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  • マーガレット・サッチャー―政治を変えた「鉄の女」―(新潮選書)

    マーガレット・サッチャー―政治を変えた「鉄の女」―(新潮選書)

    ビジネス・実用

    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    英国初の女性首相サッチャーの功績は、経済再生と冷戦勝利だけではない。その真価は、国家と個人の関係を根本的に組み替えたことにある。彼女はなぜ閉塞感に包まれていた社会の変革に成功したのか。対メディア戦略・大統領型政治・選挙戦術……良くも悪くも二十一世紀の政治指導者の原型を創り出したリーダーシップに迫る。
  • 危機の指導者 チャーチル

    危機の指導者 チャーチル

    ビジネス・実用

    4.1
    1巻1,540円 (税込)
    ヒットラーの攻勢の前に、絶体絶命の危機に陥った斜陽の老大国イギリス。その時、彼らが指導者に選んだのは、孤高の老政治家チャーチルだった。なぜ国民はチャーチルを支持したのか。なぜチャーチルは危機に打ち克つことができたのか。波乱万丈の生涯を鮮やかな筆致で追いながら、リーダーシップの本質に迫る力作評伝。

ユーザーレビュー

  • 危機の指導者 チャーチル

    Posted by ブクログ

    タイトルどおり、危機に直面したときの指導者としてチャーチルがどう振る舞ったかに焦点を絞った書籍。チャーチルの人生や戦争の経緯等は他で学んだ後に手に取ると、彼のリーダー像の理解を数段深化させてくれる一冊。

    チャーチルはキャラ立ちしていて(パグ犬のような顔、やや丸まった背中、葉巻、放埒な言動等)、ワンマンで強硬なリーダーというイメージを抱きやすい。ただ、政治家としては中道、長い閣僚経験に裏打ちされた圧倒的実務能力、現実的な問題解決思考を有する点などを、本書は丹念に指摘する。
    注目すべきは、チャーチルは「危機の指導者」(WW2の戦時内閣)として超一流であり、平時の指導者(前後の第二次内閣)としては中の上ぐらいであったという点だ。特に戦時内閣以前の閣僚時代は、失策や失言で不評を買い、不遇時代を経験している。ただしその経験値が教訓となり、戦時内閣のパフォーマンスに繋がっているから面白い。禍福は糾える縄の如し。

    最後に、筆者が指摘するチャーチルを偉大な危機の指導者たらしめた三点を要約しておく。
    ①コミュニケーション能力
    危機に際して最初に求められるのが目的意識の明確化。不満や現実逃避に陥りがちだが、それは避けるべきだ。チャーチルは演説で、いかなるコストを払ってでも戦争に勝利すると名言し、国民の迷いを払拭し、想力を結集した。また、ドイツとの戦いを、自由、民主主義と合成、善と悪と捉えることで、国民に戦争の大義を信じ込ませることに成功した。
    ②行動思考の実務主義、
    器における指導者の最も重要な役割は、大きな戦略的判断を下すことだ。実際の機器においては、数百の課題が毎日指導者に決断を求める。それを処理する能力がないし、指導者は大きな戦略的判断は下せない。「即日実行」で自ら昼夜なく働き、国家組織にも戦時モードを浸透させ昼夜なく稼働させた。また軍事と政治を広い視野で統合的に指揮、行動した(独ヒトラー、米ルーズベルト、蘇スターリンもその視点での立ち回りはして(出来て)いない)。そして独裁や独善に陥らなかった点からも戦争指導の成功といえる。
    ③歴史観
    危機は、時として指導者の国家観そのものを試す。洗濯を迫られたときに、国家のあり方と国民についてどれだけ理解を持ち、決断を下すかと言う問題だ。チャーチルは、現実的解決策を模索する一方、歴史にも啓示を求める。チェンバレンが融和政策を勧め、ハリファックスがヒトラーとの講和の糸口を模索しようとする時、彼らの念頭に浮かぶのは、WW1の悪夢と大恐慌の窮状に倦んだ国民の顔だった。しかしチャーチルはドレイク、ジョン・チャーチル、ネルソン、ウェリントン9帝国の栄光を築いた先人を思い浮かべた。イギリス人の愛国心の起源は、大陸から迫りくる旧教勢力の脅威に対抗して信仰を守り抜こうとする決意に求められる。そして、彼らの心の中には、そうした戦いを通じ、自ら選ばれた民族であると言う、心の平安が芽生えたとする。WW2初期にチャーチルが頼りにしたのは、こうした歴史に裏打ちされたイギリス人の狂人差だ。彼の歴史への信頼は、究極的には国民への信頼だった。ドイツ降伏の日、チャーチルは群衆に向かい「神の祝福。これはあなた方の勝利です」と叫んだ。チャーチルの信頼に、国民もよく応えた。

    本書を読むと、WW2における連合国の勝利は薄氷を踏むものだったということがよくわかる。チャーチルが首相になり徹底抗戦しなければ、ヨーロッパ大陸は今頃EUではなくナチスが統治していたことも十分にあり得る。フランス降伏後、ナチスドイツからのイギリスへの講和案は、イギリスにとってはある意味合理的で現実的だからだ。チャーチルの③歴史観からくる徹底抗戦の決断がなければ、おそらく講和していたと想像する。結果的にそれが人類の幸福/不幸に繋がったかは不明だが。

    感想としてまとまりがないが、なんとも歴史のダイナミズムと面白さを教えてくれる良書だった。

    0
    2026年01月16日
  • マーガレット・サッチャー―政治を変えた「鉄の女」―(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    イギリスに住んでいて驚いたことの一つは、イギリス人は社会と公共のあらゆることをサッチャーと絡めて話そうとすることであった。(サッチャーのせいでこうなったんだ、と、たいていは悪い意味である)
    そんな具合でサッチャーについて冷静に議論するのはイギリス国内では難しいのだが、この本は大変バランスが取れていると感じた。サッチャーに対してポジティブな評価をくださない筆者だからこその「筆者が何よりも感銘を受けるのは、政治家としての知的真摯さである」の一文は重みがあった。
    強いて言えば、サッチャーとコールやミッテランといった他の政治家との関係性を男女という文脈で論じがちなのはやや気になったが、全体への評価を揺るがすものではないと思う。
    それにしても、大国が没落した後の舵取りは難しい。そんな1980年代のイギリスに現れたのがサッチャーであったが、日本はどうだろうか、とつい考えてしまう。2020年代のイギリスと日本の政治を考えるうえでもとても示唆を与えてくれる一冊だった。

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    2024年05月13日
  • マーガレット・サッチャー―政治を変えた「鉄の女」―(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    サッチャーほど毀誉褒貶の激しい首相は少ないであろう。それは、彼女が初の英国女性首相であるためではなく、その妥協を知らない交渉スタイル、そして「鉄の女」と称されるほどの強い信念を、内政、外交(軍事含む)において臆することなく発揮したことによる。

    本書において、英国の1970年代の停滞期から脱する過程、そして望まざる退陣までの動きが、英国の政治思潮や周辺諸国との歴史的経緯を都度概説を加えながら叙述されている。

    彼女の信念は「人々に(社会扶助が)全ての国家によって実施可能だという考え方を植え付ければ、人間性の最も枢要な構成要素である道徳的責任を人々から奪い取る(p.34)」という演説の一節に顕著に現れており、(彼女の信仰する)メソジストの教え、そして食料品店を営む父との”life over the shop”から体得した勤勉さが浮かび上がってくる。

    彼女は、外交や軍事を不得手としたが、フォークランド戦争を勝利に導き、また冷戦終結への端緒を開いた、優れた指導者であった。

    しかし、後年は、その妥協なき姿勢によって協力者を失い、政権を追われることとなった。

    その頃英国が抱えていた懸案の一つが、単一欧州議定書への交渉の中での欧州為替相場メカニズム(ERM)への参加であり、通貨同盟への参加への彼女の強い拒否は、英国除く欧州諸国にとって、英国を厭わしいたらしめていた。それは、単にERMのみならず、拠出金返還を強く要求していたこともあって、なお一層倦怠感を欧州に持たせてしまっていた。

    これが、今のBrexitの伏線となったかは、議論が分かれるところだが、少なくともBrexitに至る英国の欧州共同体に対するスタンスは、決して(英国除く)欧州諸国よりは冷笑的で、その理念に対する熱意にかけていたことがよく分かったのは、収穫であった。

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    2019年12月04日
  • 危機の指導者 チャーチル

    購入済み

    意思の人

    政治家に必要な能力には、先見性 教養 知性 交渉力 人間性 など多くの要素があるが、その中でもとりわけ重要なの要素が「継続する意思」だと思う。この不屈の意思こそがその他の要素では取り立てて優れていたわけではないチャーチルを救国の英雄とした。

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    2019年11月26日
  • 危機の指導者 チャーチル

    Posted by ブクログ

    [彗星のごときパグ]第二次世界大戦時、類い稀なるリーダーシップをふるい、英国を滅亡の淵から救った立役者、ウィンストン・チャーチル。英国政治の異端とされた男が、危機においてどう考えどう振る舞ったのかを丁寧にたどるとともに、危機において求められるリーダー像を考えていく作品です。著者は、外交官として英国に赴任された経験も持つ冨田浩司。


    誰でも名前だけは知っているチャーチルですが、政治家だけでなく軍人、そして作家としての側面も丹念に記述がなされており、入門的一冊としてピッタリ。また、人生の大半を英国政治の中枢において過ごしているため、チャーチルを軸とした英国近現代史としても読むことができます。あまり紹介されないチャーチルの家庭人としての側面(必ずしも幸せ一色ではなかったようですが...)を知ることができたのも収穫でした。


    時と場合によって求められる指導者像というのはずいぶんと異なると思うのですが、あの「強烈」な時代においてはチャーチルぐらいの「強烈」な人間でなければ一国を率いることはできなかったのかもしれません。そういった意味ではチャーチルの首相就任はいわば「天の采配」によると言えるのかもしれませんが、その采配をたぐり寄せられるだけの柔軟性をもった英国政治というものにも興味が尽きませんでした。

    〜ノルウェー討議からチャーチルの首相就任までのプロセスは、国家存亡の危機において最も相応しい指導者を選び出す能力を備えていたという意味で、英国の政治制度の強靭さを示している。しかし、制度を動かすのは、詰まるところ時々の人間の判断であることも忘れるべきではない。〜

    やっぱりイギリスに行きたいな☆5つ

    0
    2014年02月21日

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