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Posted by ブクログ
虹田町は蛇に似た固有種「イビ」を軒先に吊るしたりという奇妙な風習がある町。そこに越してきた小学五年生の佳夏は、山で子供の骨を発見してしまう。そして彼女のもとに訪れたなにものかは、妹の陽菜に取り憑いた。徐々に変貌していく妹、しかしそれに気づかない大人たち。じわじわと恐怖が高まっていくホラーです。
子供たちが主役のジュブナイルだけれど、恐怖感は圧巻。得体の知れない「イビ」も、町に秘められたおぞましい過去も、妹を徐々に乗っ取っていく異形の存在も気持ち悪くて恐ろしいですが。一番恐ろしいのはやはり、佳夏が追い込まれていく境遇です。「しんじない、だれもしんじない」の繰り返しで、読む方の精神状態もどんどん追い込まれていきます。こういうのを子供の頃に読むとトラウマになりそうだなあ。
佳夏に味方してくれる存在もあって戦いに挑むことになる終盤はわくわくとはらはらどきどきの連続。だけどこれはハッピーエンドになるのかバッドエンドになるのか、ぎりぎりまで予測ができませんでした。ああもう心臓に悪い。
Posted by ブクログ
小学生の子どもが、田舎町の古い習わしに抗う話。
序盤不可思議な現象、不可解な習わしだと思っていたものが、後半どういう理由で生まれたものなのか開示された時、点と点が繋がった感覚でとてもスッキリした。同時に、そのおぞましさにゾッとした。
子どもがひたすら酷い目に遭う(肉体的にも精神的にも)上に大人が大体どうしようもないので読んでいて大変ストレスだったが、とにかくストーリーと心理描写が良いので、結末まで見届けたくて久しぶりに夢中で読んでしまった。
大人のどうしようもなさに関しては「ザ・悪役」「基本まともだけどたまに無自覚・無理解が透けて見える」「関係性的な距離が遠いゆえの無責任さ」等々、とにかくバラエティに富んでいて、そこがリアルで読みごたえがあった。
ラストは光が見えるビターエンドという感じで、寂しさを感じつつも余韻が残って好き。
Posted by ブクログ
郊外の町、虹田町(こうでんちょう)には蛇に似た固有種イビを乾燥させて軒先に吊るし、厄除けにする奇妙な習俗があった。家族で転居してきた小5の佳夏がある禁忌に触れたことで幼い妹の陽菜にイビの化物イビラが憑依してしまう。妹の顔に現れたイビラの醜悪な貌は佳夏以外の大人には見えず、陽菜の異常な食欲や奇妙な行動も理解してもらえない。誤解や噂話から学校でもいじめの標的となる佳夏だが、不登校気味の同級生理來と1つ年上の美少女エリィという味方を得て、妹を助けようと奔走する。イビラの本体とは、佳夏に聞こえる陽菜や無数の子供たちの声の意味とは、そして年に一度のイビおくり祭りの意図とは……。
物語は佳夏をはじめ子供の視点から描かれている。イビラには親や大人たちに裏切られ、虐げられ、大人側の勝手な事情で捨てられ、命を奪われた子供たちの絶望と怨念、飢餓感が宿っており、妹を救おうとする佳夏も“信じてもらえない”絶望をいやというほど味わうことになる。さらには理來やエリィ、佳夏へのいじめの中心であった柊子もまた親や大人たちへの絶望と不信を抱えている。アイデンティティを確立しつつある年齢ながら、社会からはまだ子供と扱われる時期に、親に信じてもらえない/信頼できないということがどれほど苛酷なことか。そんな絶望的な状況を打破したのが◯◯◯◯だった―というのは甘々な幻想かもしれないが、作者の込めた一縷の希望とも思える。
文庫解説ではスティーブン・キング作品を引き合いに出していたが、イビラの憑依によるグロテスクな変容といった一部描写を除けば、町の因習、惨たらしい過去、大人の無理解、虐めなどなど、自分はむしろジョン・ソールの“因習・怨念・いじめ”がセットの初期田舎ホラーの雰囲気を感じた。結末は対照的だけれども。
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