エドワード・D・ホックの作品一覧
「エドワード・D・ホック」の「大鴉殺人事件」「怪盗ニック全仕事」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
「泣いても笑ってもこれが最後」と訳・解説の木村二郎さんの言うとおり、『怪盗ニック全仕事』シリーズ完結。怪盗ニックの活躍する短編は全て読んでしまったということになる。寂しいけど、文庫全六巻と手頃な達成感は嬉しい。そして最高に面白かった!
六巻には一九九七〜二〇〇七年までの発表作品が収録されている。「この二十一世紀に…」というような台詞もあるし、ニックもサンドラもインターネットを使う。麻薬やダイヤではなく「マイクロチップ」が価値を持ったりもする。ただ、「インターネットで調べたのさ」とお爺さん(?)ニックが自慢げに言う様子から見ると、作者のホックさんもそっち方面が得意とは思われず、情報収集が多少しやすくなった程度の変化であり、シリーズ全体を通して大きく価値観が変わるようなことは起きていない。そこは安心して読める。
この短編集は東京創元社が独自に編んだものなので、作者が“ニック最終巻”のつもりで書いたわけではないのだが、老いてきたニック、自分なりの社会参加を深めているグロリア、終盤にかけて登場回数がどんどん増えていくサンドラ・パリス、一応顔を見せてくれるチャーリー・ウェストンといったレギュラー陣それぞれの経年変化の様子がどれも好ましく、最終話も、最終話と意図して書かれたのかどうか不明だが、最後の会話などなんだかとても良い終わり方だった。
『グロリアの赤いコートを盗め』では、グロリアとニックの出会いが明かされる。グロリアから見た初対面時のニックの印象(容姿)が描かれるなどこの上なく興味深いエピソードだが、この上ない矛盾を孕んでいる!
※以下はネタバレというか、事件の真相やトリックの話はしませんが、ニックとグロリアについて余計なこと知りたくない方はご注意を。
この矛盾こそ、五巻の解説で木村二郎さんが予告していた話か〜、と思ってワクワクして解説を読んだが、解説ではグロリアの姓の矛盾しか指摘されていなかった(私はそっちは気づかなかった)。そうじゃなくて、「〜そういうわけで私は恋人の仕事が政府関係の極秘任務だと知りながら一緒に暮らしているのよ」的なまとめになっているけど、いやいや、一巻の頃はグロリアはニックの仕事を「工場用地を探す仕事」と聞かされていましたよ!「政府関係の(何かスパイめいた)仕事」という認識も、途中でグロリアが勝手に勘違いして得たものだったはず。まあよくある矛盾として流していいしニックシリーズへの愛は変わらないが、グロリアに対する秘密がだんだんなくなっていく過程を楽しんでいた私としては、グロリア別人説を考察したくなるくらい、引っかかるものがある。
Posted by ブクログ
一九六六年に始まった怪盗ニックシリーズだが、第五巻は一九八九〜一九九六年に書かれた作品が収められている。もう私も生きていた時代だと思うとぐっと身近に感じる。
時は確実に流れており、ニックは「初老」、グロリアは「中年」と表現されていた。「初老」の方はサンドラからのユーモア混じりの言及(「魅力的な初老」)なので、間に受けていいのかわからない。サンドラもニックから「相変わらず魅力的」と評されているが、年齢に言及するならば「中年」だろう。懐かしのチャーリー・ウェストン警部補との再会シーンでは、年をとった彼のことをニックははじめ誰だかわからない。ウェストンの方は「おれはすぐにお前に気付いたぞ」。片思い。
各話、お決まりのパターンは崩さないものの、色々工夫が凝らされていてこの巻もとても楽しかった。
・まさかのあの人やあの人やあの人が依頼人になる。
・グロリアを「この世で唯一の女性だ」とか言った舌の根も乾かぬうちにサンドラを助けにいってかなり親しげにしているし。
・グロリアが就職した。
・ニックの活躍が小説化され掲載されている《エラリー・クイーン・ミステリー・マガジン》が本屋にあるという描写があった。
・ニックのお父さんの話がちょこっと。
・解説の、第六巻への引きが強い。
次は最終巻。寂しい〜。