西岡研介の作品一覧
「西岡研介」の「事件・事故で振り返る平成全史 令和を生きるために知りたいこと【特別版】」「スキャンダルを追え! 『噂の眞相』トップ屋稼業」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
★第2弾だからこその厚み★前作「マングローブ」を読んでいないので重複する部分がどの程度あるのかは知らない。JR東労組から3万人超が脱退した異常事態の裏側を描き、同じ総連系ながら、触れられることの少なかったJR北海道労組の今も残るいびつさを描く。あとがきの最後にあったように、北海道の話をメインに書きたかったが、読者が限られるので東の現在進行形のトピックを先に持ってきたのだろう。東の話を書いた本は多いが北海道は少ないだけに貴重だ。取材の蓄積と歴史観に強みがある。
東については、経営側が労政転換をして組合をつぶしにかかったといっても、そんなに組合員が一致団結して脱退するわけではない。法令違反かもしれないが、経営側が現場の管理職などを動かしたのだろう。これまでの組合の歪さはおそらく前著でも触れており、逆に経営側から見たこの段階での具体的な戦術が見えるとさらに興味深い。また、現状ではほとんどの社員が組合未加入という事態になった。日本の大手企業としては異例のこの状況がどうなるのかは、労使関係の壮大な実験にもなる。
北海道の組合の歴史はきちんとたどった書物がないだけに読みごたえがある。ハシにいるからこそ、革マルがより先鋭になるのだろう。内部資料の積み重ねもあり取材は手厚い。社長経験者2人が自死したのは本当に異例の事態だ。中島氏については組合問題とささやかれてはいた。36協定違反を契機に組合が経営側ののませようとした、国鉄時代に逆戻りする「現場協議の復活」の意味の大きさが、詳細な資料と歴史的な経緯をきちんとひも解いてくれたことで理解できた。
ところで、西側をおさえる連合系の組合なら問題は生じていないのだろうか。
いずれにも共通するが、(ほぼ)会ったことがない人を糾弾している例も多い。もちろん努力をしても会えなかったのだろう。対立する側の取材が中心となるなかで、まだ生きている人について書ききるのは、取材の厚みへの自信なのか割り切りなのか。胆力がいる。
Posted by ブクログ
JRではいまだにこんな歪な労使関係がまかり通っているのかと、唖然としながら読みました。
わが(筆者は北海道出身、在住)JR北海道では、経営側が労組の言いなり。
たとえば、乗務員らのアルコール検知器を使っての検査も組合側の抵抗(!)で義務化できず、実現したのはようやく2012年になってからです。
ちなみにこの労組とは、JR北海道労組。
組合員が他の組合に属する組合員と口を利くことを許さず、結婚式にも出席するのはご法度というのですから、あまりにも偏狭です。
世間の常識とかけ離れた組合と言わざるを得ません。
もっとも、歪んだ労政を転換しようとした経営者もいます。
しかし、労組の抵抗に遭い挫折。
しかも、わずか3年の間に2人の社長(1人は元社長)が自殺に追い込まれました。
ぜんたい、社長(1人は元社長)が2人も立て続けに自殺する会社なんてどこにあるでしょうか。
百歩譲って、JR社内だけのことならまだいいです。
所詮はコップの中の水の話。
しかし、これがこと「乗客の安全」に関わってくるとすれば到底、看過できません。
実際、JR北海道では近年、石勝線で特急「スーパーおおぞら14号」の脱線火災事故をはじめ、数々の事故や重大事案が続きました。
この背景に、歪な労使関係を背景とした杜撰な安全管理体制があったことを、本書は告発しています。
さらに、JR北海道では、組合員によるATS(自動列車停止装置)破壊、覚せい剤を使用しながらの運転などが明らかとなりました。
開いた口が塞がりません。
JR東日本も相当に異常です。
特に、JR東労組を脱退した組合員に対する嫌がらせには、怒りを通り越してあきれ果てました。
この元組合員が制服に着替え、電車に乗務しようとすると、JR東労組の組合員たちが運転席に一番近い車両に乗り込み、「この野郎、こんなところでブレーキをかけやがって」「ヘタクソ、危ねーな」などとヤジを飛ばすのです(一部は現在もyoutubeにアップされています)。
さらに、この元組合員の証言によると、対向車線から来た電車にハイビームで2、3回パッシングされたり(危険な行為!)、駅構内の信号機を隠されたりしたこともあったそうです。
乗客の安全などそっちのけ、大事なのは組合のメンツや保身なのでしょう。
実は、自分は新聞記者として札幌市の小・中学校における国旗掲揚・国歌斉唱の問題を約1年間にわたり取材した経験があります。
国旗掲揚・国歌斉唱の是非はこの際脇に置いておくとして、その過程で何度も教職員組合を取材しました。
実は、「子供のことなんて考えていないのではないか」と疑問に思うことがしばしばありました。
組合の論理が、真に大切な子供たちに優先するのですね。
JR北海道労組やJR東日本労組、さらにはその上部団体であるJR総連には、極左暴力集団で殺人をも厭わない革マル派が相当浸透しており、本書の大半はそこに割かれています。
かなり複雑に入り組んでいるので理解するのはなかなか難しいですが、公的企業であり人命を何よりも優先すべきJRに、こんな危険な人物たちが入り込んでいると考えると慄然とします。
労働者たちが安心して働くためにも組合という存在は必要ですが、不健全な労使関係はただちに是正し、真に「お客様のためのJR」に生まれ変わってほしいと切に願います。
読む価値あり!
Posted by ブクログ
極左暴力集団として中核派と並ぶ核マル派が実はJR東日本及びJR北海道を支配している-2007年に週刊現代の連載で、核マル派とJR東日本の関係性を暴き、高い注目を集めた著者による続編ルポルタージュが本作である。
本作ではJR東日本という会社がどのように核マル派に支配されたのか(その問いは逆に同じ本州のJRであるJR東海とJR西日本ではなぜ支配されなかったのかという問いと表裏の関係にある)を、JR民営化からの歴史を踏まえて明らかにする。そして、2018年になって3.5万人ものJR東日本の組合員が労働組合に嫌気が差し脱退・労組未加入の状況に置かれているという日本の労働史上、前代未聞と呼んでも良い事態が発生し、核マル派の影響からようやく脱した現状が示される。
一方、JR東日本とは対照的なのがJR北海道である。2名の社長経験者が自殺している同社においては、未だに核マル派の影響下にあり、まともな労使関係が築けていない状況にあることが、これまた明らかにされる。
大企業で働いた経験のある人間であれば、多くの大企業労組が腐りきっているということは、肌感覚で持っている人も多いと思う。それは私自身も同様であり、既に役目を終えつつある大企業労組というものの見直しが必要なのではないか。
”労働貴族”といった昭和の悪しき風習は、彼らを断頭台に送り込むことで終わらせるべきだ。