ユーザーレビュー 新規事業の実践論 麻生要一 『新規事業の実践論』麻生要一著 ・リクルート式 ☆☆☆☆☆ ・わかりやすさ ☆☆☆☆☆ ・発展ステージ別やること ☆☆☆☆☆ 【購読動機】 私の実務機会が少なく、またインプット少ない領域が「新規事業」です。新規事業を立ち上げるに加えて、立ち上がった新規事業の成長を支えるという視点で勉強したいと考え...続きを読む、購読しています。 ―――――――― 【著者のバックボーン】 新規事業が強い会社といえば・・・。「リクルート」を思い起こす方も多いのではないでしょうか? 著者はリクルートで新規事業を立ち上げ、そして成功および失敗を多く経験している方です。著者がリクルートに入社した時期は、借金を返済し終え、「攻め」に転換したときです。 ―――――――― 【新規事業の実践論;立ち上げ編】 どのようなネタで新規事業を立ち上げるのか?本書では、そのポイントを「WILL」と記述しています。具体的には下記の4つの項目を定めることです。 ①だれの ②どんな困りごとを ③どのように解決するのか? ④なぜ、あなたが解決する必要があるのか? です。 この4つの項目を整理したあとは「組織・チーム編成」です。この編成で考慮するポイントは「内製化」と「外注/委託」の切り分けです。 事業の立ち上げ当初は、「¥がない」「管理する時間もない」です。そのため、何を内製化するのか?の視点が重要です。内製化と外注・委託を切り分けるときの「ポイント」があります。それは、外注・委託できない範囲は何か?を決めることです。この範囲のみを「内製化」するがベターです。 「WILL」(ネタ)、「チーム」そして「内製化と委託範囲」が決まりました。さあ、いよいよ営業活動を開始できる段階です。新規事業の「ネタ」が市場で受け入れてもらえるか?の試しうちのステージです。 資料は、簡素なものでよいです。前述の「WILL」をペーパーにして意見、情報交換をすることから始めます。初期の営業活動で大切な目標とプロセスは以下のとおりです。 <目標> 1社目(ひとりめ)の契約(ファースト・カスタマー)を獲得すること。 <プロセス> ・商談では、持参した仮説に対する意見を受領すること。説得するのではない。 ・次(2回目以降、または2社目、ふたりめ)の商談では、修正した仮説で臨むこと。 ・可能性ありの商談では、商談の終わりに「約束」を宣言すること。「いつまでに**をやってきます。」 その結果、事業は確実に前進するため。 ところで、商談を獲得する(アポイント取得)するにはどうしたらいいでしょうか?一般的には3種類の方法があります。 ①自らアポイントを獲得する。 ②他者(紹介をしれくれそうな方)経由でアポイントを獲得する。 ③外部プロフェッショナルサービス(ビザスク社など)を活用してアポイントを獲得する。 ―――――――― 【新規事業の実践論;営業活動/初期編】 前章の立ち上げ編で紹介したファースト・カスタマーは、ただ「契約」すればよいというわけではありません。事業拡大につながるファースト・カスタマーには「5つ」の条件が存在します。 <新規事業が発展するファースト・カスタマー。5つの条件とは?> ①縁故ではないこと ②値引きしないで正規な値段で購入してくれていること ③テストではなく本製品を購入してくれていること ④購入後、実際に利用してくれていること。 ⑤購入後、良い・悪いという意見を返してくれること。 ファースト・カスタマーにこの5つの条件がそろって、はじめて業績拡大につながります。なぜならば、ファースト・カスタマーが次の契約先に対する「説得材料」(事例・エビデンス)となるからです。 ―――――――― 【新規事業の実践論;営業活動/拡大編】 事業を拡大するには、販売促進、営業活動に多くのお金が必要です。そのため、社内から資金を調達する、または外部から資金を調達する(銀行借入または外部資本の受け入れ)状況が発生します。 その折には、社内または社外に対して説明する「資料」が必要となります。資料を作成するにあたり、外してはならないポイントが存在します。 それは、資料のなかの数値が「なぜ、この数値となっているのか?」(根拠)を補充しておくことです。 説明ができない、すなわち相手方が理解するに苦しむ資料では、資金調達が成功することはありません。たとえば、市場規模の見通しについても同様です。 市場規模の見通し、算出方法については、1社(1名)から獲得できる総売上高と想定するターゲット者数(客数)を乗じるが基本です。 ―――――――― 【読み終えて】 リクルートの新規事業に携わった方の書下ろしです。理論に加えて、タイトルのとおり「実践」につながる視点・方法が記述されているのが魅力的です。 とくに、営業(アポイントの取得方法)の箇所は、営業が強いリクルート社ならでは・・・の視点が紹介されています。 新規事業に携わっている方、またはこれから新規事業を・・・という方には、ぜひ手にとっていただきたい1冊です。 Posted by ブクログ 新規事業の実践論 麻生要一 新規事業立ち上げに必要なエッセンスが凝縮された良書。著者の圧倒的な経験を基にした、有用なフレームワークと知恵が詰まっている。これから新規事業立ち上げに取り組もうとしている身だが、何かあればまずはこの本に立ち戻ってみようと感じる。 Posted by ブクログ 新規事業の実践論 麻生要一 ここ10年くらい、企業の中期経営計画において、新事業創出、CVC、イノベーション戦略など、新規事業に関するワードが目立ってきている。 大企業からの新規事業の成功例には、富士フイルムやソニーなど有名なものもあるが、おそらく多くの上場企業では、新規事業やイノベーションを求められ、組織や体制も組まれてい...続きを読むるものの、進め方、選び方、育て方に型がなく、モヤモヤを抱えているのではないだろうか。 本書は、社内起業のための心構え、新規事業開発のプロセスをまとめたものである。著書は、あのリクルートで新規事業開発を数多く支援し、自らも起業、スタートアップ支援、ベンチャー投資を行っている。 なぜ社内起業、新規事業なのか。著書は、日本では独立起業よりも社内の新規事業の方が、より大きな社会課題を解決できるという。社会や産業の構造、人材的に、大企業の方が、多くのステークホルダーや規制改革を伴う変革を実現しやすいためである。 そのため、より多くの大企業が持続的に新規事業を興せるようにすることが、社会を良くすることに直接つながるが、実際には大企業ほど社内調整に時間がかかり、アイデアは曲げられ、挙げ句潰れるのがパターンである。 本書では、そのような社内の調整、社内関係者の意見にも意味があると認めつつ、新規事業開発を6ステージに分け、それぞれですべきこと、しないことを明示。特に市場規模や当社がやる意義、リスクなどは最初の実証段階までは質問しない、この期間は顧客に仮説を持っていく回数を稼ぐことを最重要とする。仮説をぶつけて修正するサイクルを300回、これが過去の経験から必要な回数という。 とはいうものの、社内でやるには社内会議も大事で、関係役員の質問を本質的でない、分かっていないと切り捨てるのは甘えだとも言う。社内会議とは、つまるところ「重箱の隅をつつく」会議。社内会議ハックとして、周到に準備をして置くことが大切である。 などなど、バランスよく具体的に書かれていて、新規事業を支援する部門や、新規事業プロジェクトに配属された人、社内で新規事業が募集されていて応募しようか迷っている人に大いに参考になりそう。 Posted by ブクログ 新規事業の実践論 麻生要一 新規事業関連本として2冊目のチョイス。 著者は元リクルートの麻生要一氏。麻生氏は、リクルートでIT子会社を立ち上げた後、リクルートの新規事業開発室長に就任し、約1500の新規事業を支援。今は独立されている。 感想。この本は最強の「社内起業のノウハウ本」だ(まだ2冊しか読んでないのだが‥)。5万円...続きを読む出して参加するセミナーの内容だったとしても、頂戴したノウハウに感謝したと思う。1,800円の割安感がハンパない。この惜しげもなさは凄い(惜しげもない話なのか判断できない程度のビギナーのコメントですが)。 備忘録。 ・日本がイノベーションを継続的に生み出すのに、社内企業という形が最もあっている。 ・例えば、20012年→2018年で、スタートアップが調達した金額は6倍に増えたが、起業家の数は2割増程度?。あまり増えていない。 ・「誰の」「どんな課題を」「なぜ私が解決するのか」。この意思の強さから始まる。 ・創業チームの人数の王道、4人以上にしない方が良い。少人数でコミュニケーションを1時間単位で回す。人数が多いとコミュニケーションの阻害要因を生み出す。また、肩書の組み合わせの記載が詳しくて、未経験者にはとても参考になる。名実とも共同経営者の組み合わせははうまくいかないとか。 ・ネットワーク(異分野をつなぐ力)、エグゼキューション(圧倒的にやり抜く力)、ナレッジ(深く広い知識)。この3つが創業チームには必要。 ・市場調査からスタートしてはいけない。 ・「新規事業の6つのステージ」。これ、タメになります。 ・事業仮説の4要素。顧客、課題、ソリューション、それらの検証方法。これらが何であって、それが確かに存在するか。 ・社内起業を検討する時に出てきてはいけないキーワード。「確認・事例・調査・会議・資料」と「社内・上司・先輩・競合」の組合せ。優秀な企業人はこれをやってしまう。既存事業ではこれらは正しいが、新規事業開発の立ち上げ期ではNG。これらの前に、先ずは、仮説を300回顧客のとこに持って行け。 ・「似たようなサービス「毎月いくら支払ってますか?」と聞きたい。 ・広報やマーケティングに力はを入れるのは、単一取引で利益が出るビジネスを用意できるまでは待て。この本で書かれている「一顧客あたり獲得単価CAC」と「一顧客あたり生涯利益LTV」の整理は分かりやすかった。 ・プライマリーカスタマーサクセス。 ・社内起業における、母体企業での会議対応の記述は、凄い。「立ち上がってない新規事業を正しく評価するのんて芸当はできない。それができるのは顧客だけである」、「世界を変えるアイデアは、世界を変える前に説明して理解を得ることはできない」。「でも、母体企業との会議で重箱の隅を突かれるのは、それも正当。そこは起業する側がしっかり準備せよ。怠るな。」、「リスクシナリオを撤退ラインはしっかり示せ」。 ・ビジネスプランが軌道に乗ったら、M&Aとかして一気に大きくできる可能性があるのは社内起業の強み。 Posted by ブクログ 新規事業の実践論 麻生要一 新規事業開発「自分の頭で考えたことに、自分で顧客を見つけ、自分で商売にする」業務 WILL(意思)+人数の王道(役割の異なる3人以下) ホンバ 新規事業開発の最前線 にいく 顧客起点が全て 「仮説を顧客に持っていき、修正する」をひたすら繰り返す 「300回顧客のところに行け」 スキルにも才能にも経験...続きを読むにもよらない、誰だって必ず新規事業を立ち上げられる、唯一再現可能かつ汎用的な手法 「回転速度」いかに作らず、いかに高速に検証するからこそが、新規事業開発の要諦 「正しく評価する」ことなんて誰もできない 社内会議が通過しないのは「100%準備不足」 「画期的なアイデア病」の存在 Posted by ブクログ 麻生要一のレビューをもっと見る