この内容・構成で¥510!すごい!!
★評価が高くない話もあるけれど、全体として満足感がある。よかった。
デメリットは、この中で紹介されている本を読みたくなり買ってしまうこと(とは言え初めての作家さんは不安もあるので中古本を探した)。また、読み終えるのに時間がかかること。自分の場合、話を読み終えた後に時間を置かないと次に行けないので、短編で構成されているこの本は1日2話進めばよい方だった。
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「ディヴァイン」西加奈子 … ★3.5。完璧で盤石な「君」と活動家の娘。「あー、こんな聖人君子みたいな話は居心地悪い」と思ってたら、それを覆すオチが来てよかった。ただ、最後の結びはきれい過ぎるかな。タイトルがDivineだから仕方ないか。
「私たちは愛を失ったことがあるだろうか?」チョン・セラン … ★3.5。理解したと言えないけれど、引かれる内容だった。大恋愛TVドラマ終了の喪失感から抜け出すにつれ「一度も所有したことがないものをどうして失えるというのだ。ほとんどの人は命懸けの、文字通り断崖絶壁から飛び降りるような恋愛をすることはない」で始まる著者の考察。自分が恋愛小説が苦手な(読んでもあまり胸に刺さらない)理由がおぼろげに見えた気がする。
「音の心中」市川沙央 … ★3.5。よくわからないが余韻が残ってよかった。心臓の音を記録する芸術館を初めて知った。著者は心臓の音を芸術作品とする(?)という発想を知り、この話ができたのだろうか。
「彼」に向けての「私」の気持ちは同意できる。「戦争反対!」と叫ぶ人が、叫ばない人へ向ける憤り。でも、そういう憤りがそもそも戦争の元では? 「私」から「彼」への「あなたは戦争を消費しているだけだ」は的を得ている。あなたと同じ行動をしていないからと言って、それは平和ボケしているわけではない。あなたのしていることだけが正解ではないのだよ。
「嘔吐」小川哲 … ★3。このオヤジの一人よがりがきつく、読んでいると「嘔吐」を誘う。その一人よがりは「愛」ではなく、反意として「愛」がテーマのこの本に載ったと思う。でも、今はそんなヤツが多くいる状況、その中でわざわざこの内容にした意味は何?と頭に「?」が浮かんだ。この状況を変えなくては!というメッセージ?
「【ア】【イ】」尾崎世界観 … ★2。??? わからない。
「念のため」芹沢央 … ★2.5。??? なんてことない日常にも裏があり、それに気付かなかったり気付かせないことが優しさ(愛)ってこと?
「二番目のアイスを教えてください」ワクサカソウヘイ … ★3。自分は一番がチョコモナカジャンボ、二番がピノ。…てことは本命はピノ?
「違う海にいる」麻布競馬場 … ★2.5。僕(木村)は松島との思い出(海)に生きていくということ? もう少し説明して欲しい気持ち。
「愛することを知らない子は」島本理生 … ★2.5。女子生徒の玉川と彼女の弟との行為、それを平然と「私」に話せる関係、「私」に芽生えた新井市への思い… などのシチュエーションについていけなかった。自分には苦手な感じ。
「終末の愛」冲方丁 … ★3。人類が終末へ向かうことになった理由はE2関連薬による博愛の心。人類の終末を救うのはアンチE2薬による愛の駆除。物語としてちょっと厳しいかな…
「五十歳、ロスジェネ、ギバーおぢ」葉真中顕 … ★2.5。因果は巡る…?
「ポルト」パク・ソルメ … ★2。空想の世界でのドライブ? 話が見えてこない。こういうのが純文学?
翻訳者の解説が印象に残った『韓国語にも「彼女」と「彼」にあたる言葉があるが、近年女性作家の間では「彼」に一本化し「彼女」を使わない人が増えている』その背景は何? 翻訳者は外国語を知るだけでなく、その外国語とその国の最新事情を知らないと翻訳の質が上がらないのだろう。
「わたしの愛しいもの (エッセイ)」町田そのこ … ★4。息子が素晴らしい!「何で? 好きに着けた方が楽しいじゃん」「だいたい、誰に対して恥ずかしいと思ってんのさ」
「ある階段からの風景~小説『老いと建築』」長塚圭史 … ★2。???わからない。すべてを見てきたこの家は今までを刻んだ家になっているということ?
「牛田家とわたし」嶋津輝 … ★3.5。何がよいのかわからないけどなんかいい。その瞬間は楽しいことだけを楽しめた子供時代を思い出させる感じ?
哲学対話「愛」って何? … 対話についての3つのお約束『①人の話をよく聞く ②偉い人の言葉を使わない ③「結局人それぞれ」であきらめない』がよかった。 特に③。
「未来のかけら」チェン・ヨンス ⋯ ★3.5。『未来はどこにでもある。失敗した過去の中にも。だから未来形で存在する限り、僕はその言葉を信じる。信じることにする。』
「愛はどこから(エッセイ)」アフロ ⋯ ★4。『一生の友達は一生一緒にいる友達だけじゃない』
「かつて私のものだった男の子たち」戸田真琴 ⋯ ★2。合わない。ある日の父の行動ががっかり。母もそうなのか?と思わせるところもあるし。(Web「Story Box」にある続きは期限切れで読めなかった)
「愛と再生」(詩) ⋯ ★2。自分に詩はわからないようだ。
「出せなかった手紙」佐原ひかり … ★3.5。ほんわかした手紙だけど悲しくなる手紙。
「手紙に味なんていらない」高遠みかみ … ★4。おもしろかった。問題作のラブレター、全部を読みたい。
「チキンピアノ」丸山春乃 … ★3.5。いいんだけど、古川がいいやつ過ぎるかな。
「出せなかった手紙」彩瀬まる … ★2.5。ちょっと重い。特に心を乱した「貴方」の文章。
「そんなに好きってわけでもない友達」安壇美緒 … ★2.5。自分には後味悪い話だった。学生の頃、気は乗らないのにその場の流れを変えることができず、友達の誘いにそのままついてったことを思い出した。一部の人には自分がこの話のミミだったかもしれない。ただ、この話の主人公は、最後にミミを自分の部屋から追い出している。よくやった!
「御伽の国のモアとトト」大木亜希子 … ★2。芸能界に入る子どもたち、その母親と父親の行動など、設定が好きになれず。母ちゃん、最後は長崎の実家に逃げていくってなんだよ。子どもたちが乗ったルートはあなたが望んだものだったのに。もっと早く解決策を考えるべきだったし、「もう遅い!」と気付いたらそこですべきことがあったのでは。あなたが望んだルートの中で家族が壊れていっているんだから。
「BOOM BOOM TAIPEI」金原ひとみ … ★3。台湾での気持ちの盛り上がりを伝えたかったんだろうな。
「ガマズミの花」八木詠美 … ★2。よくわからない話。幽霊の意味は何? それで夫とのすれ違いが出たのに、最後「家族も一人増えてさ」と子どもができたことをほのめかす意味は何?
「北見から」乗代雄介 … ★3。ホラー?ファンタジー? 嫌いじゃない。が、最後のオチがもう一つ。あの小説家がどのように書いて親子を鎖塚から連れ出すのか、そのヒントだけでも欲しかった。
「朝霧のチョイ」蝉谷めぐ美 … ★3.5。紋寿郎と容の関係、それに絡む朝霧がおもしろい。朝霧はこの先も人形と人間に行き来できる朝霧でいるのだろうか?