太宰治(津島修治)の孫であり、津島佑子の子。
その身の上を知ったのがきっかけで、読もうと決めた。
比較したいという気持ちはなく、どういう文章を書くのかとても気になった。
母親を亡くした主人公・千夏と、夫を亡くした芽衣子。
芽衣子が育ったブラジルへと旅立った二人の姿を見ていると、景色や習慣は初めて知
...続きを読むるものばかりなのに、なぜかとても懐かしい気持ちになった。
読み進めていくうちに、私の記憶が掘り起こされるような感じがした。
千夏の母親が亡くなるシーンでは、今年の夏に亡くなった私の義母のことを重ねてしまい、胸が苦しくなった。
身内を亡くして不安定に揺れる気持ちを、旅の中で記憶とともに少しずつ受け入れていくような物語だった。
とても好きな作品だった。