「自分超え」
延岡のビニールハウスという環境と幼少時代から共に戦う久世コーチは松田選手の背中を強く押す。
私が松田選手を知ったのは恐らくアテネ五輪です。外国人が強さを特に発揮する自由形やバタフライという舞台で戦っていること、ビニールハウスという環境から日本の競争に勝ち、世界に挑戦していること、久
...続きを読む世コーチとの2人3脚など多くの点で驚きと凄さを感じましたが、一番はその努力を持続できる力と精神力、純粋に速く泳ぎたいという欲です。
特に、ロクテ選手との合同練習(2011年7月後)で「自分はまだまだ練習が足らない、才能や体格が世界と自分を分けているわけではない」と思い、純粋に速さを追求して、自分に妥協しないところは本当に凄いと思います。
勿論、松田選手を奮い立たせたロクテ選手の莫大で純粋な練習量も凄まじい(松田選手の練習量の多さは日本屈指とされていますが、どうやらロクテ選手はそれ以上だったらしい)です。
また、久世コーチは本当に松田選手を信頼しているのだなと感じました。コーチとして水泳をやっている子供達の親への提言も実に的を得ていると思いました。
例えば、久世コーチは「親の役割はどんな時も子供に頑張れを言うこと。コーチと親の役割は違う。親、コーチ、選手が一体となってチームは勝てる」という考えを持っています。この考えを持ち実行に移すことで、親が自分の息子には才能があると思い込み、水泳をさせるという状況を変えていこうとしています。
そして、そんな久世コーチを助けるのは松田選手をはじめ既に人としても選手としても成熟した教え子達の親だそうです。若い親は彼らの姿を見ることで成長していくそうですが、まさにチーム一丸です。
あれだけの練習量をこなしながら常に自分を見失わないでフェルプス選手やロクテ選手に勝つことを目指し、努力し続ける精神力、持続性、柔軟性(松田選手)、教え子を信頼し、勝つ為に指導を柔軟に変えることが出来る強さ(久世コーチ)、そしてコーチと選手として意見をぶつけ合える2人の関係。凄いの一言。これからも2人で2人の目指す水泳を続けて欲しいです。
久世コーチの話の中で特に印象的な言葉を最後に挙げます。
「選手の成功は素質ではなく練習で決まる。そして、練習を続けるにはそれに耐えられる人間性が必要」
ふむ。