作品一覧

  • 鍵盤の天皇 井口基成とその血族
    5.0
    帝王カラヤン、獅子王バックハウス……。そして日本には、「天皇」と呼ばれる音楽家がいた。井口基成。16歳でピアノを始めるという晩学ながら、東京音楽学校(現・藝大)を首席卒業、パリに留学し、帰国後は男性ピアニストの先駆者、母校の教授として第一線で活躍。戦後は、斎藤秀雄、吉田秀和らと「子供のための音楽教室」を立ち上げ、桐朋学園大学へと発展させる。さらに楽譜校訂者として、古今のピアノ曲を網羅する『世界音楽全集』全49巻を編纂した。長く演奏と教育を両立させ、同じくピアニストの妻秋子、妹愛子と併せ、門弟は3000人を数え、内外のコンクールを席捲する一流演奏家を輩出。ピアノ界のみならず音楽界に、今に至る多大な影響力を及ぼした。いっぽうで、酒と美食に明け暮れ、スキャンダラスな私生活、体罰も厭わぬ指導など、負の側面も併せ持つ。取材は20年におよび、すでに故人となった関係者からも貴重な証言が語られている。この巨人の全貌にはじめて辿り得た渾身の評伝ノンフィクション。
  • タクトは踊る 風雲児・小澤征爾の生涯
    4.8
    1巻2,400円 (税込)
    クラシック界に数々の金字塔を打ち立てた男 “世界のマエストロ“の訃報から一年。 長年取材し続けてきた著者が満を持して放つ本格評伝。 『N響事件』憧れのNHK交響楽団と何があったのか 『二つの恋』ピアニスト、モデルとの恋 『日本フィルの分裂』如何にして新日本フィル創立へ向かったのか 『ボストン交響楽団音楽監督』30年の長期政権 『サイトウ・キネン・オーケストラ』新たなライフワーク 『ウィーン歌劇場音楽監督』クラシック界最高のポストの一つに就任 <目次> プロローグ 第1章 スクーターと貨物船で●北京の四合院/引き揚げ/贅沢と貧困/成城学園中学校へetc 第2章 N響事件●五ヶ月間の滞日中に/初レコード録音/N響のこと、よろしく頼みますetc 第3章 二つの恋●指揮者を指揮する男/恩師斎藤秀雄を排除してetc 第4章 日本フィル分裂事件●日本フィル首席指揮者/小澤体制での解雇etc 第5章 新日本フィルとボストン響●新日本フィルハーモニー交響楽団結成/嬉遊曲、鳴りやまずetc 第6章 サイトウ・キネン・フェスティバル●俺に反対できるのはあんたぐらいetc 第7章 世界の頂点へ●予想外の記者会見/屈指の歌劇場制覇/旅を住処とするetc 第8章 初心に戻る●降板/発病/二〇一〇年 復帰会見/七分間の本番etc 年表
  • 嬉遊曲、鳴りやまず-斎藤秀雄の生涯〈誕生~演奏家編〉
    -
    1巻1,595円 (税込)
    小澤征爾はじめ数多くの名演奏家を育成し、その教え子たちが結成した「サイトウ・キネン・オーケストラ」にもその名を残した斎藤秀雄(1902~1974)。1996年(平成8年)7月に新潮社より刊行された『嬉遊曲、鳴りやまず―斎藤秀雄の生涯』(2002年に文庫化)は、斎藤秀雄の生涯を詳細に追った名著であったが、その中から「プロローグ」「第一章~第三章」の全文を電子書籍化(一部表記を改めた)。日本クラシック音楽界に計り知れない影響を与えた斎藤秀雄の前半生、すなわち、彼の出生から青年期・壮年期まで、音楽に夢を抱き、ある時は悩み、ある時は挫折し、いよいよ名教育者へと変貌を遂げていく過程を、当時の時代状況も丁寧に織り込みつつ、生き生きと描く。著者の中丸美繪は、慶應義塾大学文学部卒業。日本航空に5年ほど勤務し、東宝演劇部戯曲研究科を経て、1997年『嬉遊曲、鳴りやまず―斎藤秀雄の生涯』(新潮社)で第45 回日本エッセイスト・クラブ賞と第9 回ミュージック・ペンクラブ賞、2009 年『オーケストラ、それは我なり―朝比奈隆 四つの試練』(文藝春秋)で織田作之助賞大賞受賞。他の著書に『杉村春子 女優として、女として』(文藝春秋、フジテレビ「女の一代記シリーズ悪女の一生~芝居と結婚した女優杉村春子の生涯」原案)、『日本航空一期生』(中公文庫、令和2 年度芸術祭参加作品のテレビ朝日「エアガール」原案)、斎藤秀雄と桐朋音楽科を創設発展したピアニスト井口基成と妻秋子、妹愛子の物語『鍵盤の天皇―井口基成とその血族』(中央公論新社)ほか。 *** なお、当作品の原書『嬉遊曲、鳴りやまず-斎藤秀雄の生涯』をベースに(第一~三章は抜粋のうえ編集しなおし)新たに取材を行なって大幅加筆・再構成(プロローグ+全七章+資料)した決定版の書籍『斎藤秀雄 レジェンドになった教育家――音楽のなかに言葉が聞こえる』も紙媒体で好評発売中(ISBN978-4-276-22691-3)
  • 日本航空一期生
    4.0
    GHQによる「航空禁止令」のもと、占領下の日本では、航空機保有はおろか、教育や研究も禁止されていた。敗戦6年後に誕生した「日本航空」のもと、失われた「空」を取り戻そうとした人々の奮闘を描くノンフィクション。「容姿端麗」が応募資格だった「スチュワーデス一期生」、「臆病者と言われる勇気を持て」の標語で知られる第二代社長松尾静磨、社章「鶴丸」デザイン誕生秘話ほか、当時を知る80歳以上の関係者に聞きとり取材し、資料室に通い詰め、創業期を活写する。自身もJALの客室乗務員として5年間勤務した著者が、安全運行と現場主義の徹底した時代を、今日への警鐘と愛情をこめて描く。
  • オーケストラ、それは我なり 朝比奈隆 四つの試練
    4.2
    1巻880円 (税込)
    九十三歳で死去するまで、現役の指揮者としてタクトを振りつづけた巨匠・朝比奈隆。自ら「長生きこそ、最高の芸術」と言い切り、存在そのものが日本のオーケストラ史であった生涯。その光と陰を描く決定版評伝。第二六回織田作之助賞大賞受賞作

ユーザーレビュー

  • タクトは踊る 風雲児・小澤征爾の生涯

    Posted by ブクログ

    小澤さん指揮のウイーンフィルのニューイヤーコンサートのCDを購入致しました。
    頂点に立つ方は凄いですね。まさしく世界のオザワでした~皆さんにもお勧め致します!

    0
    2025年07月17日
  • タクトは踊る 風雲児・小澤征爾の生涯

    Posted by ブクログ

     良く取材してあり、なかなか読み応えのある本で、読み終えるのに時間がかかった。
     小澤征爾というと、世界的な指揮者であり、いつもニコニコしていて人柄も良いというイメージだったが、この本を読んで、そんなイメージが一変した。人柄が良いのはその通りだが、野心家で、非常に政治力もあり、チャンスは、必ず手に入れるという貪欲な人物である。秀吉は信長の草履を懐に入れて暖めたというが、小澤さんはカラヤン、バーンスタインの草履を舐めたと書かれている。
     世界で活躍するには、実力だけではダメだという厳しい世界を感じた。
     それにしても、小澤さんが日本の音楽界に与えた功績は大きいと思う。

    1
    2025年06月24日
  • タクトは踊る 風雲児・小澤征爾の生涯

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小澤征爾氏の音楽人生が今まであまり語られていなかった面からも語られており、すべてが完璧人物ではなかったのだと感じた。NHKとのトラブルななるほどなと感じる部分も多々あった。 ただ、小澤征爾の人懐こさに人が集まり音楽が出来上がっていたのも事実。食道がんを患ってからは腰痛の悪化もあり、大変苦労され、完全燃焼とはいかなかったと思われえるところもあるがすごい人だった。一度は生で聴いておきたかったものです。

    0
    2025年05月24日
  • 日本航空一期生

    Posted by ブクログ

    日本航空の草創期、占領時代から始まる物語。日本の空を日本人の手に取り戻し、発展させていく物語。
    もく星号事故のほか、大きな事故はないが、本書のラスト、日航機のデリー、モスクワの連続墜落事故、半官半民で日航が腐敗する直前までの、オイシイ部分が題材。
    日航といえば山崎豊子の「沈まぬ太陽」、同じ企業が舞台でも対照的なのが面白い。

    0
    2024年04月07日
  • 鍵盤の天皇 井口基成とその血族

    Posted by ブクログ

     ともすればドイツ系音楽一辺倒と見られ、セピアがかった色彩の昭和初期、戦前の音楽シーンが、フランス音楽に精力的に取り組んだ井口基成の軌跡をたどることでカラフルな世界として色彩豊かによみがえっている。
     戦後のクラシック界の勢いは凄まじいが、その活力の源泉はここにあったのかとあらためて思わされる。

    0
    2022年08月05日

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