日本一入試の倍率が高い東京藝術大学。藝大卒のアーティストにインタビューし、彼ら彼女らの思考を紐解いていき、現代に「アート」はどう生かされるのか考察した本です。
一章の藝大入試の話がめちゃくちゃ面白かったです。
ほとんど禅問答のような試験問題で、傾向もない。受験生に必要なのは『ビジョン』や『哲学』と
...続きを読む、それをアウトプットする技術というわけです。
当方、美術大学を受験しましたが、藝大は秒で諦めた記憶があります。
ただ「超絶技術がある」受験生しか受からないからあれだけ何浪する人がいるんだろうと思っていました。藝大受験の実態は漫画『ブルービリオド』でも描かれていましたが、藝大はただ絵が上手い人を求めているのではないことにこの本で改めて気付かされました。
>予期せぬ環境下に置かれることで、その人の内面世界というものがギュッと出てきます。それこそが自己表現であり、入試ではここを見ています。圧をかけたときに、自分のそれまでの人生が表現できているのかが最も重要なのです。
藝大卒生にインタービューしたなかで著者は、アーティストが持つ理力として
① 言語と非言語、具象と抽象を網羅する理力
② 好奇心を持ち、問う理力
③ 熱狂的に没頭できる理力
上記3つをあげています。
特に①は、アートという非言語な世界に生きながら、必ず言語化ということも重要としていて、藝大では講評会を通して言語化の訓練をしているし、卒業すればプレゼンやドキュメンテーションを作成し、自身の作品を自ら語る必要があります。藝大卒生はアートで成功するのは厳しいというけれど、一般企業でも活躍できる能力は身に付くわけですね。