作品一覧

  • 骨の子供
    4.0
    1巻814円 (税込)
    小学5年生の佳夏は、一家で引っ越した地方都市で蛇に似た固有種“イビ”をじょっきんと切って軒先に吊るすという奇妙な風習に出会い面食らう。ある日の夜中、おぞましい化け物(イビラ)の声を聞き恐怖した佳夏は、「自分か妹の陽菜、どちらかを選べ」と迫られ、恐怖のあまり妹を差し出してしまう。翌朝、陽菜は姿を消し、再発見されたときにはその頬にイビラの顔が浮かび上がり、異常な食欲と奇行を見せ始める。果たして彼女たちは化け物に打ち克つことができるのか。田舎町に古くから伝わる習わしに翻弄される少年少女たちを描く恐怖の長編小説。
  • じょかい
    3.5
    1巻1,815円 (税込)
    男はリビングでくつろいでいる。キッチンでは妻が夕食の支度をしている。幼い息子は冬でもないのにマスクをつけて、テレビ番組を見ている。男はキッチンへビールを取りに行く。妻の作っている料理に「美味しそうだね」と声をかけ「息子は風邪でもひいたのか?」と聞く。そしてふと気づく。自分たち夫婦に息子なんていただろうか? そして妻を見て驚愕する。誰だ、この女は? 日常が奇妙に歪む、戦慄のノンストップホラー!
  • ぞぞのむこ
    3.8
    1巻825円 (税込)
    部下の矢崎と莫市に入り込んでしまった翌日から、島本には次々と幸運が舞い込んできた。そんなある日、家に帰ると自宅の前に元カノののぞみが座り込んでいて――(「ぞぞのむこ」)。奇妙な町・莫市に関わってしまった人々が、ふとしたことから怪異と不条理に飲み込まれる。第10回小説宝石新人賞受賞作を含む、奇想あふれるホラー短編集!!

ユーザーレビュー

  • じょかい

    Posted by ブクログ

    日常がじわじわ崩れる不気味さと、黒いマスクの女や肉感的な『じょかい』が迫る恐怖が強烈。液体を貪る音、肥満化する男…生理的嫌悪感MAXで背筋凍る。終盤のゾッとする真相も最高でした

    0
    2025年03月15日
  • ぞぞのむこ

    Posted by ブクログ

    不条理なんてものじゃない、まさに’奇’としか言い表せない怪奇小説。

    素手で神経を引っ張られるかのような読み心地。

    本作に登場する「漠市」という街は幻だとか人里離れた山奥だとかではなく普通に電車で行けて一応普通に人々も暮らしている街。
    だからなのか、全くもって理解し難く得体の知れない怪異が巻き起こるにも関わらずどことなく既視感や身近さすら感じる街。

    正直、この本を読み始めてからずっと頭が痛い。
    家に持ち帰ってはいけなかったのかも。

    どうでもいいがサブタイトルが『ギャグマンガ日和』のブルルさんみたいでちょっと笑ってしまう。


    〈ぞぞのむこ〉 すべてのはじまり。呆気に取られているうちにあれ

    0
    2021年12月24日
  • じょかい

    Posted by ブクログ

    私はきっと、人間の力では決して抗えないことを叩きつけられるような、暴力的な恐怖(怪異)を定期的に摂取しなければいけないという病気持ちなんだと思う。(我ながら生粋のドMだな…)
    発作的に飛び込んだ書店にて購入。
    表紙イラストの目を引く不気味さと、分かりやすく尚且つその意味を知りたくなるタイトルに惹かれた。
    その判断、正解。

    読み進めていくにしたがって、"不気味さ"が情報という肉を纏い、脚がが竦み身の毛がよだつほどの"怪異"へと変貌する。

    フーダニットとホワイダニットの混合ホラー。
    かのじょは"誰だ"?
    かのじょは"何&qu

    0
    2021年03月16日
  • 骨の子供

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     郊外の町、虹田町(こうでんちょう)には蛇に似た固有種イビを乾燥させて軒先に吊るし、厄除けにする奇妙な習俗があった。家族で転居してきた小5の佳夏がある禁忌に触れたことで幼い妹の陽菜にイビの化物イビラが憑依してしまう。妹の顔に現れたイビラの醜悪な貌は佳夏以外の大人には見えず、陽菜の異常な食欲や奇妙な行動も理解してもらえない。誤解や噂話から学校でもいじめの標的となる佳夏だが、不登校気味の同級生理來と1つ年上の美少女エリィという味方を得て、妹を助けようと奔走する。イビラの本体とは、佳夏に聞こえる陽菜や無数の子供たちの声の意味とは、そして年に一度のイビおくり祭りの意図とは……。

     物語は佳夏をはじめ

    0
    2025年11月10日
  • 骨の子供

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ある田舎町の固有種“イビ”、イビに纏わる古くからの習わし、イビの化け物と噂されるイビラ…この作品も井上さんの構築するオリジナリティーホラーワールドにどっぷりハマる。
    小学生が主人公ながら、因習以外にもいじめや子どもから見た大人の身勝手さといった怖い現実が盛り込まれ、読めば読むほどゾクゾクする感覚に襲われっぱなしだった。
    信じられるのは血縁より他人との絆、が裏テーマか。時代や状況次第で自分も我が子を裏切る親になる可能性があるのがとても怖い。
    ラストは悲しくもあるのだが、同時に穏やかで爽やかな温かさに心が満ちる。

    0
    2025年11月03日

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