浅田京磨の作品一覧
「浅田京磨」の「エリート宰相様に拾われたので、男装して秘書をすることになりました」「Berry’sFantasyエリート宰相様に拾われたので、男装して秘書をすることになりました」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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少女・女性マンガ
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未だナポレオン1世健在なり
この作品世界では何故かツグミが本来居た時代とは異なりナポレオン1世はセントヘレナで死なず存命であるのだ
ボナパルティスト、ナポレオン信奉者はヨーロッパに健在である事を恐れるオーストリアの秘密警察はツグミに警告を行う
メッテルニヒ大臣の秘書なら相当な職責であるのだから脅すのではなく国益に訴えかけるなり或いは名誉や金銭を用いるべきではないのか
ツグミはナポレオン2世ライヒシュタット公は潔白であり担ぎ上げられる事も無いだろうと確信しながらもメッテルニヒへの愛慕が強まってもいた
そうだ、ツグミはメッテルニヒを愛しながらもライヒシュタット公という幼き皇帝の嫡男に惹かれているのだ
ゾフィー妃から引き抜きを望まれ彼女に随伴するツグミは妃からライヒシュタット公が彼の実母マリー・ルイーズに逢いたがっている事を伝えられる
さて、個人的にこの作品の最も目を惹く核心がこのマリー・ルイーズとライヒシュタット公の関係性に有ると感じている
マリー・ルイーズはナポレオン1世の正妃として若くしてフランスに輿入れして程なくしてナポレオン1世のただ一人の嫡男としてナポレオン・フランソワ・シャルル・ジョゼフが生まれた
そしてこの作品世界では、ナポレオン1世は既にセントヘレナにまで送られながら生き延びている
マリー・ルイーズが故国オーストリアに還されてからパルマに移り領地を治めているのが劇中でのツグミの居る時間であり
ツグミは愛するライヒシュタット公の望みを叶えるべく女の身空でマリー・ルイーズの馬車に飛び込んでいく
そこに居たのは慈愛に満ちた女貴族であった
それならば、何故にマリー・ルイーズは実の息子ナポレオン・フランソワ・シャルル・ジョゼフと逢おうとしないのだ?!
フランツ・カール大公が可哀想
オーストリア帝国の皇帝フランツ2世の嫡男と目されるフランツ・カール大公はバイエルンから娶った王女ゾフィーを自由にし過ぎているようだ
フランツ・カール大公は当時22歳で遠慮がちな人柄だったといい、この作品ではゾフィーの言い分では目すら合わせてくれぬという
その結果、フランツ・カール大公の甥にあたるナポレオン2世ライヒシュタット公という13歳の子供にゾフィーは纏わりついている
ツグミ(やっとこの作品の本来の主役について言及できる)はゾフィー妃に気に入られ彼女の方の秘書のようであった
ツグミは宰相メッテルニヒに救われ彼の秘書という以上に恋心を抱いているのでメッテルニヒの善意を疑わないが、実際には彼と皇帝の下した命令による非情な政略こそがナポレオン2世を生み出したんだ
それにフランツ・カール大公にも不遜な物言いをしている事など必ずしも善人ではないのだ
いよいよヨーロッパの主たち登場
この作品の主役はナポレオン2世だ
自分の印象では紛れなくナポレオン2世ライヒシュタット公が主役だ
そしてナポレオン2世ライヒシュタット公はこの時点でも13歳で
彼と浮名を流す事になる、フランツ・カール大公の妃としてバイエルンから招かれてきたゾフィーが登場する
カール大公って言ってもナポレオン1世と何度も激戦を繰り広げた不世出の軍人でないと自分が覚えるのは大変だった
フランツ・カール大公は当時の皇帝陛下であるフランツ2世の実子であり、ナポレオン2世の母マリー=ルイーズの弟なのでナポレオン2世とは叔父甥にあたる
ただ自分としては、ナポレオン2世の過酷な人生はメッテルニヒの差し金も有り
そしてメッテルニヒは自分がやる事はオーストリアとヨーロッパのためでござい、と涼しい顔で何の犠牲も払っていないので気に入らなかった、のだけど
この物語のメッテルニヒには最後に種明かしがある
それでもメッテルニヒが物語の上では余計なんだよな、もっとナポレオン2世を見ていたい!
ウィーンで宰相メッテルニヒと
19世紀のオーストリアはウィーンで宰相として辣腕を振るったメッテルニヒ
彼がこの物語の主役の一人である
貴族が政治と軍事の両面で実務に取り組んだ時代や国で帝政を維持した彼の元に舞い降りた名も知られぬ島国・日本の女性ツグミ
ドイツ語のみならず多言語を理解する彼女をメッテルニヒは秘書長ゲンツの元で鍛える事にする
メッテルニヒには実は秘密が有るのだがこの作品では展開が進むまでは明かされない
とは言え、オーストリア帝国の王女であるマリー・ルイーゼを不俱戴天の敵国フランスのナポレオン1世に輿入れさせナポレオン1世が失脚するやマリー・ルイーゼとの嫡男ライヒシュタット公も含めてウィーンまで連れ帰り政治的に駒として用いる冷徹さも有る事は提示されている
改めて、メッテルニヒの視点から物語を見直してみた
ツグミという現代日本人が秘書として勤務していたのが同僚の同性の秘書に陥れられて失職した末に死亡したのが転生し
1820年代のオーストリアでメッテルニヒに匿われる、というのが物語の始まりである
ツグミは原作小説では社長を能無しだと見下している事がはっきり描写されているので憎まれる事自体は無理ないと感じたが漫画版ではその要素を削除したので愛らしくなっている
メッテルニヒとフリードリヒ・フォン・ゲンツやラデッキー将軍、そして愛らしきナポレオン2世ライヒシュタット公など
実在の男達も登場する魅惑のヨーロッパ歴史ファンタジー
最後まで読み通したくなる物語
ライヒシュタット公が再登場
ツグミは宰相メッテルニヒの秘書として正式に認められ彼より紋章シールを賜り
オーストリア帝国の皇帝陛下への忠誠を改めて宣誓している
フランツ2世あたりという事になりフランスでルイ16世が一家皆殺しにされた頃に即位しているのでそれはフランスを忌み嫌うだろう
ツグミ本人に関しては、現代日本で秘書として暮らしていたのが同僚の秘書(ちなみに女性)に陥れられて失脚した事を振り返っている
漫画版ではサラッと流しているが原作小説ではツグミは社長を能無しだと見なしていたようで個人的には陥れられるのも無理はない人間性だと思ったから
そのあたりは改変したのは英断だと思う
概ね他人は他人の行動に関して無頓着なので「そんな事はしていない」と本人からは自明でも「あいつはやっていそうだ」と言い張られたら反証すら検証されない
宮殿でツグミは子鷲ことナポレオン2世ライヒシュタット公と再会を遂げる
ウィーンに軟禁されている少年はマリー・ルイーゼと対面したいのだがそれすら叶わずまたオーストリアに自分を連れ帰ったメッテルニヒを憎んでいる
これもまた無理もないのだ
メッテルニヒは人生を謳歌しただろうがライヒシュタット公はそうではなかったのだから