【感想・ネタバレ】初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方のレビュー

あらすじ

「幸せ」を大切にした古代ギリシャの哲学者たち。ソクラテス、プラトン、アリストテレス……偉大なる論客たちの多彩豊富な哲学語を巧みに整理し、著名なエピソードを取りあげてわかりやすく解説。複雑に絡み合う思考が、すんなり頭に入ります。
さらに、タイトルは知っているけれど、ほとんどの人が読んだことがない『ソクラテスの弁明』から、ぶ厚い、なおかつ難解な『国家』、『ニコマコス倫理学』まで、読まずに人生を終わるなんてもったいない名著、絶対に押さえたい名作の数々は、“一体どんな本なのか”も解明! これであなたはもうギリシャ哲学通!

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Posted by ブクログ

 西洋哲学のはじまりはソクラテスにある。その哲学の方向を決定づけたとも言えるプラトンの思想とは何だったのか。それを知るにはプラトンの対話篇『ソクラテスの弁明』を紐解くことが求められよう。しかしいきなり『ソクラテスの弁明』を紐解こうとしても、どうしてこれを読まなければいけないのかというその前提あるいはとっかかりが必要な読者もいるのではないだろうか。本書『初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方』はそのようなひとのための本である。
 キャッチーなタイトルと装丁に包まれた本書はわかりやすいイラストが多く載せられていて、まじめに哲学を勉強しようと思う読者を逆に遠ざけてしまうかもしれない。しかし本書の特徴は実に丁寧なアリストテレスとプラトンの主著の読解にある。プラトンの『ソクラテスの弁明』『国家』、アリストテレスの『形而上学』『ニコマコス倫理学』を具体的に読み解いていく中で、ギリシャ哲学の誕生を始め、徳とは何か、魂とは何か、正義とは何か、幸福とは何かといった主題が読者に寄り添う仕方で明らかにされていくのである。しかも単に紹介するだけでなく、ソクラテスがプラトン以外の人々にどのように語られたのかや、プラトンとアリストテレスのそれぞれの議論の進め方そのものを丁寧に掘り下げ、その違いを明示していることが印象的である。
 西洋哲学史を勉強し始めると哲学のはじまりはタレスであると説かれる。それが原理的な思考のはじまりであるからそう書かれるのであるが、どうしてそれを哲学のはじまりとするのかということから説き起こし、ギリシャ哲学から中世ヨーロッパへと移行していく期間を扱う本書は、主著の読解を通した古代哲学史とも言える。
 イラストの多い啓蒙書はどうしても叙述に奥行きを欠き、痒いところに手が届かない思いをしたことのある読者もいるかもしれない。しかし本書の読解は、どうしてプラトンがそのような発想をしたのか、アリストテレスがこのように議論を進めたことにはどんな意味があるのかを丁寧に紹介してくれるので、本書を読んだ読者は自然と彼らの主著そのものを読んでみようかなと思うに違いない。哲学が過去の哲学者との終わりなき対話であるだけでなく、今を生きる私たちの生を揺さぶる力を持っていることを知らされるであろう。
 ギリシャ哲学の基本的な主題を押さえていく本書はそこから哲学史を学ぼうとする読者にうってつけの本である。哲学に興味のあるすべての読者に薦めたい一冊である。

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2026年04月05日

Posted by ブクログ

著者の考えに引っ張られるような気もしたが、入門書としてとてもわかりやすく、いい一冊だと思う。足りない部分は、これから他の本も読んで補っていきたい。

友人から「なぜ私だけが苦しむのか: 現代のヨブ記」の感想を聞いていたため(わたしは未読)、「神は人間を愛している」「なのになぜ人間たちを救ってくれないのか?」というのは、かなりキリスト教的な考えであり、ギリシャ哲学では「神は人間に対して何もしないし、むしろいい加減な神託さえします」というあたりが興味深かった。

ギリシャ哲学の勉強が終わったら、ギリシャ神話や聖書についても学びたい。

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2021年05月23日

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