田澤拓也の作品一覧
「田澤拓也」の「大江戸快人怪人録 人物でたどる痛快江戸時代史(小学館101新書)」「大江戸剣豪列伝 切先越しにみるサムライの260年(小学館新書)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
津軽富士と言われ地元で親しまれている岩木山。1,625mの単独峰は
登るのに難しい山ではない。
しかし、この山で遭難事故が発生した。東京オリンピックを控えた
1964年1月。山頂への登頂を果たした大舘鳳鳴高校山岳部の
5人が、吹雪の中で遭難した。
夏の岩木山になら経験している山岳部員だったが、冬山には
初めての挑戦だった。それが5人中4人死亡という悲劇を起こした。
本書は唯一の生存者の証言を元に、遭難の様子、単独での下山の
みちのり、大規模捜索の模様を綴っている。
福岡大学ワンゲル部ヒグマ襲撃事件は知っていたが、この岩木山
遭難事件は知らなかった。
若気の至りと言ってしまったらそれまでだろう。装備などは今とは
比べられないくらい貧弱なのだろうが、それでも準備不足は確か
にあったし、経験も不足していた。
下山の際に吹雪を警戒して山頂の石室にこもっていれば、こんな
大事故には至らなかっただろう。普段、慣れしたんだ山であった
からこその油断があったのかもしれない。
著者は一切の判断をしていない。知りえた事実を淡々と綴って
いるだけ。そのなかで引っ掛かったのは、学校側の対応だった。
生死の境をさまよいながら、やっと下山して来た生徒に対し教師は
「学校は登山を許可していないと言え」早々と指示している。
その後、校長も同じ内容を主張することになる。
「雪山で火をおこすことも知らなかったのか」とOBが悲しみを
湛えて語った山岳部員たち。確かに学校への届けは「スキー
訓練」だったのだが、学校側がいち早く保身に回ってしまったら、
生徒や家族の立場ってないよね。
死亡した4人の遺体はばらばらの場所で見つかっているのだが、
寒さと疲労で意識がもうろうとなりながらも互いをかばい合って
いた彼らの心境を思うと切ない。
Posted by ブクログ
消壺の腹に貼られし反古紙の文字を読まんと一日をおくる
伝記の妙は愛情六割、悪意四割。この塩梅が著者はよくわかっている。ただ主人公を褒めるだけでも、起きたことを追うだけでも面白くない。
「終始、老大家(里見弴)を気分よく盛り上げていく。かつて吉野秀雄にもとりいった方代得意の会話術である」
こういう一節が程よいアクセントとなってよく知らない歌人の人生を追う読者のページをめくる手が止まらなくなる。
放浪、無頼、隠遁といったイメージの裏側の虚実相半ばする実像を、晩年懇意にしていた女性の視点を中心にして追うことで、最後には意外なものが見え始める。
一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております