左近司祥子の作品一覧
「左近司祥子」の「初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方」「哲学するネコ 文学部哲学科教授と25匹のネコの物語(小学館文庫)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「左近司祥子」の「初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方」「哲学するネコ 文学部哲学科教授と25匹のネコの物語(小学館文庫)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
ビジネス・実用
小説・文芸
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
西洋哲学のはじまりはソクラテスにある。その哲学の方向を決定づけたとも言えるプラトンの思想とは何だったのか。それを知るにはプラトンの対話篇『ソクラテスの弁明』を紐解くことが求められよう。しかしいきなり『ソクラテスの弁明』を紐解こうとしても、どうしてこれを読まなければいけないのかというその前提あるいはとっかかりが必要な読者もいるのではないだろうか。本書『初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方』はそのようなひとのための本である。
キャッチーなタイトルと装丁に包まれた本書はわかりやすいイラストが多く載せられていて、まじめに哲学を勉強しようと思う読者を逆に遠ざけてしまうかもしれない。しかし本書の特徴は実に丁寧なアリストテレスとプラトンの主著の読解にある。プラトンの『ソクラテスの弁明』『国家』、アリストテレスの『形而上学』『ニコマコス倫理学』を具体的に読み解いていく中で、ギリシャ哲学の誕生を始め、徳とは何か、魂とは何か、正義とは何か、幸福とは何かといった主題が読者に寄り添う仕方で明らかにされていくのである。しかも単に紹介するだけでなく、ソクラテスがプラトン以外の人々にどのように語られたのかや、プラトンとアリストテレスのそれぞれの議論の進め方そのものを丁寧に掘り下げ、その違いを明示していることが印象的である。
西洋哲学史を勉強し始めると哲学のはじまりはタレスであると説かれる。それが原理的な思考のはじまりであるからそう書かれるのであるが、どうしてそれを哲学のはじまりとするのかということから説き起こし、ギリシャ哲学から中世ヨーロッパへと移行していく期間を扱う本書は、主著の読解を通した古代哲学史とも言える。
イラストの多い啓蒙書はどうしても叙述に奥行きを欠き、痒いところに手が届かない思いをしたことのある読者もいるかもしれない。しかし本書の読解は、どうしてプラトンがそのような発想をしたのか、アリストテレスがこのように議論を進めたことにはどんな意味があるのかを丁寧に紹介してくれるので、本書を読んだ読者は自然と彼らの主著そのものを読んでみようかなと思うに違いない。哲学が過去の哲学者との終わりなき対話であるだけでなく、今を生きる私たちの生を揺さぶる力を持っていることを知らされるであろう。
ギリシャ哲学の基本的な主題を押さえていく本書はそこから哲学史を学ぼうとする読者にうってつけの本である。哲学に興味のあるすべての読者に薦めたい一冊である。
Posted by ブクログ
哲学って何だろう。左近司祥子氏の『哲学のことば』はそう思った人にぜひ手に取ってほしい一冊である。本書は以前にも紹介したことのある同著者編の『西洋哲学の10冊』の姉妹本とも言える本である。専門的な哲学書を読むことの意味を様々な角度から問いかける『西洋哲学の10冊』に対して、本書は哲学の根本問題へと地に足の着いた問いの積み重ねによって分け入り、哲学の深みに誘う小さな本である。
哲学と聞くと難しい。そう思ってしまう読者の意表を突くかのように、本書は誰しもが小さい頃に抱きながらも素通りしてしまうような問いを取り上げていく。ぱらぱらと本書をめくる読者はエッセイ風の体裁も相まって、これはいったいどんな本なのだろうと思うかもしれない。しかし本書を最初からじっくり読み始める読者は、それぞれに引用される哲学書からの言葉の一つひとつを、素朴な問いの積み重ねを通してその深みを実に生き生きと掬い上げていることに気が付くであろう。ごくごく単純で素朴な問いから始まったはずなのに哲学的諸問題の深みへと導かれ、難解な哲学書と呼ばれる書物がひょっとしたら私たちの人生の問いに答えてくれるもの、あるいは一緒に考えてくれる同伴者になり得るのではないかと気が付かせてくれる。
哲学に答えはない。ただそこに問いがあるだけである。しかし、一度哲学的問いを潜り抜けた人は必ず少し世界が違って見えていることだろう。人生にとって大切なものは何か、私たちは何を基準に生きているのか、そもそも生きるとはどういうことなのか。私たちが人間であることを巡る問いかけは、常に時代を超えて根本問題であり続けている。そうした人類の歴史に残され多くの人々に読まれてきた書物が哲学書と呼ばれている。そうした私たち一人ひとりの生き方を左右するかもしれない哲学書に触れることは、必ずしもわかりやすい幸福を約束しないかもしれない。あるいは時に哲学的問いに触れることで確固としていたものががらがらと崩れ去り、くらくらする人もいるかもしれない。しかし、確固としたものを見定めるために為されてきた、人目には言葉遊びに見えてしまうかもしれない言葉を巡る省察の積み重ねは、よりよく世界を捉えることの積み重ねにほかならず、哲学書とはそうした営みの結晶であることを本書は知らせてくれるのである。むしろかつて哲学書を開いて読んではみたけど「ほんとにそうなの?」と思った読者こそ本書を手に取って、一緒に考えてほしい。そう思わせてくれる本である。
Posted by ブクログ
岩波ジュニア新書だけあって、書かれている目次からも本当に基本的な疑問から入っていく感じが大人にももちろんいい。
「死を考える 自殺を考える」に関してはとても本質的な、ごまかしのない話がされている。本当に悩んでいる青少年がこの本を取った時に自分で考えられるように書いてあるなと感じた。
子供向けのようでいて、実は自分で調べて哲学の本、しかも原典に当たれるようになっているところがすごい。子供たちの自由な学びを助ける内容。こういうのは大人にとってもうれしい。
哲学を小難しく話すのではなく、著者の視点から、力を持った言葉で語られているのがとてもよい。大人にもお薦め。