作品一覧

  • 闇の日本美術
    3.1
    日本の古代・中世絵画には苦しみ、恐れ、悲しみ、嫉妬、絶望など、世界の暗部をのぞき込むような主題が散見される。本書では絵巻や掛幅画に描かれた闇について、仏教思想や身体観、歴史的事件などを手がかりに「地獄」「鬼と怪異」「病」「死」「断罪」「悲しき女」の各テーマに分けて、よみといていく。日本人は生老病死をどうとらえ、どう描いてきたのか。暗闇からの日本美術入門。
  • 増補カラー版 九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史
    4.7
    1巻1,914円 (税込)
    腐敗し白骨化してゆく亡骸の変化を、九つの段階で描く九相図。仏教とともに伝来し、日本に深く根を下ろしたこの不浄の絵画は、無常なる生命への畏れ、諦念、執着を照らし出す。精気みなぎる鎌倉絵巻から、土佐派や狩野派による新展開、漢詩や和歌との融合、絵解きと版本による大衆化、そして河鍋暁斎や現代画家たちによる継承と創造へ――。芸術選奨新人賞・角川財団学芸賞ダブル受賞作に補遺を付し、全作品をカラー掲載する決定版。

ユーザーレビュー

  • 増補カラー版 九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    以下の箇所を中心に読んだ。

    序 九相図の一五〇〇年
    第一章 九相図とは何か
    第二章 九相図の源流──西域・中国から古代日本まで
    第三章 中世文学と死体
    第四章 「九相図巻」をよむ──中世九相図の傑作(一)
    第六章 「九相詩絵巻」をよむ──漢詩・和歌と九相図の融合
    第七章 江戸の出開帳と九相図
    第八章 現代によみがえる九相図
    おわりに
    文庫版あとがき


    大河ドラマ「べらぼう」で、「愛した女性が亡くなり腐っていく様を目にしながらも、彼女の“美しい姿”を描き続ける喜多川歌麿」というシーンがあり、あまりにもつらくて最高だったのだが、そのシーンで九相図を思い出したので積読棚から引っ張り出してきた。

    0
    2025年11月24日
  • 増補カラー版 九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史

    Posted by ブクログ

    何度も手にとってようやく、購入しました。
    東洋には、死体が腐乱して白骨となるまでを9つの相で表す、九相図という絵画がある。
    これは、死体の変化と僧侶の修行の段階を表した九相感と重ね合わせたとある。僧は人が変わりゆくのを見て、修業に励むのである
    シルクロードの石窟にも書かれた九相図は、日本に伝来して、鎌倉仏教と結びつき、凄惨な主題であるにもかかわら、その絵は圧倒的な美しさをたたえてた。
    九州国立博物館に伝えられた、九相図に対して、詞書(ことばがき)も、外題(げだい)もなく、箱書きのみから、その手がかりを探ることからはじまる。

    先ず絵巻には、出所となるものがなにも書いていない。過去に修繕された形

    0
    2023年10月09日
  • 増補カラー版 九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    仏教における過去の日本の女性たちの立場が九相図で朽ちていくのがほぼ女性であることと結びついているといったあたりは、なるほどと思った。絵画としての九相図が持つ意味は、時代と共に日本的価値観や文化的な発展と融合しつつ少しづつ変わりながら、長く繋がれていったのが九相図なんだなと。

    0
    2025年08月12日
  • 闇の日本美術

    Posted by ブクログ

    古代中世の美術作品から当時の“闇”の背景を見つめる。
    悲しい・辛い・苦しい出来事を見つめ飲み込むために生み出された考え方が積もり積もって、仏教世界は編まれたのだなとしみじみ。祈りの前には闇があった。
    日曜美術館で書籍を知り、「病」と「鬼」の章が読みたくて購入したけど、すべての章がおもしろかった。
    エピローグが特に好き。平家納経に込められた祈りの、情の部分が自分の中でクリアになった気がする。

    0
    2020年05月21日
  • 闇の日本美術

    Posted by ブクログ

    美術、説話を通じて恐れと向かい合う人間の弱さと強さを感じた。
    引用されている絵画の多くが白黒で小さく、作者の意図する詳細部分がわかりにくいかったのが残念。
    新書版の弱点ではあるが。

    0
    2023年08月27日

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