石井遊佳の作品一覧
「石井遊佳」の「百年泥(新潮文庫)」「受験生をふりまわすな! 入試大混乱」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「石井遊佳」の「百年泥(新潮文庫)」「受験生をふりまわすな! 入試大混乱」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
南インドのチェンナイで働く日本語教師。行き当たりばったりで胡散臭いけど、不思議と親近感が湧いてくる。
連想ゲームみたいに数珠繋ぎに話が展開されるのが面白くてどんどん読み進める。彼女の物語であって彼女だけのものではないそれらが波のようにうねる。
実話のようなトーンで、有る事無い事ごった煮の世界なんだけれど、悲しい過去も思い出も一切を包み込む懐の深さを感じた。
ガネーシャと招き猫の共通点や、インドの名誉殺人と日本の敵討ちを見比べたりしていたら、そう遠い話でもない気がしてきた。
無口というのを通り越した無言の母と旧友の話は、なんだか美しくて切なくて聞き入ってしまう。「ことば」のない心が繊細に描かれて
Posted by ブクログ
東京FMのラジオ番組「Panasonic Melodious Library」で(けっこう前に)紹介されていて、興味を持った。
あらすじはこうだ。南インドの都市チェンナイで日本語教師をする私は百年に一度の大洪水に見舞われる。水が引いたあと私は、百年分の記憶を孕んで地上に投げ出された泥の山から、チェンナイの人々が、遠い昔に死に別れた家族や友人をいとも自然に引っ張り上げては思い思いに邂逅を果たすさまを見る。日本語講座の生徒である青年が熊手で掻き出す泥の中からは、この地にあるはずのない私の思い出の品も転がり出てきて、私の、彼の、語られなかったはずの記憶の声が鳴り出す。
ラジオでこの作品の特徴とし
Posted by ブクログ
読書開始日:2021年7月5日
読書終了日:2021年7月6日
所感
芥川賞受賞作品を読み進めている最中ではあるが、とても好きな作品に出会えた。
タイトルとはかけ離れた清涼感があった。
ラストシーンの鳥肌は、川上弘美さんの「真鶴」以来かもしれない。
この作品は、チェンマイに降りかかった百年に一度の大洪水により浮上した百年積み重ねた歴史ともいえる泥を掘り起こすことによって、
登場する人々の過去を振り返る内容。
飛翔通勤や、泥から出てくる人間、それらがしっかりと作品の中の現実になじむくらいに、現実と虚構の線引きが無い。
過去は年月を重ねるうちに変形し、過去への思いの強弱も変わる。
そこにある事柄、
Posted by ブクログ
この本に出てくる主人公と場所は違えど同じ職業をしている身として、彼女の日本語を教える教室での心労が手に取るようにわかるのだけど、この本の本筋はそこにはなく、インドという国とそこの考えに全く馴染みのない自分でも、そこにある宗教的というか土着的というか、そういう世界観の深さを垣間見ることができる話だった。
百年泥から湧き上がってくる記憶とも過去ともつかない幻想的な物事の中で、主人公と主人公を悩ませる生徒の過去が一際色鮮やかに語られて、そこに何があるという訳もなく、ただ彼らが今どうして彼らであるのかがわかっていく話。橋を渡り始めてから渡り終わるまでに、主人公と学生がこの企業の一教室で出会ったことの不