作品一覧

  • 赤い砂を蹴る
    3.8
    1巻1,400円 (税込)
    社会派作品で評価の高い劇作家・石原燃による小説デビュー作にして、第163回 芥川賞候補作! 「――お母さん、聞こえる? 私は、生きていくよ。」 幼くして命を落とした弟。 心ない世間の声に抗い、それでも母は自由に生きた。 画家の母・恭子を亡くした千夏は、母の友人・芽衣子とふたり、ブラジルへ旅に出る。 芽衣子もまた、アルコール依存の夫・雅尚を亡くした直後のことだった。 ブラジルの大地に舞い上がる赤い砂に、母と娘のたましいの邂逅を描く。 渾身のデビュー小説!
  • わたしたちの中絶――38の異なる経験
    4.0
    1巻2,376円 (税込)
    産む・産まない・産めないを、国家や医療、他者が管理しようとするこの世界で、「わたしたち」は自身の経験を語る。日本における中絶の歴史を振り返り、当事者の声と、支援者や研究者、取材者などの立場で様々な中絶を見聞きした人たちの声を収録。

ユーザーレビュー

  • 赤い砂を蹴る

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かったと同時に読んでいて少し苦しかった。家族と何かわだかまりがある人は読んでいてわかるところがあると思う。
    自分の人生を否定したくないから、その人の存在を含めて肯定したい。よかったところだけ覚えておけたら。

    お母さん、聞こえる?私はかわいそうじゃない。嫌だったことは忘れない。でも生きていくよ。

    太宰治の孫の作品だとは読んだ後に知った。

    0
    2022年03月09日
  • 赤い砂を蹴る

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「芽衣子」の生まれ故郷のブラジルへの旅において、似た光景を見る度に、過去のエピソードが時系列バラバラに織り込まれる構成は、初読だと分かりづらい部分もあった中で、後半突然に訪れた「千夏」の、母親「恭子」への想いに、こみ上げるものがあった。

    それは、お互いの存在意義を認め合うこと。親子だけど対等に相対する関係は、再読すると、その想いに至った過程が丁寧に積み重なっているのが分かるし、既にそうした想いで旅に臨んでいた千夏の気持ちを考えると、また異なる趣がある。

    弟「大輝」の死、浅ましい義父、大輝の絵を描き続ける恭子、憶測で偉そうな一般論をひけらかす周囲の他人たち、病気の恭子への気遣いが支配欲だった

    0
    2021年01月29日
  • 赤い砂を蹴る

    Posted by ブクログ

    太宰治(津島修治)の孫であり、津島佑子の子。
    その身の上を知ったのがきっかけで、読もうと決めた。
    比較したいという気持ちはなく、どういう文章を書くのかとても気になった。

    母親を亡くした主人公・千夏と、夫を亡くした芽衣子。
    芽衣子が育ったブラジルへと旅立った二人の姿を見ていると、景色や習慣は初めて知るものばかりなのに、なぜかとても懐かしい気持ちになった。
    読み進めていくうちに、私の記憶が掘り起こされるような感じがした。
    千夏の母親が亡くなるシーンでは、今年の夏に亡くなった私の義母のことを重ねてしまい、胸が苦しくなった。
    身内を亡くして不安定に揺れる気持ちを、旅の中で記憶とともに少しずつ受け入れ

    0
    2020年12月08日
  • 赤い砂を蹴る

    Posted by ブクログ

    太宰治のお孫さんとか,そういう話しはいらない。とてもみずみずしく、親を受け入れること,親から自由になること,自分の生き様を肯定することを静かにブラジルで省察する、素敵な物語だ。

    0
    2020年08月15日
  • 赤い砂を蹴る

    Posted by ブクログ

    母を亡くした千夏と、アル中の夫を亡くした母の友人芽衣子の2人が芽衣子の故郷のブラジルに旅する場面から物語は始まる。千夏には父親違いの弟がいて、その子もまた早逝している。ブラジルの日本人コロニアルを舞台に千夏の心は過去の想いと現実の狭間で揺らいでいる。お互い喪失感を共有する2人の関係が丁度良い距離感を出している。ザクザクと蹴り出すブラジルの赤い土がリアルでそこだけが未来を示す様だった。作者が津島裕子、太宰治の流れとは知らなかった。

    0
    2025年05月11日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!