本書の主人公は、葛飾北斎の娘、葛飾応為であり、優れた助手であり、
または、女性画を描いたら父の北斎を凌ぐと言われている。
なぜ、黒子として父の助手で生涯を終えたのかが、本書で分かるかもしれない。
本書を読む楽しみにしましょう。
一部抜粋すると、
美術研究者の久保田一洋氏が発見したのは、北斎画の中
...続きを読むで一部応為が手を加えたか
判別方法がある。
それは、『指先の描き方』と『ほつれ髪』だ。
確かに男の北斎が描くには細かい箇所で苦手な部分だったらしいが、
そこを娘の応為が描くと繊細な女性画に変身した。
葛飾北斎は生涯に引っ越しを90回以上したという記録もあるらしい。
それだから、常に貧乏だったんだろうか?
いや、そうではない。
人気を博した浮世絵が売れまくっていた時代には、一説では三百石取りの武士と
同じ手取りがあったらしい。
現在の金額に直すと、『3千万円から4千5百万円』に値するらしい。
そのお金を惜しみなく、絵の研究とか、絵の具(顔料)にお金をかけて
自分の納得する絵を追求していった結果、常にお金が無い状態が続いていた。
最後に、自分の夢を娘の犠牲(助手)の元に果たせた北斎は幸せだったかの
しれないが、娘の応為は果たして幸せだったのだろうかと、本書を読むと
疑問の一部が解ける気がする。
関連書籍として気になったのは、
浅井まかての小説『眩(くらら)』を読みたくなってきた。