檀乃歩也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書の主人公は、葛飾北斎の娘、葛飾応為であり、優れた助手であり、
または、女性画を描いたら父の北斎を凌ぐと言われている。
なぜ、黒子として父の助手で生涯を終えたのかが、本書で分かるかもしれない。
本書を読む楽しみにしましょう。
一部抜粋すると、
美術研究者の久保田一洋氏が発見したのは、北斎画の中で一部応為が手を加えたか
判別方法がある。
それは、『指先の描き方』と『ほつれ髪』だ。
確かに男の北斎が描くには細かい箇所で苦手な部分だったらしいが、
そこを娘の応為が描くと繊細な女性画に変身した。
葛飾北斎は生涯に引っ越しを90回以上したという記録もあるらしい。
それだから、常に貧乏だったんだろ -
匿名
最近、注目を集めている葛飾応為をテーマにした、ミステリー小説のようなノンフィクション。元はテレビ番組だったらしい。
北斎が遺した膨大な作品の中にある応為の影に迫る、原田マハの本のような味わいの美術ミステリーで、この手の本にありがちの科学的考察はほとんどないので読みやすい。
バラバラの出来事が次々とつながりあって、タイトルの「北斎になりすました女」の意味が解けてくる後半のスピーディな展開は見事。
応為と北斎の晩年を扱った終章は少し切ないけれど、スカッとした読後感もあって、後味はいい。
残念なのは、カラーの図版がもっとあってもよかった。
読み始めると先が気になってやめられなくなるので、時 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「なりすました」って、随分強い言葉だと思うのですが、この本を読み終わった時には納得でした。
天才葛飾北斎の娘として、ずっと父の背中を見て絵と向き合ってきた応為こと栄。
炊事洗濯掃除が嫌いで、一度結婚したもののすぐに離縁され、その後ずっと父の仕事を手伝って暮らす。
一般的なイメージとして北斎は天才と思うのですが、実は北斎、めっちゃ勉強家。
若かりし頃、勝川春章に弟子入りしているにもかかわらず、こっそりとほかの流派にも弟子入りして絵を学び、結局師匠にばれて破門され、一匹狼の絵師としてやっていくことになる。
でもって、生涯絵の勉強を続けていたというのだから頭が下がる。
もちろん西洋画だって独学で -
Posted by ブクログ
ネタバレ絵画ミステリー?ノンフィクション?
ジャンル分けが難しいけど、とにかく面白い。
学術書という訳ではないので、憶測で書いてる部分も少なからずあるのかな?とは思う。
でもあの当時の90歳って相当の高齢な訳だから、誰かが晩年の北斎の絵を手伝ってた可能性は高い訳で、それが応為だとして全くおかしくない。いつの間にか手伝いの量が多くなって、影武者の様に描いていた可能性だって大いにあるよね。
応為はどういう気持ちだったのか。ただ絵を描ければそれで嬉しかったのかな。
話も面白いけど、応為の作品がどれも素敵な事に感動した。女の人特有の繊細さ、光と影のコントラストが素晴らしい。一度生で見てみたいな。
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Posted by ブクログ
葛飾応為、本名、栄。生没年不詳の謎に満ちた、女絵師。
葛飾北斎の娘である彼女の生涯を探る、ノンフィクション。
序章 闇に消えた女 第1章 北斎の幽霊 第2章 応為誕生
第3章 光と影を描く 第4章 シーボルトのコレクション
第5章 長崎から来た男 第6章 北斎になりすました女
第7章 秘密の仕事 第8章 応為、夜を描く
終章 応為はどこに消えたのか
参考文献・・・書籍・雑誌・論文、ウェブサイト、テレビ番組、史料
カラー口絵他、モノクロも含め適宜、絵の画像有り。
葛飾北斎の娘、応為とは?
知名度抜群の父・葛飾北斎の生涯の影に隠れた存在。
『葛飾北斎伝』の他、乏しい数の書状や文書、記 -
Posted by ブクログ
TV番組で葛飾応為の特集をしているのを見た
とても面白くて興味深かった
その時に紹介されていた「夜桜美人図」
その美しさにはっとした
レンブラントの「夜警」のような
谷崎潤一郎の「陰影礼賛」のような
光と影の美しさ
その美しさが忘れられずそのあと見に行ってしまった
謎多き、応為の人生
それを掘り進めていった本
北斎の光としての仕事
応為の陰としての仕事
なぜ彼女は北斎の陰にいたのか?
本書はそんな謎にも触れている
謎多き北斎と応為
北斎の作品のいくつかは応為が描いたのではないかと
推測されるという
たしかにそう言われてみれば繊細な部分だったり
色彩や構図など北斎ぽくない画もある…