中川毅の作品一覧
「中川毅」の「人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」「時を刻む湖 7万枚の地層に挑んだ科学者たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「中川毅」の「人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」「時を刻む湖 7万枚の地層に挑んだ科学者たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
私は一般知識として旧石器時代が寒かった事や縄文時代が現在より高かった事は知っていた。だがその感覚は、例えば恐竜時代はもっとずっと気温が高かったというようなどこか異世界の話のように思っていた。
福井県の水月湖は年輪のように1年1層の堆積物の層が残っており、この著者の研究によって過去7万年の気候が1年単位で分かるらしい。そしてこれはローカルな研究ではなく、放射性炭素年代測定法のパラメータとして世界標準スケールになっているらしい。これによると1万1600年前、ある1年を境に突然気候が温暖で安定した。その幅も変化の早さも今の気候変動よりもずっと激しいものだったという、その解像度の高さにただ驚き、自分と同じタイムスケールとして感じられた。
Posted by ブクログ
水月湖―福井県若狭地方の三方五湖にある、恐らく東日本ではほとんど知名度のない湖が世界的に注目を集めている。「年縞」という、地質学上の年代測定の“ものさし”となる湖底の堆積物が、7万年分という人類が歴史に登場する前後まで積み重なっている奇跡の湖なのだ。
水月湖は直接流れ込む河川がなく、湖底に生物が存在せず、また三方断層の影響で毎年数センチずつ湖底が沈み込むという世界で見ても稀有な環境によって、ほぼ外界の影響を受けることもなく毎年の季節変動を年縞として記録し続けてきた。毎年1センチに満たない年縞が実に7万年分、500メートルもの深さで採取できたのはそこにこだわった研究者たちの地道な努力と、国際的に日進月歩で進む科学技術の発展があったからだ。
たとえば1万年前、氷河期が終わって人類の活動が本格化するタイミングで発掘された化石を特定するためには、C14年代測定法という炭素の放射性同位体を測る方法が使われている。従来は±1000年程度の誤差があったものが、水月湖の年縞によるキャリブレーションによって±10年程度まで圧縮されており、より正確な年代が測れるようになっている。
考古学という文系学問が発展する上で、この年縞を科学的に分析する理系的アプローチは欠かせないものとなっている。さらに年縞には、植物プランクトンや花粉といった各年代の気候を記録したデータが眠っており、今後さらにこの分析が進んでいけば人類の歴史上の気候の変遷を年単位で理解できる可能性がある。そんな奇跡の湖が日本国内にあることを、もっと多くの人たちに知ってもらいたい。