も変化が見られそうで楽しみ

    0
    2025年06月23日
  • 中国の死神

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「無常」という中国の死神の成り立ちや民間信仰の様子を研究する。研究書といっても、言葉は易しく写真も豊富なのでとても読みやすい。推論を立て、文献や現地調査を通じて、少しずつ謎が明らかになっていくという研究の様子が追体験できる。

    「無常」という神様は、ノッポの「白無常」(表紙の写真)とチビの「黒無常」のセットで祀られるのが一般的で、中国や台湾の廟で見かける神像のなかでも特に印象的な外見をしている。道教では数多の神様が信奉されているが、その中でもメジャーな存在といえる。(ちなみに、台湾では「七爺」「八爺」とも呼ばれている。)

    もともとは没個性的だった「無常」が、どのようにして現在の「白無常」よう

    0
    2025年02月26日
  • 中国の死神

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    以前から中国の神様とか神話に興味がありました。
    というのも、天帝とか西王母のような存在はあるらしいのですが、どうもそれと宗教や信仰が私の中で結びつかないのです。
    でもまあ、死神から勉強してみるか、と思って読んだのですが、思っていたのとはちょっと違う展開になってしまいました。

    著者がテーマとして追いかけているのが「無常」という死神です。
    ここで中国の世界観が関係してくるのですが、神様は基本的に天にまします。
    しかし、寿命が尽きそうな人間がいると、部下に「迎えに行ってやれ」と命じます。
    なんと神さまの世界は階級社会で、しかも官僚制です。
    上司である神さまに命じられて迎えに来てくれるのが勾魂使者で

    0
    2025年02月14日
  • 中国の死神

    Posted by ブクログ

    民俗学系のYouTubeチャンネルで紹介されていたことをきっかけに読みました
    元々妖怪好きで日本の妖怪には興味を持って来ましたが、今回この本を読んで中国の妖怪や東南アジアの他の地域に伝わる妖怪伝説のようなものにも断然興味が湧いてきたところです
    学術論文の間に挟まる著者のフィールドワークでの体験を書いたエッセイがどれも面白くて最後まで楽しく読めました

    0
    2024年12月29日
  • 中国の死神

    Posted by ブクログ

    ブサ怖い表紙に誘われて最後まで一気に読んでしまいました。この本を知って台湾等アジアの廟を巡ると面白いかも。民間信仰の無常の歴史良く調べている。
    中国の妖怪の原点かな。
    とにかく色鮮やかで、ブサ可愛い、不気味で怖い、楽しく入りやすい面白い学術書です。
    こんなの初めて見ました!

    0
    2024年03月04日

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