社会は、人間関係で成り立っている。その人間関係が難しく、摩擦が起こりやすい。どうコミュニケーションを取るかが重要となる。行動科学者の著者は、太古から人間の脳内にある「爬虫類脳(ワニ脳)」が優位になると人は建設的にコミュニケーションできないと説く。
人間は1つの脳を持っているようでいて、実際には進化の過程が異なる3つのタイプが共存している。ポール・マクリーンが提唱した脳の3つの層で、「脳幹(爬虫類脳)」はワニ脳、「辺縁系(ほ乳類脳)」はサル脳、「新皮質と前頭前皮質(大脳皮質と前頭葉)」はヒト脳だ。
第一に、「ワニ脳」である。これは脅威を感じたときに作動し、「自分が正しい!」と怒鳴る、あるいは...続きを読む 黙り込んで無視するなど、極端な行動をとる傾向がある。論理的な議論は一切通じず、むしろ生存本能に基づく反応である。
第二に、「サル脳」である。感情が優位に立ちやすく、「自分だけ損をしている」「あの人に嫌われたかもしれない」といった不安や、グループ内の序列に敏感に反応する。この状態では、感情的な行動や反応が多くなりやすい。
最後に、「ヒト脳」である。これは、客観的に状況を判断し、相手の立場に立って考えることができる理性的な部分である。
相手の脳の状態に合わせて対応を変えるという手法が重要だ。
著者はいう「いま、この人は何を考えているのか? どんな言動をとるつもりだろう? その言動に、私はどう対応すべき? その対応によって、この人は私をどう思う? 好意的に思ってくれるだろうか?
相手がこちらの発言に耳を傾け、尊重してくれていると感じると、自己肯定感や自信が持てる。反対に軽視されたり、まともにとりあってもらえなかったりすると、自分を肯定できず、自信を失う。」
どうコミュニケーションをとるのか?
相手がどの「脳」状態で話しているのかを見極めることが、良好なコミュニケーションの第一歩となる。
ワニ脳の人への対応(安全確保が最優先)
ワニ脳が作動している場合に、正論(ヒト脳の思考や言葉)をぶつけることは、火に油を注ぐことにほかならない。何よりも刺激しないこと。相手をさらに追い詰めないよう注意する。相手を落ち着かせること。 相手の生存本能を安心させるために、低いトーンで、ゆっくり、短い言葉で話す。
話すときに時間を置くこと。 脳が「安全だ」と認識するまで、物理的・時間的に距離を取る。
サル脳の人への対応(感情のケアが最優先)
サル脳は「認められたい」「仲間でいたい」という欲求が強く現れる状態である。相手に共感を示すこと。「それは大変でしたね」「お気持ちわかります」など、まずは感情を受け止める。相手の存在を肯定すること。 相手がグループにとって重要な存在であることを伝える。話すときには否定から入らないこと。「でも」や「しかし」は避け、まずは肯定する(Yes, and法を用いる)。
ワニ脳には、ワニ脳でシンプルに。 サル脳には、サル脳で。 人間としてきちんと話す。
「子どもは、大人の言うことは聞かないが、大人の真似はする」ジェスチャーが重要。
実際には素晴らしいと思っていないのに、それを常に言うことで、関係を保つ。ヒト脳の論理的思考で対応できるのは相手もヒト脳でなければ通じ合えない。つにに相手をリスペクトすること。それが利己的遺伝子の働きであり、そのことで自分を守ることができる。
あなたが、飼い犬にとてもやさしい声で言ったとしよう。
「まあ、なんてみっともないイヌなの」。それでも、イヌはうれしそうに尻尾を振るだろう。イヌには声の調子しか伝わらないからだ。飼い主として、あなたが持っている最大の武器は声のトーンである。
「何を言ったか」―つまり言葉は、ヒト脳で解釈されるが、これは重要ではない。
「どのように言ったか」―ボディランゲージと声のトーンで発信されたシグナルは、ワニ脳とサル脳で解釈され、理解される。
コミュニケーションの手段は、言葉・声のトーン・ボディランゲージ・顔の表情である。非言語パワーがある。
「人は愛されることを望んでいる。それが叶わなければ、称賛されることを望んでいる。それが叶わなければ、恐れられることを望んでいる。それが叶わなければ、憎まれ、蔑まれることを望んでいる。[中略] 人は忘れ去られることを身震いするほどに恐れ、どんな代償を払ってでも人とのつながりを求める」ヤルマル・セーデルベリ著書『ドクター・グラス Doctor Glas』
ガンジーはいう「私たちは世界を映している鏡にすぎない。外の世界のあらゆる傾向は、私たちのうちなる世界である。そして、自分をかえることができれば、世界もきっと変わる」
右脳が感情脳で、左脳が論理脳である。それは、ロゴストパトスを使う。お日さま脳とどんより脳。お日さま脳にスイッチを入れる。ポジティブになる言葉とネガティブになる言葉がある。
コミュニケーションスタイルは、どんどんやろうのドリス、和気あいあいのアイダ、フィーリングのフレディ、アナリストのアレックスがいる。生存本能がとる態度を決め、前進モードは青、脅威モードは赤、鎮静モードは緑であり、緑を増やすことだ。赤、青、緑で、光の三原色なんだね。
そして、心のトゲを抜こう。
話が通じないのは、相手の性格が悪いのではなく、脳の状態が悪いだけだと思わせる。それにしても、こんな単純なレッテル貼りで、コミュニケーションがうまく行くのだろうか?でも、本書を読みながら、つくづく、私はワニ脳で生きていると思った。