1980年代に日本は、世界第二位の経済大国として、自動車、電機、半導体、鉄鋼、造船、石油化学など、各基幹産業が世界的な競争力を保持していた。
それが1990年代以降、一つまた一つと日本の基幹産業は国際競争力を失っていった。象徴的なものは「ガラパゴス携帯」と呼ばれる携帯電話である。外国の携帯電話は
...続きを読むゴツくて使いにくいので、日本の携帯電話が世界中で売られていた。ナビも日本の製品と海外の生菌には明らかな格差があり、外国製の携帯電やナビはとても使える代物では無かった。外車のナビの性能が悪かったので日本製にわざわざ付け替えたものである。
それがスマートフォンの時代になったら、日本の製品は全く売れなくなった。僅かにソニーのエクスペリアが一部の人に利用されているのみで、圧倒的なシェアはアイフォン、やギャラクシーに奪われてしまった。
家電製品も全ての分野で日本製品が世界で売れていた。テレビ、冷蔵庫、洗濯機、あらゆる電化製品の品質の保証は「メイド・イン・ジャパン」だったのだ。
それが現在ではあらゆる最終消費財で、当時の競争力を今も維持しているのはほぼ自動車産業だけになってしまった。
この自動車産業までもが、急速なデジタル化とサプライチェーンの水平分業の流れを受け、その競争力を侵食されている。
この本を読むと、自動車ももはや日本の時代では無くなっていくだろう事が、確実な予測として浮き上がってくる。日本人はモノづくりで成功すると、その成功体験から逃れられない。電気自動車になると、今までの日本車メーカーの垂直統合サプライチェーンを守れないので、本格的なEVの開発販売ではテスラや他の自動車メーカーに相当先に行かれてしまった。
自動車産業もテスラや中国の新興自動車メーカーにその地位を脅かされる時代が来た。解決策について縷々書いてあるが、海外の他メーカーの迫力に勝てるのだろうか?
世界の企業ランキングベスト100に日本企業が一つも入っていないという事態になるのはもはや時間の問題となっている。