高橋洋の作品一覧
「高橋洋」の「意識と時間と脳の波」「経験する機械 ――心はいかにして現実を予測し構成するか」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで203万冊以上配信中!
「高橋洋」の「意識と時間と脳の波」「経験する機械 ――心はいかにして現実を予測し構成するか」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
「予測処理理論は知覚と行動を完全に統合する初めての理論であり、感覚状態をめぐる予測エラーを最小限に抑えるという共通の目標を達成するために構築された能力として、知覚と行動を捉える。知覚と行動は、予測エラーに対処する相互に補完的な手段」
と本書は述べているのだが、まあ、こういうことだ。
人間の脳はまず予測し、感覚データとの齟齬を埋めながら行動している。常に夢を見ながら行動していて、覚醒時は感覚データも尊重している、と言ってもいい。
私は以前読んだバレット博士の本に対して「プラトン、デカルト、カントらの西欧の偉大な哲学者が難解な言葉を用いて導いた認識論の議論を脳科学の観点から決着させた」と書いたのだが、案外的外れでもなかった。本書の著者アンディ・クラークもバレット博士を多く引用していて、そのように見ていたに違いないから。
そうなると、世界を人間の主観と客観性で描くデカルト的な認識論は根拠を失い、その辺りから形成されてきた近代社会概念も後退を余儀なくされる。各国の政治理念も大きく揺らぐ可能性がある。
ちょうどAIが急速に発達し、AIにできない人間の価値というものが何なのか改めて問われだした。新しく台頭するのは、生存(=秩序構築)を最上位に置く新しい人間観か。
Posted by ブクログ
本書は認知哲学の第一人者による「予測処理理論」の一般向け解説書。
第1章において「予測処理理論」について理論的な説明が行われ、第2章以下で、既存の現象の説明、今後の応用についての展望が描かれている。
従来の考え方では、経験は感覚情報の入力から始まるとされているが、「予測処理理論」においては、感覚シグナルはすでに生じている情報に基づく推測(予測)を洗練し、修正するために用いられる。
補遺で詳しく解説されているが、「予測する脳」は、四つの重要な要素から構成される。
一つ目は「生成モデル」であり、二つ目はそれによって刻一刻と発せられる予測である。三つ目は「予測エラー」であり、「予測エラー」は、予測と感覚シグナルの間の誤差に関する情報を伝達し、システムがより的確な予想を発せられるようにするか、世界に働きかけること(=行動すること)で予測に整合するよう感覚入力を整える。四つ目は「適合率」の見積もりで、それによって感覚刺激と予測の相対的な影響力が調節される。
具体例としては、錯視やプラシーボ効果、機能性障害(各種症状がみられるにもかかわらず生理的原因が特定できない障害)などが予測と予測エラー、適合率の観点から説明される。
また、「予測する脳」は身体(内部環境)と外部環境を統合的に捉えるものであり、情報が外部にあるか内部にあるかを問わないものであることから(「拡張された心」)、人類のさらなるITの活用も予想させる。
本書は単に新しい理論を知るだけではなく、読後、自分の思考や感情、感覚についても、予測や先入観の観点から意識するようになり、新たな視点が得られる。
【目次】
はじめに――経験を形作る
第1章 予測する機械を解剖する
視覚の高性能カメラモデル/流れを逆転させる/ポンコツラジオとコントロールされた幻覚/質素な脳/予測の力/正弦波音声と「グリーンニードル」効果/ホワイトクリスマスの幻聴/ドレスをめぐる錯覚など/予測の学習/予測としての知覚
第2章 精神医学と神経学をつなぐ
組織の損傷を超えて/プラシーボ効果とノセボ効果/痛みの自己確証の悪循環/機能性障害/注意の障害/フーバー徴候/慢性疼痛における予想の役割/自閉スペクトラム症におけるバランスの変化/強化された感覚世界/マガーク効果/統合失調症におけるバランスの変化/心的外傷後ストレス障害/では、何が最善のバランスなのか?
第3章 自己充足的予測としての行動
観念運動理論/カモメを見る/すべてを支配するただ一つの配線様式/くすぐりが教えてくれること/外野手から学ぶ/身体化された専門スキル/長期的なゲーム(と楽観的な予測の役割)
第4章 身体を予測する
暗室からの脱出/好奇心と予測エラー/身体予算の予測/情動の身体化/緊密に協調し合う神経回路/心で見る/うつ、不安と身体の予測 ポジティブな情報に対する免疫を作る/増殖する審美的な悪寒
間奏 ハードプロブレム――予測者を予測する?
単純な有感性/私たち自身を予想する/単純な自己モデル/哲学的ゾンビを尋問する
第5章 よりよい予想
自分が感じているものを知覚する/予測バイアスに対処する/有用なフィクション/内受容感覚を改善する/真実に近い?/動くキーボード/リアルさを保つ
第6章 生身の脳を超えて
世界への依存/ひとり暮らし/情報取得のための行動/認識的行動と実践的行動の統合/循環するプロセス/脳を徐々にアウトソーシングする/腸で考える/拡張された感覚/拡張された心/オットーは美術館に行く/ここまでの議論を要約する/資源調達をめぐる謎を解く/脳としての心
第7章 予測する機械をハッキングする
苦痛の軽減の予想/「正直な」プラシーボ効果の不思議/プラシーボ反応を教え込む/バーチャル・リアリティを用いて痛みを緩和する/留意事項/自己肯定の力/経験をフレーミングする/疼痛再処理療法 /自分自身の予想を免れる/幻覚剤と自己――化学的なロマンス/呪縛を緩める/瞑想と注意のコントロール
結論 世界に開かれた予測の生態系
補遺
要素1――生成モデル/要素2、3――予測と予測エラー/要素4――適合率
謝辞/註/訳者あとがき/索引