山本聡美のレビュー一覧

  • 増補カラー版 九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史

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    以下の箇所を中心に読んだ。

    序 九相図の一五〇〇年
    第一章 九相図とは何か
    第二章 九相図の源流──西域・中国から古代日本まで
    第三章 中世文学と死体
    第四章 「九相図巻」をよむ──中世九相図の傑作(一)
    第六章 「九相詩絵巻」をよむ──漢詩・和歌と九相図の融合
    第七章 江戸の出開帳と九相図
    第八章 現代によみがえる九相図
    おわりに
    文庫版あとがき


    大河ドラマ「べらぼう」で、「愛した女性が亡くなり腐っていく様を目にしながらも、彼女の“美しい姿”を描き続ける喜多川歌麿」というシーンがあり、あまりにもつらくて最高だったのだが、そのシーンで九相図を思い出したので積読棚から引っ張り出してきた。

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    2025年11月24日
  • 増補カラー版 九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史

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    何度も手にとってようやく、購入しました。
    東洋には、死体が腐乱して白骨となるまでを9つの相で表す、九相図という絵画がある。
    これは、死体の変化と僧侶の修行の段階を表した九相感と重ね合わせたとある。僧は人が変わりゆくのを見て、修業に励むのである
    シルクロードの石窟にも書かれた九相図は、日本に伝来して、鎌倉仏教と結びつき、凄惨な主題であるにもかかわら、その絵は圧倒的な美しさをたたえてた。
    九州国立博物館に伝えられた、九相図に対して、詞書(ことばがき)も、外題(げだい)もなく、箱書きのみから、その手がかりを探ることからはじまる。

    先ず絵巻には、出所となるものがなにも書いていない。過去に修繕された形

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    2023年10月09日
  • 増補カラー版 九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史

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    仏教における過去の日本の女性たちの立場が九相図で朽ちていくのがほぼ女性であることと結びついているといったあたりは、なるほどと思った。絵画としての九相図が持つ意味は、時代と共に日本的価値観や文化的な発展と融合しつつ少しづつ変わりながら、長く繋がれていったのが九相図なんだなと。

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    2025年08月12日
  • 闇の日本美術

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    古代中世の美術作品から当時の“闇”の背景を見つめる。
    悲しい・辛い・苦しい出来事を見つめ飲み込むために生み出された考え方が積もり積もって、仏教世界は編まれたのだなとしみじみ。祈りの前には闇があった。
    日曜美術館で書籍を知り、「病」と「鬼」の章が読みたくて購入したけど、すべての章がおもしろかった。
    エピローグが特に好き。平家納経に込められた祈りの、情の部分が自分の中でクリアになった気がする。

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    2020年05月21日
  • 闇の日本美術

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    美術、説話を通じて恐れと向かい合う人間の弱さと強さを感じた。
    引用されている絵画の多くが白黒で小さく、作者の意図する詳細部分がわかりにくいかったのが残念。
    新書版の弱点ではあるが。

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    2023年08月27日
  • 闇の日本美術

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    地獄草子や餓鬼草子や、粉川寺縁起絵巻、九相図などを通して、老いや病、死や断罪を日本美術がいかに描いてきたかを論じる一冊。詞書等は原文を(活字で)提示した後、現代語訳をつけ、簡潔でわかりやすい文章だった。

    惜しむらくは新書版という制約上、掲載されている絵画資料が小さいこと。別途図版等と照らし合わせながら読むと一層楽しいのだろうと思った。

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    2019年03月09日
  • 闇の日本美術

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    主に平安期の美術品を、地獄や病、死といった観点から取り上げている一冊。連載をまとめたものだそうです。
    テーマはとても魅力的なのですが、内容は…うーん…学術的に寄りすぎているというか…。勝手な思い違いをしていたようです。

    テーマがマイナス方面ということもあり、宗教のえげつない方針がばんばん取り上げられていて、苦笑いが浮かびました。今はどういう解釈になっているんだろう?

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    2018年11月15日
  • 闇の日本美術

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    日本の古代・中世絵画に描かれた“闇”という主題。
    仏教思想・死生観等を通して、読み解いてゆく。
    闇に覆われた時代。夜の闇は深く、輝く灯りは庶民にはほど遠い。
    闇に潜む・・・地獄、鬼と怪異、病、死、断罪等が描かれた絵巻や
    草紙等は、どのような背景で生まれたのか。
    何故、詳細に描かれたのか。
    それは、前世・現世・未来・来世の姿に、行いと信仰が大事と、
    視覚で表現されています。
    高い身分の人々・・・天皇、将軍等と仏教との関わりも。
    戦乱の世を生きた後白河法皇が如何にして数種の絵巻を
    作成させたのか、なぜ煌びやかな平家納経は生まれたのか、
    歴代の足利将軍と融通念仏の関係は・・・等々、
    絵巻等の成立過程

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    2018年10月14日
  • 闇の日本美術

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    <目次>
    プロローグ 闇
    第1章   地獄
    第2章   鬼と怪異
    第3章   病
    第4章   死
    第5章   断罪
    第6章   悲しき女
    エピローグ 光ある方へ

    <内容>
    中世の絵巻物や絵解きなどを、「闇」という視点から解いていったもの。怖いというよりは、信仰心を見る感じであるが、エピローグで、「平家納経」が全盛期ではなく、1164年に厳島神社に奉納された話を聞き、著者の言うように「繁栄への祈願」というよりも、「多くの武者を滅ぼしたことへの滅罪」という言葉に、納得をした。

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    2018年09月23日
  • 闇の日本美術

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    書名だけでは興味を惹かれずにいたところ、お能でおなじみのテーマを扱っている、ときいたので。古代中世の人々が何を恐れていたのか、仏教の考え方とともにわかりやすく説明されている。ところどころ論理展開についていけなかったけど、それは読み手のわたしにベースの知識がないせいだろう。入門書として読むには良いと思う。

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    2018年09月16日