一本木透の作品一覧

以前WOWOWドラマで玉木宏さん主演のとても見ごたえのある「だから殺せなかった」というドラマを見た。玉木さんが新聞記者役で、その役名は＜一本木透＞。そしてこの役名は、なんと原作者さんの名前と同じだった（ことをエンディングテロップで知った）。

そのときこの原作者さんが元新聞記者であることを知り、なるほど、だからこういう社会派ミステリを書けたのか～とうなったものだ。
それから時間が少し経ち、なんと、そんな文系の元新聞記者さんの2作目のテーマが＜AI＞だというので俄然興味を持った本書だ。

＜AIは真に心を持つことができるのか＞がテーマである。
本書のなかでもそれを突き詰めると＜心とはいったい何な...続きを読むのか＞という深遠で哲学的な内容になるのだが、いや～、とても読みやすいのにAIのいろんな切り口=問題点などを提起してもらえて私的には興味深かった。
ヒトにとって幸をもたらすAIとヒトに脅威となるAI。

そんな風に興味津々で読み続けていたのに、突然「それ」がやってきた。

をを～、これはみごとな大どんでん返し！！！

たしかに、そういわれてみるとこれまでのあの場面やこの場面がすっと砂に水がしみ込むように腑に落ちた。

これをはじめから予想できる人は皆無じゃないかな。これはみんな驚くでしょう！

というわけで、大どんでん返しのあとも「あなたに心はありますか？」と最後まで読者に問い続けてくれた本書のリーダビリティは抜群でした。


胡桃沢宙太先生、どうもありがとう。
そしてムウパアがとても可愛いかったです。

＝＝＝データベース＝＝＝
AIに心は宿るか。慟哭の社会派ミステリー

東央大工学部特任教授・胡桃沢宙太は、交通事故で家族を失い、自身も半身に瑕疵を負って車椅子生活を余儀なくされている。
彼はAIロボットに心を持たせるべく、盟友の二ツ木教授と産学官共同の巨大研究開発プロジェクトを立ち上げ、世間の耳目を集めていた。
しかし、キックオフイベントとなる講演会でパネリストとして登壇した教授の一人が壇上で倒れ、帰らぬ人となってしまう。
その後、胡桃沢を含む他の三人の教授たちにも殺害予告が届く。標的にされた胡桃沢たちは、AIの軍事利用に激しく異を唱えていた。

AIの話。AIに心を持たせることは出来るのかということをメインテーマに話が進むのだが、面白くもあり、最後はすごく切なくなる。AIが心を持った時に人権は認められるのか、軍事利用で殺生に関するハードルが下がることにはつながらないのか、ただの小説にはとどまらず様々な問題を提起している。最後はとにかく切なかったです。

突き刺さった…心が締め付けられた。
この一言に尽きる。。
KCプロジェクト…えーっ‼︎そういうこと⁉︎
将来、AIが発達して私たちの仕事もAIが行えるって言われてるけど、便利なだけじゃない、その裏にあることもちゃんと考えなきゃいけないと思った。

「あんたら人間かよ？」…刺さった。

AIから人の優しさを学んだ気がした。

AI研究者を狙った殺人予告。…AIに「心」があるのか？壮絶なプロジェクトの末に、悲しい物語。本当に心があったのは、人かAIか。

とてもインパクトのある内容でした。私の中ではベスト3に入るくらい最高の一冊となりました。映画化して欲しいですし、お薦めしたいです！必読です！