青木さやかの作品一覧
「青木さやか」の「50歳。はじまりの音しか聞こえない 青木さやかの「反省道」」「貯蓄が苦手な人こそ読んでほしいお金の第一歩 お金まわりを見直したら人生が変わった」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
この本に「母」とタイトルをつけたのすごいな。
内容としては青木さやかさんの自叙伝で、貧乏な下積み時代から一転、お金持ち有名人になるまでの経緯が書かれている。よって私のような凡人ならきっと『青木さやか物語』だとか『こうしてさやかは作られた』みたいなタイトルをつけると思う。「『母』ってタイトルなのにそこまで母のこと書いてないやん!」というクレームめいたレビューも散見される。
ただしタイトルを『母』とすることで、本書は単なる芸能人エッセイの域を超えた、深い物語になっている。
つまり冒頭と結末にお母さまとのエピソードを持ってきて、そしてタイトルを『母』とすることで、母について書いていない部分も、すべて母との確執を経た結果論のように見えてくるのだ。失礼な言い方になるけれど、「母親がこうだと子どもはこう育つ」という見本を披露されているような。「母」という枠組みを設けることにより、青木さやかさんの波乱万丈ストーリーに1本芯が通ってくる。
青木さやかさんには才能や度胸があったから、母への嫌悪を「母がいちばん嫌う仕事で成功してやれ」というパワーに変えて今日があるのかもしれないが、なかなか毒親育ちの娘がこんな人生を辿れることは稀だろう。自分もがんばろうとはとても思えないけど、こういう自分の癒し方もあるな、と思わされる。
「母が嫌いな原因が書かれていない」というクレームレビューもあるが、そう書けるのは親といい関係を築けている証拠だろう。私自身うっすら母が嫌いで、でもその理由や嫌いになった瞬間などをはっきり言語化するのは難しい。日々の積み重ねで生まれた感情だし、嫌い!と突き放しきれない部分もある。青木さやかさんも原因は書かなくていいし、書けないのだと思う。
そもそも本書には、書かれていないことがとても多い。ブレークした理由とか、結婚と離婚の理由とか、あるいはお母さまが亡くなった瞬間とか。そうした一見ドラマチックなポイントは、青木さやかさん的にはどうでもいいことなのかもしれない。書かないことを選択できるのが、とてつもなくかっこいい。そしてその余白が、本書に凄みを加えている。