作品一覧

  • 国鉄史
    値引きあり
    4.3
    1巻1,386円 (税込)
    【"この国のかたち"を鉄路で描いた者たちの、栄光と蹉跌の全史】 かつて日本には、国家の所有する鉄道があった。 その組織は平時においては陸軍をしのぐ規模を誇り、列島津々浦々の地域を結びつける路線を構想することは、社会のグランドデザインを描くことそのものであった。 歴代の国鉄トップは、政治家や官僚たちは、そして現場の人々は、この巨大交通システムに何を託し、いかに奮闘したのか。 近代化に邁進する明治政府が新橋・横浜間を開設してから昭和末期に日本国有鉄道が分割民営化されるまで、「鉄道と国家」の歴史を一望する壮大なパノラマ! 【本書より】 日本の鉄道の歴史は大きく四つの時代に分けることができます。まず、明治時代の私鉄が主役だった時代、次に、日露戦争後に多くの私鉄を買収した政府が直営した時代、さらに、第二次世界大戦後、国鉄が公社化されて日本国有鉄道となった時代、そして現在のJRの時代です。 (中略) 本書ではこれから、日本の鉄道の歴史を、鉄道がいかにあるべきかというグランドデザイン、その実現のための経営体制、そしてそれを動かしてきた人物ということに焦点を当てて描き出していきます。それにあたって、この四つの時代区分という捉え方は、たいへん見通しをよくしてくれるので、これに従って議論を進めていきたいと思います。 【本書の内容】 プロローグ 「鉄道一五〇年」と国鉄 [第一部  「国鉄」形成の道程] 第一章 私鉄の時代(一八七二─一九〇六) 1.官設鉄道の誕生  2.「鉄道の父」井上勝  3.鉄道敷設法と私鉄の繁栄  第二章 国家直営の時代(一九〇六─一九四九) 1.鉄道国有法の制定 2.「国鉄」の誕生 3.初代総裁後藤新平の組織作り 4.原敬と改正鉄道敷設法 5.国鉄ネットワークの充実 6.戦時下の苦闘とその遺産 [第二部 日本国有鉄道の興亡─公社の時代(一九四九─一九八七)] 第三章 「復興」の中で(─一九五五) 1.占領期の混沌 2.「公共企業体」の桎梏と総裁たち 3.組織と人々 第四章 「近代化」への邁進(―一九六五) 1.新しい時代の鉄道像 2.「改主建従」の夢 第五章 光と影の昭和四〇年代(─一九七五) 1.都市交通と国鉄の使命 2.効率化がもたらすもの 3.「政治主導」の時代 4.国会とストライキと債務と 第六章 再建の試みと崩壊(─一九八七) 1.「後のない計画」 2.分割民営化への道 エピローグ JR以後(一九八七─)
  • おみやげと鉄道 「名物」が語る日本近代史
    値引きあり
    4.5
    1巻924円 (税込)
    ◇各地に無数に存在する「おみやげ」は、外国にも近代以前にも存在しない、独特の文化だった!◇ 日本各地の駅には、饅頭や羊羹などや弁当などの食品が、その土地の名物として売られている。 私たちにとって当たり前のこの光景は、実は他の国ではほとんど見られない(ロンドンのターミナルで「ビッグベン当」などの類は見あたらない)。 この類い稀なる「おみやげ」という存在は、鉄道を筆頭とする「近代の装置」が、日本の歴史、文化と相互作用して生まれたものだった! 「きびだんご」が岡山名物になったのは、日清戦争と鉄道敷設の歴史的事情が背景にあった。 静岡駅の安倍川餅は餅ではなく「求肥」なのも、赤福が伊勢名物として有名になったのも、なぜか北海道にバナナ饅頭があるのも、鉄道という「近代の装置」抜きにしては語れない。 交通網の発展と各地の歴史が結びついて「名物」を生み出してきたさまを、膨大な史料を徹底的に読み込んで、鮮やかに描き出す、唯一無二の研究の集大成! 鉄道を独特の角度から捉えながら日本近代史の探求を続けてきた著者の代表作。 【本書の内容】 序章 おみやげの起源とおみやげ文化 日本の特異なおみやげ文化/日本独特の「名物駅弁」/「おみやげ」と“スーベニア”/「名物」と「みやげ」 など 第1章 鉄道と近代おみやげの登場 清河八郎の「おみやげ配送」/日清戦争と鉄道輸送/五色豆と政岡豆/「異人くさい」鳩サブレーが名物となるまで など 第2章 近代伊勢参宮と赤福 明治天皇に届けられた赤福/赤福を凌駕していた生姜糖/近鉄電車と構内販売 など 第3章 博覧会と名物 博覧会・共進会・商品陳列所/江の島貝細工の盛衰/鉄道院の名物評価/全国菓子大博覧会/大垣の柿羊羹 など 第4章 帝国日本の拡大と名物の展開 「軍都」に生まれる「軍人土産」/創出の物語―もみじ饅頭と伊藤博文伝説/新領土台湾とおみやげ など 第5章 温泉観光とおみやげ 温泉饅頭の誕生/道後煎餅と温泉煎餅/熱海の干物―由緒づけなき名物/有馬温泉から別府への技術移入 など 第6章 現代社会の変容とおみやげ 変化の中で生き残ったおぎのやの釜飯/ひよ子創業伝説/長く不在だった東京みやげの代表 など 終章 近代の国民経験とおみやげ 注  あとがき 名物索引 *本書の原本は2013年に講談社より刊行されました
  • 「開発」の変容と地域文化
    -
    1巻1,760円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 戦後復興、高度経済成長、バブル…。戦後日本が辿ったのは開発の歴史だといっていい。いまなお全国で続く開発によって、私たちの日常生活や地域文化はどのように変容したのか。「開発」につきまとう“推進/反対”という価値判断から一歩距離を置きながら、経済・文化・政治・環境などのさまざまな場面で個人的な情念と社会的な利権との絡み合いとして問題化される「開発」のありようを、社会的・歴史的に定位する。国土開発の起源、郊外の発展、戦後日本の農村、沖縄の観光開発、グローバリゼーションにおける開発と文化の関係性などの多様な切り口から、開発と地域文化の今後の関係をどう考えていけばいいのかを指し示す論文集。

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  • 電鉄は聖地をめざす 都市と鉄道の日本近代史
    値引きあり
    4.4
    小林一三神話を覆す! 私鉄黎明期の語られざる歴史「阪急や阪神、東急や西武といった"電鉄"が、衛生的で健全な"田園都市"を郊外につくりあげた」――よく知られたこの私鉄をめぐる物語の深層には、「寺社仏閣」を舞台とする語られざる歴史があった。初期の電鉄をめぐる世界では、神社仏閣とそれを取り巻く人々の、ある意味無軌道とも言える行動が郊外空間を作り出していったのである。それは、近代的な都市計画といった無機質なものでも、経済的な功利性のみだけでも説明のつくものではなかった。とくに、われわれが通常イメージするような鉄道が確立してくる以前の黎明期には、現在の視点からみると「怪しい」人々が蠢いていたのである。そうした人々を突き動かしていたのは、寺院や神社を興隆させたいという熱情であった。「わが門前に鉄道を」……そのすさまじいまでのパワーが、電鉄を、ひいては日本の都市を作り出していったのである。本書は、「電鉄」と社寺を取り巻く「怪しい人々」に光を当てることで、都市と鉄道という近代化の物語の陰に隠された歴史を明らかにしようというものである。近代の荒波を生き抜く希望を鉄道に見いだした寺社と、そこに成功栄達の機を嗅ぎつける怪しくも逞しき人々が織りなす、情熱と欲望、野望と蹉跌のドラマ。鉄道誘致と都市開発をめぐる、ダイナミックで滑稽で、そして儚い、無二の日本近代都市形成史。【本書の内容】序章 「電鉄」はいかにして生まれたか第一章 凄腕住職たちの群像――新勝寺と成田の鉄道第二章 寺門興隆と名所開発――川崎大師平間寺と京浜電鉄第三章 「桁外れの奇漢」がつくった東京――穴守稲荷神社と京浜電鉄第四章 金儲けは電車に限る――池上本門寺と池上電気鉄道第五章 葬式電車出発進行――寺院墓地問題と電鉄終章 日本近代大都市と電鉄のゆくえ

ユーザーレビュー

  • おみやげと鉄道 「名物」が語る日本近代史

    Posted by ブクログ

    日本のおみやげ文化を、近代化の視点から捉えた異色の学術本。地理好きにも、歴史好きにも、旅行好きにも、鉄道ファンにもオススメの1冊である。

    日本のおみやげ文化が近代化の装置(鉄道・戦争・博覧会・皇族・日本軍・モータリゼーション)によって発展した経緯を理解出来た。

    また、諸地域と何かしらの“物語”によって由緒付けられた食品が名物化し、上記の近代化装置を活用して、おみやげとして地位を築くという、共通のパターンがあることを知り、大変興味深かった。

    個人的には、岡山の吉備団子と、厳島のもみじ饅頭、東京の東京ばな奈の話が面白かった。今度旅行した際には、本書を思い出しながら旅を楽しみたいものである。

    0
    2025年05月22日
  • 国鉄史

    Posted by ブクログ

    分かりやすくて読みやすい!"国鉄"中心に語られる日本の鉄道通史。シンカリオンで鉄道のみちに触れた者としては、ハヤトくんが言っていた鉄道知識や十河さん島さんの名前の元ネタ、都市と地方の格差の問題など、知りたかったことがたくさん載ってて嬉しかった。実際の現場のことも多く載っており、国鉄以後生まれには非常に具体的にイメージがわきやすかった。

    0
    2024年02月09日
  • 電鉄は聖地をめざす 都市と鉄道の日本近代史

    ネタバレ 購入済み

    波長が合う人には良書

    近畿日本鉄道沿線に住んでいるため、題名で即買いしてから不安に。
    例えば鉄道のネット記事では関東偏重、関西その他は調査不足か知識が無いのか全く触れていない事が往々にしてあります。
    この本では杞憂、読了していませんが見出しには中部地方の事も掲載されています。

    文面が少し堅いので、その事をタイトルに表しました。

    0
    2019年12月26日
  • 電鉄は聖地をめざす 都市と鉄道の日本近代史

    Posted by ブクログ

    明治・大正期に設置された電気鉄道の設立と社寺参詣との関わりについてまとめた一冊。

    事例は成田山新勝寺と成田鉄道、川崎大師と京成電鉄、穴守稲荷と京浜電鉄、池上本門寺と池上電気鉄道などなど。

    鉄道側だけでなく寺社側の思惑や鉄道をとりまく人々に注目している点は面白い。地元有力者が地域振興のために寺社と鉄道を利用するものとばかり思ってたけど、僧侶自身が寺の振興のために鉄道に注目するケースもあるらしい。あまり考えたことなかった。

    0
    2019年09月05日
  • 国鉄史

    Posted by ブクログ

    元国鉄総裁の仁杉巌氏の鉄道40年周期説に則り、日本の鉄道史を40年単位で論じた一冊。

    ポストコロナ時代を迎え、鉄道(JR)の新たな在り方が問われる現代だからこそ、日本鉄道史を学ぶ意義が出てきたと感じる。国鉄の民営化は成功物語として語られることが多いが、ローカル線の赤字、整備新幹線の建設、三島会社の経営問題が表面化し、JRはモデルチェンジを迫られている。しかし、こうした危機は、民営化当初から内包されており、たまたま現在問題化したに過ぎないのだと本書で理解出来た。

    国鉄民営化から40年を迎えようとしている今、日本の鉄道の未来は岐路に立たされている。小手先その場しのぎの鉄道政策は将来への宿痾とな

    0
    2025年05月16日

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