繁延あづさの作品一覧
「繁延あづさ」の「鶏まみれ」「うまれるものがたり」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
【鶏まみれ】 繁延 あづさ 著
国内の食肉消費で鶏肉が2年連続首位とのこと。本書では、普段見かけるスーパーのパック売りや焼鳥店に並ぶ前に、どのような工程を経るのかがとてもよくわかります。劣悪な環境と低賃金のなか、「鶏まみれ」となってニワトリを「処理」するのですが、著者は極めて前向きで「すごい仕事!」と絶賛します。文章は読みやすく、時にクスっとさせる書き方で、著者の明るい人柄がしのばれます。
リストラにあった夫の「養鶏しようかな」の一言から養鶏場を設営。卵以外の食肉施設も作るには「食鳥処理衛生管理者」という資格が必要で、著者がこの資格取得要件の「食鳥処理事業所で3年間の勤務実績」を得るため、実際の食鳥処理場に勤務する潜入レポです。
もともと著者は山でとれた猪を捌いたり、ニワトリを飼って自宅で料理したりと、「処理」に抵抗はない様子ながら、食鳥処理場での実際の作業はなかなか壮絶。写真家でもある著者の写真も組み込まれ、とてもビビッドに進行がわかります。家族との温かい交流が中和させてくれますが、命と向き合う葛藤や、高齢者・障がい者・外国人の雇用や差別問題にも向き合い、ことはニワトリに限定されません。
豆知識も豊富で、ニワトリの家畜化は紀元前二千年から。現在、食肉用は生後7週間で「若鶏」として「出荷」。生後半年で産卵開始し、年間300個以上の卵を産んで、2~3年で産まなくなると処理場送り。この「回転率」の高さが「安い鶏肉」の秘訣とわかります。
命にきちんと向き合うからこそ、「美味しく食べてやる」と豪語する著者ですが、これからはニワトリと処理業者に感謝しながら美味しくいただかねばと思った一冊です。
Posted by ブクログ
今年ナンバーワンと言ってしまっていいと思う
わたしのなかで、スーパーで鶏肉を買うこと鶏肉や卵を食べることと、鶏を育て卵をとり絞めて肉にすることとが結びついた
それももう2度と忘れられない表現をもってインプットされた
食鳥処理場がそこまで過酷で賃金が低いとは知らなかったし、豚や牛のことならいまだに知らない
全ての人の食を支える偉大な仕事なのに
繁延さんは私だけが熱くなっているのかと書いていたけど、私も養鶏場のあり方、屠殺の仕方、食鳥処理場の職員の待遇の悪さについては課題を強く感じた
食鳥処理場に運ばれてきた鶏がヒーヨヒーヨと鳴くことを知ってから、鶏肉を買ったら美味しく調理して無駄にしないぞって思いで食べるようになった
Posted by ブクログ
もう そりゃあ 大変な仕事なんだから
やっても やっても ぜんぜん
終わりがない 時間が 続くんだから
数年前にフランスの食肉工場で
働いている友人の I さんから聞いた
ことを ありありと 思い出した
彼は ダンサーが本業なのだが
確実な収入源になるその食肉工場での
体験を面白おかしく話してくれた
その時は 笑いながら話してくれたけれど
そんなふうにでもしていなければ
話せないだろうな と
この一冊のおかげで 改めて
その時の 彼の様子を思い返している
当たり前になってしまっているけれど
私たちが食べている肉は
自分が食肉にしたものではない
食べている時は
おいしさが優先してしまって
誰が どのように どれだけの
手間をかけて‥
が 完全に抜け落ちてしまっている
時々 知り合いの猟師さんから
「野の肉」をいただくこともある
それらの「肉」が背負ってきた
それぞれの「生きていたモノ」が
手元、いや口元にまでやっきた
その 越し方 を
ここまで 興味深く 軽妙に しかも深く
考えさせられ、思い巡らせてもらえた
一冊はそうありません