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アートは深層的な思考
私もデッサンは数学と同じだと思う。まず紙の上に実物大で描けないから「比例」を使ってて、これとこれの位置は「何対何対何」なのかとか、このカーブは「微分」してその「傾き」は何かとか、何処に顔がどの大きさで配置されてるかも「円」を描いて位置付けるしデッサンは全て数学だと思ってる。
これって、要は、「純粋で一見仕事に直結しない役に立たなそうなもの程突き詰めると力になる」みたいな話だと思うんだよね。よく、それって役に立つの?みたいな質問する人いるけど、ITなんか学ぶより数学極めた方が優秀なIT人材になるし、ビジネス書読むよりドストエフスキー呼んだ方がビジネスに生きる...続きを読む し、デザインを学ぶより純粋なアートを勉強した人の方がデザイン賞取るらしい。どの世界も同じだと思う。
増村岳史
アート・アンド・ロジック株式会社 代表取締役。学習院大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。マーケティング、営業を経て映画、音楽の制作および出版事業を経験。リクルート退社後、音楽配信事業に携わったのち、テレビ局や出版社とのコンテンツ事業の共同開発に従事する。2015年、アートと人々との間の垣根を越えるべく、誰もが驚異的に短期間で絵が描けるART&LOGIC(アート・アンド・ロジック)を立ち上げ、現在に至る。著書に『ビジネスの限界はアートで超えろ!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『東京藝大美術学部 究極の思考』(クロスメディア・バプリッシンク)がある。
「カリフォルニア州シリコンバレーに位置するフェイスブックの本社。そのオフィスはアートで埋め尽くされています。天井高くまで描かれた絵もあれば、ニューヨークの地下鉄を想起させるような落書き風の作品、はたまたコミックヒーローをモチーフにしたような絵もあります。社員が毎日描き加えるのが認められている絵もあれば、マーク・ザッカーバーグ自らがスプレーを吹きかけて描いたグラフィティアートもあります。応接室などに印象派の美しい風景画などを掛けている会社は日本でも多く見受けられますが、フェイスブックがユニークなのは、そのほとんどの絵が未完成であり、描き足していくことがよしとされているところにあります。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「ザッカーバーグ自らもアートが好きということもあると思いますが、アートに囲まれたクリエイティブな環境で仕事をすることによって常にイノベーションの芽を育んでいこうとしているのです。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
ビジネスの限界はアートで超えろ 増村岳志著
興味深い内容の良書
MBAよりMFA(美術学修士)。「アートとデザイン」は「サイエンスとテクノロジー」に対比。藝大合格者は数学が得意。美術スキルは後天的に磨ける。デッサンはロジック。エンジニアと画家は共に実践を通し発見する・
起業家IBOも然りだ
「アーティストたちが住み始めると地価が上昇する。こんな話、信じられるでしょうか? これは、不動産の価格高騰が激しい海外の都心部では、常識とは言わないまでも当然の事実として捉えられています。なぜ、そうなるのでしょうか?アーティストたちは、広い制作スペースの確保を求めて引っ越しを繰り返します。日本同様、世界中どこでも都心に近い物件は賃料がとても高く、街灯もないような暗い倉庫街に手ごろな物件があることもしばしばです。特に、倉庫は天井が高く、居抜きで借りられるというメリットもあります(日本でも、廃工場や倉庫をアーティストが自ら簡単なリノベーションをして共同アトリエとする光景が見受けられます)。そして、彼らがオープンアトリエ(アトリエを解放して制作現場や作品を観てもらうこと)を開催したり、地域の方々に向けた展示会(アートフェア)を行うことで、交流の場が作られていきます。やがてコミュニティが形成され、街そのものが活況を呈していきます。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「経営者はなぜアートを嗜むのか?美術館を設立した昭和の偉大な経営者たち出光、ブリヂストン、サントリー、資生堂。日本を代表するこれらの企業には、ある共通点があります。それは、創業者が美術館・ギャラリーを設立し、今もってなおさまざまな展覧会を定期的に催していることです(ブリヂストン美術館は現在ビル建て替えに伴う新築工事のため、 2019年にリニューアルオープン予定)。美術館を運営するのには多大なコストと労力を要します。展示スペースはもちろんのこと、美術作品を収蔵するための収蔵庫が必要です。この収蔵庫も単なる倉庫だと美術作品が経年劣化し傷んでしまいますので、温度や湿度などの空調管理を徹底しなければなりません。また、美術館にはキュレーター(学芸員)をはじめとする常勤のスタッフも置かなければなりませんので、生半可な気持ちでは決して運営できないのです。なぜこのような労を惜しむことなく、大金を費やしてまで昭和の偉大な経営者たちは美術館を所有、運営したのでしょうか? 世の中にない付加価値を創造したこれらの偉大な経営者が持つ、アートな側面を見ていきましょう。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「冒頭で述べた美術館を擁する企業、出光、ブリヂストン、サントリー、資生堂は、戦前(第二次世界大戦以前)からある会社ですが、終戦の焼け野原の中、すべてがリセットされた混沌とした状態のもとでリスタートすることになりました。このような状況においてもっとも重要な役割を果たす要素が「アート」なのです。リセットされた(されてしまった)社会においては、創造性の持つ役割が非常に重要となります。「アート」により生み出された創造性あるビジョンが「クラフト」によって実務化・再現され、「サイエンス」が分析し、効率化を進めていく。つまり、一連の活動の動力源(エンジン)となるのが「アート」なのです。ビジネスの出発点というのは、アーティストが真っ白なキャンバスに作品を制作していくプロセスに近いのではないでしょうか?アメリカのビジネス界では褒め言葉として「アート・オブ・ビジネス(まさに芸術的な類を見ない素晴らしいビジネス)、アート・オブ・ディーリング(見事なまでの素晴らしい芸術的な取引)」といった表現をします。つまり、アートという概念が欧米では単なる芸術的な表現のみを表すものにとどまらず、広範囲にわたる活動そのものに対して使われているのです。革新的な「アート」は、後から「クラフト」と「サイエンス」が伴走をしてくれ、どんどんと仕組み化、効率化がなされ、平準化していきます。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「アメリカでは、エグゼクティブに昇進すると美術の勉強(鑑賞法や美術史)をしなければならないそうです。その理由は大きく2つあり、1つはトップ間での商談の際のアイスブレイクで芸術に関する話題が高い確率で出てくるから。美的な教養がないとお金を稼ぐだけの人と思われ、足元を見られ、結果として会社に不利益をもたらしてしまうのだそうです。もう1つは、アートを学ぶことによって経営者としての新たな知覚と気づきを手に入れるため。多くのエグゼクティブは、初めは嫌々ながらアートを学ぶそうです。しかし、その後アートファンになり、コレクターになる人たちが多いのだと言います。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「ところで、偉大な経営者たちはなぜ、膨大な時間と経費を費やしてまで美術館を創設し、個々人が蒐集した美術コレクションを「公開」するのでしょうか?それは、ノブレス・オブリージュ、つまり、地位の高い成功者の社会への篤志に他なりません。ブリヂストンの創業者でありブリヂストン美術館の初代館長の故石橋正二郎はこう語っています。「好きな絵を選んで買うのが何よりも楽しみであるが、もとよりこのような名品は個人で秘蔵すべきでなく、美術館を設け、文化の向上に寄与することがかねての念願であった」経営者自身が、あるときは勇気づけられ、またあるときは心のよりどころとなった美術作品をみなに見てもらい、豊かなひと時をすごしてもらいたいという、まさに社会への篤志でしょう。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「経営とアートの関係さて、稀代の経営学者ピーター・ドラッカーは、なぜこれほどまでに日本画に魅了されたのでしょうか?ここまでの話を踏まえると、アートと経営との共通項が垣間見えてきます。 [1 新しい価値の創造]アーティストは、絵筆でもって真っ白なキャンバスの上で常に新たな自己表現をし、作品を制作していきます。それと同じように、エポックメイキングな企業は、今までにない新たな価値を創造します。それは、何も描かれていない真っ白なキャンバスに新たな作品を創造していく画家のスタンスととてもよく似ています。 [2 調和とバランス]優れた芸術作品は絶妙な調和とバランスで構成されています。ドラッカーが水墨画や禅画に魅了されたのもこの部分かもしれません。事業経営においても、経営者と社員とが一体となることや、さまざまなレイヤーが見事なハーモニーを織りなしていくことが重要となってきます。この調和とバランスを保つ感覚は、まさにアートと言えるでしょう。 [3 時代を読み取る]優れたアーティストは、常に時代を読み取り作品に反映させています。現代アートの巨匠アンディ・ウォーホルは大量消費文化の象徴としてキャンベルのスープ缶やマリリン・モンローなどの誰もが知っているモノやコトをモチーフに作品を制作しました。つまり、彼は、当時世界一の消費国家だったアメリカの空気を読み取り、アートを大衆にデリバリーしていたのです。企業のサービスや商品についても同じです。その置かれた時代の空気を読み取って時代に合うように昇華していかなければ、人々の心はつかめません。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「アートの意味アートは深層的な思考わたしたちの思考は、大きく 2つに分けることができます。それは、「表層的な思考」と「深層的な思考」です。表層的な思考とは、短期的な課題や目標を完遂するためのものです。具体的な例としては、 ・KPI( Key Performance Indicator:最重要プロセスの目標数値)を達成するために日々の仕事で PDCAを回す・来週末に実施するバーベキューの食材リストを考える・天気予報によると明日は大雨なのでレインコートとレインブーツを玄関に用意するなどがあります。深層的な思考とは、長期的な目標達成やビジョンを実現するためのものです。具体的な例としては、 ・2025年問題(団塊の世代が 2025年までに後期高齢者に達するので介護、医療費などの社会保障費が急増する問題)に対してどのような対策をとったらよいのか? ・2030年にすべての車が電気自動車化した際の自動車関連産業はどうしたらよいのか?・人生 100年時代に、 30年後の自身の人生設計をするなどがあります。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「アートは〝いつか〟発揮されるわたしが主宰している、主にビジネスパーソンを対象にした、絵(デッサン)を描くことによって「右脳と左脳のバランスを活かした全体的な思考能力」と「新しいものを発想していく能力」そして「ものごとを俯瞰して捉え、調和のとれた思考能力」を高め、新たな知覚と気づきを手に入れる講座アート・アンド・ロジック(長くて申し訳ございません)の受講生の方から「ここで身につけたスキルを明日から仕事にどう活かしていったらよいか、具体的には分からない」という質問をいただくことがよくあります。「深層的な思考」であるアートの持つ役割、そして意味はどこにあるのでしょうか?「深層的な思考」はいわば地層のようなものです。さまざまな経験や学習が血となり肉となり自己のアイデンティティーが確立されるように、「深層的な思考」が顕在化するまでには大きな個人差があります。しかしながら、必ずどこかで、何らかの形で「深層的な思考」が活きてくるのです。深層的な思考が活かされた具体的な事例をご紹介しましょう。もし、私が大学であの授業に飛び入りしていなかったら、マックには多数の書体も、字体間を一定幅にする機能もなかったでしょう。ところが 10年後、最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が急によみがえってきたのです。そして、その知識をすべて、マックに注ぎ込みました。美しいフォントを持つ最初のコンピューターの誕生です。スティーブ・ジョブズスタンフォード大の卒業スピーチにて」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「ルネサンス期においては、サイエンスとアートはお互い補完し合う関係にありました。当時、人文主義者かつ建築家かつ画家であったレオン・バッティスタ・アルベルティが、著書『絵画論』の中で遠近法(数学的遠近法)の理論について詳しく触れ、絵画とは遠近法と構成と物語の 3つの要素が調和したものであると考えました。アルベルティは、画家たちに向かって、感性のみでなく、数学的な遠近法を学び身につけることによって、対象物を正確に描写し絵の中に秩序を与え、芸術作品に調和という概念がもたらされると述べました。ルネサンス期に活躍した人々は、ダ・ヴィンチ、アルベルティをはじめとしてこの 4象限の垣根を越えて縦横無尽に活躍するバイプレイヤーが何人もいたのです。この 4象限のそれぞれは、今なお関連し合っています。アートを軸に、それぞれとの関係を見ていきましょう。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「ちなみに、わたしが主宰しているビジネスパーソン向けのデッサン講座「アート・アンド・ロジック」を受講される方の中で、もっとも多いのがエンジニア。次に多いのが研究開発職の方です。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「エンジニアと画家:エンジニアと画家に共通することは、どちらも創造をする人間であり、制作過程において新しいテクニックを発見し、身につけられることにある。つまり、実践を通して常に新たな発見をしている。デッサンとプログラム開発:絵画の基礎であるデッサンは、全体を見ることと細部を見ることを常に繰り返す。この繰り返しによってもとの計画が間違いだったと分かったときには、修正を加える。X線で見てみると、手や足の位置が動かされたりしている絵画は数え切れないくらいある。これは、プログラミングにとって大変参考になることだ。プログラムの仕様が完璧であるなどと期待するのは非現実的だからだ。そのことをまず認め、プログラムを書いている最中に仕様が変わったとしても、それを受け入れられるような書き方をするべきである。観察の重要性:画家たちは、常に世の中にない新たな価値観を創ろうとしている。彼らは、美術館を訪れて偉大な過去の画家の作品を観ることを決して欠かさない。なぜなら、美術館は技法の宝庫であるからだ。プログラマーも、よいプログラムをたくさん見ることによって多くを学ぶことができる。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「熱狂的な没頭:偉大なソフトウェアを仕上げるには、美に対する熱狂的な没頭が必要である。よいソフトウェアの中身を見ると、誰も見ないような箇所でさえ美しく作られている。それは巨匠の絵画も同じである。彼らは、絵を見る人が気づかないような葉の 1枚まで、注意深く描く。たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチのジネヴラ・デ・ベンチの肖像画。他の多くの画家であれば、単なる人物の背景を埋めるだけの樹木と考えるかもしれない、絵を見る人もそこまで注意深く見ないと思われる箇所でさえ、徹底的に手間をかけている。協調と調和:絵画は、自分の仕事をどのように自己管理したらよいかを教えてくれるばかりでなく、他の人々とどのように協調して仕事をしたらよいか、ということも教えてくれる。ルネサンス期の偉大な芸術は、美術館で展示される際に 1人の芸術家の名前しか挙げられていなくても、実際は複数の人によって創られる場合が多い。今で言うところの、プロジェクトリーダー役の親方が中心部を描き、画家たちをアサインするのである。そのとき、同じ箇所を 2人で描くことは皆無であり、また、他の画家が後で描き足すことも決してない。ソフトウェアにおける開発プロジェクトでも、この姿勢が大いに参考となる。絵画は人が見るためのものであり、ソフトウェアは人が使うものである。本当にすごい仕事をなすには、共感・共鳴する力が必要である。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「アートとデザインの違いを、もう一度確認しておきましょう。デザインには必ず解決すべき課題があります。一方、アートは外的要因からの課題は存在しません。アーティストが表現したいことのみをひたすらカタチにしていくのです。つまり、アートはアーティスト自身が、常に自分自身を通して、自身の考えや伝えたいこと、世の中に問いただしたいことをさまざまなメディア(美術の世界では支持体とも言う)を通して表現していくのです。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「日本の国立大学の大学院で学んだ、日本語がとても流暢な台湾人の女性から聞いたとても印象深い話があります。彼女が日本のメーカーから広告代理店に転職した際に、上司から言われ続けた言葉が「空気を読んでよ」でした。彼女は「『空気』なんて読めないんですよね。『空気』なんていうありもしない不確実なことを読んでビジネスを実行しなければいけないのは、とても大変です」とこぼしていました。アジア、しかも近隣の台湾には「空気を読む」という文脈があるとすっかり思っていたわたしは、これが日本独自のものであることに気づき、とてもびっくりしました。アメリカで長くご活躍されたグラフィックデザイナーの方から「言語化できないことはカタチにできない」という大原則が、デザインの本場であるアメリカに存在していることをお聞きしたときにもびっくりしました。それまでわたしは、デザインというものは、雰囲気や空気をカタチにするものであると思っていました。実際に、今まで何十人ものデザイナー職の方々と仕事をしてきましたが、もっとも苦労したのは、感覚や感性の世界で生きているデザイン業界の人たちに、いかに言語化したものを伝え、理解をしてもらうかでした。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「デザイン思考を実践されている方から、日本人はこの「じっくり観察する」というステップがとても不得手であるとお聞きしたことがあります。これは、日頃から「空気を読む」「察する」「行間を読む」「あうんの呼吸」を大切にしているわたしたち日本人は、ものごとをありのままに冷静沈着に事実として捉えることが苦手だということを物語っているのではないでしょうか。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「おもしろいことに、油絵科を卒業したデザイナー人材のほうが、若くしてデザインや広告の賞を受賞する確率が高いのです。それはおそらく、一旦はアーティストを目指して入学したもののアーティストに向いていないと気づいて以来、常に客観的な立場でクリエイション(制作)に携わるようになったからでしょう。つまり、アートを求め、アーティストを志望しながらも自らアートに向いていないことを自覚した人たちは、クライアントワーク、すなわち、依頼者の課題を解決する仕事に大きな力を発揮するのです。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「ロジックと感性の融合で描いていた 2人の巨匠岡本太郎は芸術を爆発させるためのロジックを持っていたかの有名な岡本太郎の言葉「芸術は爆発だ!」は、感性や感覚を表す象徴的な言葉と捉えられています。しかしながら、「爆発」するためには、「爆発」させるための機構がなければなりません。火薬がなければなりませんし、火薬を爆発させるための装置や内燃機関も必要です。岡本太郎にとってそれは、哲学でした。岡本太郎が東京美術学校(現在の東京藝術大学)を中退してパリに留学した際、すぐにパリの美術学校に行くのではなく、まずはパリ大学の哲学科に入学しました。その国の哲学を理解しなければ芸術など学べないと感じたからです。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「ここに、数少ない現役合格生に共通している興味深い事実があります。それは「中学から高校にかけて数学が得意だった」ということです。また、東京藝術大学の油絵科には何年かに 1人の割合でシニアの方の合格者がいるのですが、そういった方々のほとんどが、元理系のエンジニアなのだそうです。これらの事実は、アートが感性だけに基づくものではないこと、そればかりか、アートのベースにロジックがあることを物語っています。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「東京藝術大学に現役合格をした複数人の OBの話によると、デッサンを描くにあたってもっとも重要となるのは、図形的にものごとを捉える論理的な思考能力(ロジック)だと言います。しかしながら、このことに気づく人はごく少数であり、美大受験の予備校においても図形的に捉えるような指導はありません。先の OBたちは、どなたも自らこのことに気づいたのだそうです。ここで、そのことに気づき、戦略的に藝大に合格した変わり種の知り合いのエピソードを紹介しましょう。[ロジックをベースに絵を描き、 2年で藝大に合格]くだんの変わり種の知り合いは、文学部で美術史を専攻し、卒業の際に美術の史実のみを学んでいたことに気づき、実践を身につけなければならないと強く感じ、藝大受験を決意しました。美大を目指す人々の多くは、幼少の頃から絵を描くことが三度の飯より大好きで、絵の才能があると言われ続け、何年もの鍛錬を重ねた人々ばかりです。ところが、彼が本格的なデッサンを開始したのは大学卒業後のこと。ライバルとのギャップを埋めるためには、入試を突破できる絵を描く力を、効率よく身につけていく必要があります。そのための方法を考える中で彼がたどり着いたのが、藝大 OBたちが語っていた、ものごとを図形的に捉える論理力を磨くことでした。元来数学が得意であった彼は、図形的な思考法を使ったロジックを編み出し、理論構築と実践練習を繰り返せば必ず合格できると確信し、実行に移しました。その結果、わずか 2年で、東京藝大の油絵科に合格したのです。デッサンを始めたばかりの頃は美術予備校にも通っていたそうなのですが、予備校の講師陣が感性に頼りすぎた指導をするので通うのをやめ、ロジックに基づいた独自の方法で練習を重ねたそうです。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「わたしの講座の講師を一時期お願いしていた藝大油絵科 OBの女性アーティストの弟さんは、高校三年生まで理系進学コースに在籍していました。しかし、その後姉の後を追うように藝大進学を目指し、文転ならぬ美転をしました。彼も、本格的に絵を描き始めてから 2年で、見事藝大の彫刻科(入学定員 20人)に合格を果たしました。わたしたちが勝手に思い込んでいる「絵の天才」のみしか合格できないという「常識」からすると、絵を始めてから 2年で、しかも、美術とは遠い分野にいた人たちが最難関の美術大学に合格したというのは驚くべきことです。このことは、美大に入るのに求められる能力が後天的に身につけられること、そして、その基礎にはロジックがあることを示していると言えるでしょう。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「[北欧にはなぜデザイン国家が集うのか?]デザインの国が集う北欧。陶器のロイヤルコペンハーゲン(デンマーク)、玩具のレゴ(デンマーク)、食器メーカーのイッタラ(フィンランド)、インテリアのイケア(スウェーデン)、ファッションの H& M(スウェーデン)、スポーツアパレルメーカーのヘリーハンセン(ノルウェー)など、どの企業の製品もお洒落で洗練されたイメージがあります。北欧諸国を訪れた人はみな、口を揃えて、どこの国も街そのものがデザインされている、特に、色彩感覚がとても洗練されていると言います。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「ドイツの美術教育は、目を養うところから始まります。美術の時間には、美術館巡りを繰り返すのです。数々の名画に幼少の頃より触れることによって、脳に良質なインプットを与えるためです。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「いまだに階級意識が根強く残っている国だからでしょうか、ワーキングクラスが多いエリアでは、美術や音楽教育にはあまり力点が置かれていません。地域差がかなりあるというのもイギリスの美術教育の特徴です。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「では、センスを呼び覚まし、アートシンキングを実践していくには、具体的に何をしたらいいのでしょうか?それは、「絵を観ること」そして、「絵を描くこと」です。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「第 4章でご紹介した通り、ドイツやイギリスの美術教育は絵を観ることから始まります。また、第 2章でご紹介した通り、知り合いの画家がドイツに留学していたとき、同じ財団の援助で留学をした科学者が、研究に行き詰まると美術館に行き、絵を観てヒントを得ているというエピソードもあります。さらに、 2015年に刊行された、『エグゼクティブは美術館に集う』(奥村高明著、光村図書出版)という本にも、絵を観ることの効用が記されています。この本によると、ニューヨークのエグゼクティブは、出社前に美術館で絵を観てくるそうなのです。そして、頭を整理し、創造性を高めるためには、美術鑑賞が重要であると述べています。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「絵画には、多くのメッセージが隠されています。そしてそれは、感性とロジックで構成されています。ここで、わたしの講座の受講生のみなさんを対象に企画した「絵の見方講座―構図編」の中の一部をご紹介いたします。各図を参照しながら、ご覧ください。 [( A) モナリザの微笑み ダ・ヴィンチ]モナリザの微笑みの絵からは、落ち着きと安定が感じられます。なぜでしょうか?それは、三角形をもとに構図が構成されているからです。このように、絵画の中の大きな構造を捉えることで、「安定」という感性的な部分をロジカルに言語化することができます。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「絵を描くことの基本であるデッサンは、論理と感性双方のバランスを高めていく行為です。東京藝大の現役合格者に数学が得意だった人々が多いのはこのためです。ルネサンス期にアートとサイエンスが同じ学問であったことも同じ理由からです。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著
「本書の中で、アートシンキングがビジネスにイノベーションをもたらしたエピソードをいくつか紹介していきましたが、その究極は、アーティスト本人が最高経営責任者になったソニーの元 CEO、故大賀典雄でしょう。彼がソニーの創業者である井深大、盛田昭夫と出会ったのは、東京藝大の学生の頃、レコーディングスタジオの電気系統の設計のアルバイトをしていたときでした。大賀が、電子部品を調達するためにソニーの本社を訪れたところ、藝大生であるにもかかわらずエンジニア並みの知識とアイデアを持っていることに驚いたソニーの創業者 2人は、彼に大きな興味を持ち、スタジオ完成後も縁が続くことになります。大賀が東京藝大を卒業後ドイツに留学した際には、彼らの一方的なラブコールによりソニーの嘱託となり、ヨーロッパの電機メーカーのレポートを不定期で送っていました。大賀は帰国後、プロのオペラ歌手として活動をします。」
—『ビジネスの限界はアートで超えろ!』増村岳史著