音声信号処理の勉強をやってみたいと思い、その前準備の基礎知識習得として本書を入手しました。イラストやグラフによる説明が主な入門書で、実際の音響の専門書に多い数式を主とした説明はほぼありません。物理的な音響からそのデータの解析方法、人間の発声や聴覚に関する音響に至るまで広い範囲の内容をシンプルに説明
...続きを読むした教科書です。物理現象としての音響だけではなく、人間が出す音声と聞き取る音に関しての説明が多いことは本感想執筆者には意外であり、音響学の「広さ」を感じるきっかけとなりました。
本書は図版の量が非常に多く、多くの現象や考え方を視覚的に理解することができます。特に波形による説明が非常にわかりやすく、一貫して正弦波をもとに説明して後からどんどんそこに効果を加える形になっているため概念的な理解がしやすいです。
難しい要素が簡略化されて読みやすくなっている点はそのまま本書の欠点でもあります。端的にいうとページ数に対して内容は薄めです。サクッと読んで概略を把握するタイプの本です。