作品一覧

ユーザーレビュー

  • 大江健三郎論~怪物作家の「本当ノ事」~

    Posted by ブクログ

    新書として、大江の主要著作の紹介と"既存"のイメージに対する疑義とをバランスよくまとめた好著。面白い。ただ、私は著者と同世代だが、大江を読み始めたのはこの十年内外で、時事的な評論などは読んでいない。そういう私も含めた現代の読者にはかつての様な戦後民主主義の守護神とか、障碍児を持つ親という優しいイメージとかを必ずしても持たれていないのではないかと思う。読んでいれば天皇に対する屈託や性衝動についての強迫観念は誰でもわかると思う。それを除いても読まれ得る何かを大江文学は持っているように思う。その何かが知りたい。

    0
    2024年02月19日
  • 大江健三郎論~怪物作家の「本当ノ事」~

    Posted by ブクログ

    大江健三郎の作品は初期の作品を読んだだけで、数ある作品の中、中期、後期と呼ばれる作品は読んだことはないのに、この「大江健三郎論」なんて作品を読んでしまい、攻略本を読んでしまうようでちょっともったいないという気持ちが強かった。

    作品が後期へ進むにつれて徐々に分かりづらくなってくるという印象を受ける大江作品、これからの人生でどれだけ読めるか分からないけれども、できるだけ多く読んでみたい気持ちはある。

    改めてだが、大江健三郎の作品を読んでいないのに、この新書をチョイスしてしまったのは、大江健三郎の作品を読みたいという気持ちがかなり勝っているということだ。それには評判もさることながら、実績が素

    0
    2025年09月30日
  • 大江健三郎論~怪物作家の「本当ノ事」~

    Posted by ブクログ

    筆者は白百合女子大学教授で、日本近代文学を専門とする学者。本書は、文学の学者が書いた大江健三郎論。
    大江健三郎の作品を、おおよそ年代順に読み進めながら、個々の作品の解説を施し、しかし、全体的なテーマは、「いったい大江健三郎とは何者だったのでしょう」「大江は戦後民主主義を代表する知識人という枠には決して収まらない存在であり、大江文学の真の魅力は、そういう評価とは別の場所、むしろそれを裏切る場所にあるのかもしれない」と筆者が触れているように、大江健三郎という作家の真の姿に迫っていくことだ。
    私は高校生・大学生の頃に大江健三郎の初期の作品を読んでいた。それから数十年が経ち、最近、初期の頃の作品から概

    0
    2024年04月20日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!