作品一覧

  • 普通という異常 健常発達という病
    3.4
    1巻1,045円 (税込)
    ADHDやASDを病いと呼ぶのなら、「普通」も同じように病いだーー 「色、金、名誉」にこだわり、周囲の承認に疲れてしまった人たち。 「いいね」によって、一つの「私」に束ねられる現代、極端な「普通」がもたらす「しんどさ」から抜け出すためのヒント ●「自分がどうしたいか」よりも「他人がどう見ているか気になって仕方がない」 ●「いじわるコミュニケーション」という承認欲求 ●流行へのとらわれ       ●対人希求性が過多になる「しんどさ」 ●本音と建て前のやり取り ●社会のスタンダードから外れていないか不安 ●ドーパミン移行過剰症としての健常発達 ●親の「いいね」という魔法 「病」が、ある特性について、自分ないしは身近な他人が苦しむことを前提とした場合、ADHDやASDが病い的になることがあるのは間違いないでしょう。一方で、定型発達の特性を持つ人も負けず劣らず病い的になることがあるのではないか、この本で取り扱いたいのは、こういう疑問です。たとえば定型発達の特性が過剰な人が、「相手が自分をどうみているのかが気になって仕方がない」「自分は普通ではなくなったのではないか」という不安から矢も楯もたまらなくなってしまう場合、そうした定型発達の人の特性も病といってもいいのではないか、ということです。――「はじめに」より
  • 発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること
    4.0
    1巻1,815円 (税込)
    精神科医が自分を振り返り自らに「発達障害」という診断を下したとき、自分というもののあり方、他者との関係や理解はどのように見えてくるのか。 ASD(自閉症スペクトラム)、ADHD(注意欠陥多動障害)、DCD(発達性協調運動障害)などの診断名で呼ばれる「発達障害」は病気ではないし、必ずしも「障害」ではない。脳のスペックの傾向であり、そのスペックに適した環境に置かれていないがゆえの不適応と考えるほうがはるかに実態に近い。 私のスペックは、たとえば精神科医、牡羊座、A型、DCD、右利き、日本人、大学教授などさまざまに表される。しかし、その中の一つに焦点をあて人としての本質として前景化した形で周りから名指されてしまうと、その「分かられ方」は自分からは切り離され、独自の存在として扱われることになる。 物事を認識すること、人を理解することにおいて、人間の思考の営みは常になにかを捨て去り、排他的に対象を輪郭づけようとするのではないか。ゆで卵が生卵からゆで卵に変貌する臨界点はどこにあるのか。 人工的に作られた名前が必ずしも「定義」から出発しているとはかぎらず、定義もまた定義づけられた瞬間からその「過不足のなさ」は揺らぐことになる。 人を了解すること、人を説明すること、それらの間にはなにか質的な違いがあるのではないか。また自分が自分を分かるということはじつは大きな謎であり、他人のことが分かることの謎へと連続的に連なっている。 本書は、著者による発達障害の自分史を事例としてつつ、「私」あるいは「私」と他者との関係の「分かり方」を考察する。名指すことによって分かるのでなく、繰り返し語らい合い、ともに眼差すことによって「分かる」ことへと接近するだろう道筋を探って。
  • なぜ私は一続きの私であるのか ベルクソン・ドゥルーズ・精神病理
    4.0
    1巻1,815円 (税込)
    オートポイエーシスという閉じた系の身体でありながら、意識が立ち上がるに際しては外部に連結する開口部を持たなければならないという矛盾。意識という現象はいったい何なのか。脳の働きとの関係はどうなっているのか。それは「私」という一続きの事態をどう成立させているのか。脳科学研究が「意識」の物質への還元を方向付ける趨勢に反駁したベルクソン、さらにドゥルーズの理論を参照し「私」の立ち上がる現場に迫る。
  • 最終講義:心因と外因を一人の精神科医が診察することの難しさ
    -
    1巻1,980円 (税込)
    「精神科医は了解を生業とする職業である」――てんかんを専門とし、精神病理学に通じた著者による愛知医科大学精神科学講座での最終講義。精神医学入門のエッセンスをわかりやすく伝える。精神疾患における心因・内因・外因の基本的な参照枠、了解の重要性、臨床における対人距離の築き方などを、実例を交えながら解説。臨床医のみならず精神医学に関心のある読者に精神医学の魅力を伝える。教授就任当時の貴重なインタビューなど、他2編を併載。
  • てんかんから始める精神医学 精神科医が脳を見失わないために
    -
    1巻2,860円 (税込)
    精神科医にとってのてんかん診療はどうあるべきか? 本書は、精神科におけるてんかん診療の視点から、医師が身につけたい技能、リエゾン場面において必要とされる知識など、著者ならではの豊富な臨床経験によって導きだされた実践的内容の論考を収載。てんかんをサブスペシャルティとして担う方はもちろん、この領域の臨床に関心をもつすべての人に向けて、てんかん診療のスキルを身につけることの魅力を存分に伝える。
  • 発達障害の精神病理IV-ADHD編
    -
    1巻3,740円 (税込)
    発達障害の臨床現場では、注意欠如・多動症(ADHD)の事例がますます重要性を増しているが、その精神病理学的な理解については極めて乏しいといえる。こうした問題意識のもと9人の精神科医がADHDの精神病理についてのワークショップを開催し、その成果を本書にまとめた。リサーチの最前線や革新的な精神病理学的考察など、ADHDの概念を立体的に論じ浮き彫りにする。大好評の「発達障害の精神病理」シリーズの第4弾!
  • 発達障害の精神病理 II
    -
    1巻3,740円 (税込)
    発達障害の概念は、精神医学のパラダイムを覆すほどの影響をもたらし、発達障害や、特に自閉症スペクトラム障害(ASD)に関する研究は、精神病理学の中でも大きな柱をなす重要な領域となっている。臨床知を集積し、発達障害の本質を見極めるという問題意識のもと総勢17人の専門家が集い、相互討論ワークショップを行った。本書には、そこでの徹底した議論を踏まえ書き下ろされた9編の論考が収められている。単にひとつの疾患概念の出現ということを超え、精神医学のパラダイムに深甚な影響をもたらした「発達障害」の精神世界を探究する。

ユーザーレビュー

  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    これは中身に対して題名が軽過ぎる印象にある。
    実態は定型発達と非定型発達の差異から垣間見る人間としての哲学論考に他ならない。
    ただ題名だけをみると精神学の本に見えなくもない。これはかなり重めの哲学書であることは踏まえておかないと読むのは苦痛になるだろう。

    さて、ADHD当事者としては「せやろか」の連続であることは否めない。さもありなん、カントの例も出てくるが、我々は言語化し得ないファジーな感性の中に揺蕩う一次的感覚を他者に伝達する上で削ぎ落とされる情報と付加される虚偽が生じるのだから。

    なので、正確に発達障害と健常発達の病理を明かすと言うよりは、理論立ての遊戯を眺める感覚の方が良いかもしれ

    0
    2024年07月17日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    ■ベーシック・トラスト(基本的信頼)とは、エリクソンが言い始めた精神科用語。
     具体的には、自分は何か価値ある存在だとあえて証明しなくても、自分とは生きる価値のある、いいものだと思える基本的な自分への信頼感のこと。
     子供の養育者が子供に充分「いいね」を言って育てるとベーシック・トラストは醸成され、そうでないと、自分が生きるに値するいいものであることを、子供はその後の生涯をかけて証明しなくてはならなくなる。

    0
    2023年10月01日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    とても面白かった。
    健常発達を一つの特性として捉え直すことで、普通に生きることの困難さ、生きづらさについて考えていくような流れと感じました。
    大きな物語で自己をバラバラにならないようにしていた昭和と比較し、令和はいいね!と言った他者評価により自己をバラバラにならないようにしていくという流れと理解しました。
    他者を取り込み自己を形成していく過程を超え、あまりに多くの他者像に触れてしまう現代においては、自己をどのようにも形成できてしまう(ように錯覚してしまう)自己形成における自由の刑に処せられているように思えます。また、少し前ならドラマ、今ならSNSで提供される普通は、とてもハードルが高いと個人的

    0
    2023年08月15日
  • 発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること

    Posted by ブクログ

    脳の物理的側面と感覚的な側面。なんとなく、脳というものは限界がなくてがんばれば改善できるような気もしてしまうが、薬などできちんと介入しないと改善できない、それどころかそう考えていると(薬が必要な状況なのにそれなしになんとかしようとしていると)危険なケースもあるということ。。

    0
    2020年02月06日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    「発達障害とはどういうものか?」という内容だという認識で読み始めました。
    そういったことの解説もあるのですが、もっと踏み込んで、「そもそも人間の欲求ってどのように生じるのか?」といった哲学的な問いから「普通の人って何なんだろう?」というところに及んでいて、とても勉強になりました。

    0
    2025年09月25日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!