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2013年,水月湖が過去5万年の時を測る世界の「標準時計」になった.その意味とは? 世にも稀な土の縞模様「年縞」を手にした若者たちの研究の実際は? いかにして結実したか.国境を越えた友情,ライバルとの戦い,挫折と栄光とを当事者が熱く語る名著に,その後10年間の研究の進展と心温まる後日談を追加.解説=大河内直彦
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Posted by ブクログ
水月湖―福井県若狭地方の三方五湖にある、恐らく東日本ではほとんど知名度のない湖が世界的に注目を集めている。「年縞」という、地質学上の年代測定の“ものさし”となる湖底の堆積物が、7万年分という人類が歴史に登場する前後まで積み重なっている奇跡の湖なのだ。 水月湖は直接流れ込む河川がなく、湖底に生物が存...続きを読む在せず、また三方断層の影響で毎年数センチずつ湖底が沈み込むという世界で見ても稀有な環境によって、ほぼ外界の影響を受けることもなく毎年の季節変動を年縞として記録し続けてきた。毎年1センチに満たない年縞が実に7万年分、500メートルもの深さで採取できたのはそこにこだわった研究者たちの地道な努力と、国際的に日進月歩で進む科学技術の発展があったからだ。 たとえば1万年前、氷河期が終わって人類の活動が本格化するタイミングで発掘された化石を特定するためには、C14年代測定法という炭素の放射性同位体を測る方法が使われている。従来は±1000年程度の誤差があったものが、水月湖の年縞によるキャリブレーションによって±10年程度まで圧縮されており、より正確な年代が測れるようになっている。 考古学という文系学問が発展する上で、この年縞を科学的に分析する理系的アプローチは欠かせないものとなっている。さらに年縞には、植物プランクトンや花粉といった各年代の気候を記録したデータが眠っており、今後さらにこの分析が進んでいけば人類の歴史上の気候の変遷を年単位で理解できる可能性がある。そんな奇跡の湖が日本国内にあることを、もっと多くの人たちに知ってもらいたい。
たしか利根川進だったと思うが「科学者には研究に使うツールを開発することが得意なタイプの人がいる。(その成果はありがたく使わせていただくが)自分は逆にツールよりもそれで明らかになる事実に関心があるタイプ」といったようなことを書いていた記憶がある。一般的にツールの開発のほうが地味な仕事といえそうだ。本書...続きを読むはまさにそのツールの開発、さらに言うと既存のツール(炭素14による年代測定)をどう改良するかについてなので、素人目には輪をかけて地味に見える しかし地味とは言いながらも、世界標準を作ろうという話であるし、研究者がその人生のかなりの部分を投じて挑戦する話でもある。ふだん目にする科学関係の記事などでは省略されてしまうような細部も丁寧に説明され、「良い仕事」のまさに滋味を味わえる 炭素14による年代測定法については色々なところで読んだが、本書の解説がもっとも丁寧かつ、適用にあたっての実際的な課題を詳述しており勉強になった 2015年に岩波科学ライブラリー(薄くて高いやつね)から出版されたものに、その後10年の展開を追加して文庫化してある。お買い得
素晴らしい力作。紹介されている年縞研究とこの本の両方が。 研究のキモである14C年代測定法と、その値による年代較正法の説明のところが素人にはちょっと難しかったけれど、そこが理解できたら、科学の魅力にどっぷりはまれる。
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