伊藤礼の作品一覧
「伊藤礼」の「伊藤整氏 こいぶみ往来」「伊藤整日記」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
執筆時80歳ちかいおじいちゃんである筆者の、12坪の庭先農場で奮闘する日常が飄々とユーモラスに語られるエッセイです。
とても好みの作品でした。文体も、著者の目線や感受性もすごく刺さりました。エッセイの好みとしてはストライクです。家庭菜園に興味が1ミリもなくても楽しめること請け合いです。
目線は至極フラットです。きっとそもそもの素質もあるのかもしれませんが、作物や畑の環境、そして季節の移り変わりに気を配る農業を楽しむ筆者は、万物を「観察」の目線でフラットに眺めているのかもしれません。自然や他人にはもちろん、自分に対してもフラット。カッコつけが一切ありません。野菜を、やってくる害虫を、ホームセンターの店員を、著者の家人を、すべてフラットに観察しています。
文体は「だ・である調」ですが重さはなく、柔らかさを感じつつ丁寧な描写。
しかし描写が律儀なほど丁寧すぎて、それが独特なユーモアを生んでいます。そしてユーモアが80ちかい爺さんのそれじゃなく、20代の方でも「ふふ」と笑いながら読めるのではないかと思うほどです。
話が横道にそれたままになって文字数が尽きたり(連載であったため)、自分でもそれを自覚して無理やり話を戻したりと、半ばお家芸のような「果てしない余談」がまた面白い。自分に素直すぎて余談にページを割いてしまう可愛らしさ。シビンの使用法、一目惚れで買った耕運機を買ったまま使わない理由さがし、シオカラトンボの交尾などの笑える余談に大いに楽しませてもらいました。
伊藤礼さんをこの作品で初めて知りましたが、いま一番友達になりたいおじいちゃんです。
Posted by ブクログ
ご本人はこういう紹介をされるのは、嫌だろうが、どうしてもこんな前振りがついてしまう。「著者の伊藤礼氏は、 "チャタレイ夫人の恋人"を翻訳した、伊藤整氏のご子息で」と。
そんなこととは別で、この伊藤礼氏は、学校を定年退職する直前に、自転車通勤を思い立ち、以来、多くの自転車を購入しては試し、それこそ友人たちと本中を自転車で走り回っている。文庫版のあとがきでは七十七歳、いわゆる喜寿で、あいかわらずスポーツ自転車を乗り回している。
私も、自転車愛好家ではあるが、果たして。伊藤氏の年齢まで、走れるか。また知的好奇心をもと続けることができるのか。
長距離を走るこころ構えとして、LONG SLOW DISTANCE(LSD)という単語があるが、まさに伊藤氏はそれを実践している。ただ、よくコケるところをみるとSLOWではないらしいが。
人生の一つの大目標、尊敬する大先輩のこの著書は、自転車愛好家は必読であると思う。