【感想・ネタバレ】闇の日本美術のレビュー

あらすじ

日本の古代・中世絵画には苦しみ、恐れ、悲しみ、嫉妬、絶望など、世界の暗部をのぞき込むような主題が散見される。本書では絵巻や掛幅画に描かれた闇について、仏教思想や身体観、歴史的事件などを手がかりに「地獄」「鬼と怪異」「病」「死」「断罪」「悲しき女」の各テーマに分けて、よみといていく。日本人は生老病死をどうとらえ、どう描いてきたのか。暗闇からの日本美術入門。

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Posted by ブクログ

古代中世の美術作品から当時の“闇”の背景を見つめる。
悲しい・辛い・苦しい出来事を見つめ飲み込むために生み出された考え方が積もり積もって、仏教世界は編まれたのだなとしみじみ。祈りの前には闇があった。
日曜美術館で書籍を知り、「病」と「鬼」の章が読みたくて購入したけど、すべての章がおもしろかった。
ピローグが特に好き。平家納経に込められた祈りの、情の部分が自分の中でクリアになった気がする。

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2020年05月21日

Posted by ブクログ

美術、説話を通じて恐れと向かい合う人間の弱さと強さを感じた。
引用されている絵画の多くが白黒で小さく、作者の意図する詳細部分がわかりにくいかったのが残念。
新書版の弱点ではあるが。

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2023年08月27日

Posted by ブクログ

地獄草子や餓鬼草子や、粉川寺縁起絵巻、九相図などを通して、老いや病、死や断罪を日本美術がいかに描いてきたかを論じる一冊。詞書等は原文を(活字で)提示した後、現代語訳をつけ、簡潔でわかりやすい文章だった。

惜しむらくは新書版という制約上、掲載されている絵画資料が小さいこと。別途図版等と照らし合わせながら読むと一層楽しいのだろうと思った。

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2019年03月09日

Posted by ブクログ

主に平安期の美術品を、地獄や病、死といった観点から取り上げている一冊。連載をまとめたものだそうです。
テーマはとても魅力的なのですが、内容は…うーん…学術的に寄りすぎているというか…。勝手な思い違いをしていたようです。

テーマがマイナス方面ということもあり、宗教のえげつない方針がばんばん取り上げられていて、苦笑いが浮かびました。今はどういう解釈になっているんだろう?

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2018年11月15日

Posted by ブクログ

日本の古代・中世絵画に描かれた“闇”という主題。
仏教思想・死生観等を通して、読み解いてゆく。
闇に覆われた時代。夜の闇は深く、輝く灯りは庶民にはほど遠い。
闇に潜む・・・地獄、鬼と怪異、病、死、断罪等が描かれた絵巻や
草紙等は、どのような背景で生まれたのか。
何故、詳細に描かれたのか。
それは、前世・現世・未来・来世の姿に、行いと信仰が大事と、
視覚で表現されています。
高い身分の人々・・・天皇、将軍等と仏教との関わりも。
戦乱の世を生きた後白河法皇が如何にして数種の絵巻を
作成させたのか、なぜ煌びやかな平家納経は生まれたのか、
歴代の足利将軍と融通念仏の関係は・・・等々、
絵巻等の成立過程は興味深いものでした。
でも、仏教の基礎知識は読むのに必要かも。ちと難解でした。
・・・特に、往生要集!

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
プロローグ 闇
第1章   地獄
第2章   鬼と怪異
第3章   病
第4章   死
第5章   断罪
第6章   悲しき女
エピローグ 光ある方へ

<内容>
中世の絵巻物や絵解きなどを、「闇」という視点から解いていったもの。怖いというよりは、信仰心を見る感じであるが、エピローグで、「平家納経」が全盛期ではなく、1164年に厳島神社に奉納された話を聞き、著者の言うように「繁栄への祈願」というよりも、「多くの武者を滅ぼしたことへの滅罪」という言葉に、納得をした。

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2018年09月23日

Posted by ブクログ

書名だけでは興味を惹かれずにいたところ、お能でおなじみのテーマを扱っている、ときいたので。古代中世の人々が何を恐れていたのか、仏教の考え方とともにわかりやすく説明されている。ところどころ論理展開についていけなかったけど、それは読み手のわたしにベースの知識がないせいだろう。入門書として読むには良いと思う。

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2018年09月16日

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