≪2021年9月号≫月刊 書店員すず木

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≪2021年9月号≫月刊 書店員すず木
この道10年のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ1作品を勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!

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今月の書店員すず木賞

少年・青年マンガ

      • ダンダダン 1

        ダンダダン 1

        幽霊肯定派の女子校生・綾瀬桃と、同級生の怪奇現象オタク・オカルト君。互いに否定するUFOと怪異を信じさせるため、桃はUFOスポットの病院廃墟へ、オカルト君は心霊スポットのトンネルへ行くのだが…。運命の恋が始まる!? オカルティック怪奇バトル開幕!

        今一番アツい、オカルティック怪奇バトル開幕!

        好きな男性のタイプは俳優 高倉健な幽霊肯定派の女子校生・綾瀬桃と、同級生の怪奇現象オタク・オカルン(本名 高倉健)。
        互いに否定するUFOと怪異を信じさせるため、桃はUFOスポットの病院廃墟へ、オカルンは心霊スポットのトンネルへ行くことに。
        なんとそこで桃は宇宙人と、オカルンは心霊のターボばばあと遭遇!!
        宇宙人に襲われ必死になった桃は超能力を開花!そして、オカルンは…ターボばばあに呪われてしまい…。

        ジャンプ+で連載が開始されてすぐに注目された今作ですが、注目すべき3つのポイントがあります。
        1つ目は、画力と物語の勢いです!
        キャラの生き生きとした表情や迫力のあるアクションシーンなど絵の勢いが凄く、物語のテンポもよく、とにかく“マンガ力”が高くてびっくりしました。
        描いているのは龍幸伸先生。
        なんと『チェンソーマン』の藤本タツキ先生や『地獄楽』の賀来ゆうじ先生の下でアシスタントをされていたそうなので、納得の実力です。

        2つ目は、名作へのリスペクトです。
        セルポ星人の真の姿が『ウルトラマン』に登場するダダを彷彿としたり、ターボババアに呪われたオカルンが壁に激突するシーンでは大友克洋先生の『童夢』の名シーンを感じさせたりと、色々な作品のオマージュが散りばめられており、龍幸伸先生のリスペクト心が窺えます。

        3つ目は、桃とオカルンの人間性に注目いただきたいです。
        自分のことを育ててくれたお婆ちゃんの事が大好きな桃ですが、素直になれずに反発してしまった事を悔いていたり、友達ができないからこそ宇宙人となら友達になれるのでは…と思ったオカルンなど、思春期に抱く悩みや思いにまっすぐ向かっていく姿は等身大の少年・少女感があります。
        人間性から外れてしまいますが、太眉女子好きは必見です。桃の可愛さにハマること間違いなしです!

        1話目を読んだ時にアダルト要素が強いのかな?と思ったのですが、ご安心ください。
        少年マンガらしい展開でバランスのよいラブコメになっております。

        幽霊、都市伝説、UFO、超能力、バトルアクション…様々な要素を織り込み、化物VS化物という究極バトルを繰り広げながらも、しっかりとしたラブコメを描いている今作。
        今一番アツい『ダンダダン』の勢いに振り落とされないようにご注意ください!

少女・女性マンガ

      • 海が走るエンドロール 1

        海が走るエンドロール 1

        65歳を過ぎ夫と死別し、数十年ぶりに映画館を訪れたうみ子。そこには、人生を変える衝撃的な出来事が待っていた。海(カイ)という映像専攻の美大生に出会い、うみ子は気づく。自分は「映画が撮りたい側」の人間なのだと……。心を騒ぎ立てる波に誘われ、65歳、映画の海へとダイブする!!

        死ぬ気で好きなことをやろうと思ったことはありますか?

        夫と死別したうみ子。
        ぽっかり空いた心を持て余す日々を過ごしていましたが、ある日訪れた映画館で映像専攻の美大生・海(カイ)と運命的な出会いをします。
        海から「映画を作りたい側の人間ではないのか」と言われ、ハっとするうみ子。
        更に、興味本位で訪れた美大のオープンキャンパスで海の映像作品を見たことで、制作意欲が沸き上がります。
        戸惑いながらも新しい一歩を踏み出したうみ子の先に待ち受けているものとは…。
        誰しも新しい環境に踏み出すには勇気がいります。
        若気の至りで踏み出せることもあるかもしれませんが、年齢を重ねれば重ねるほど多角的に物事を考えリスクを回避したくなり、踏み出すことを躊躇してしまう人も多くなるのではないでしょうか。
        それなのに65歳を過ぎ美大生になったうみ子の行動力は、読む人に勇気を与えてくれます。

        作中のセリフで
        「作る人と作らない人の境界線てなんだろう
        船を出すかどうか…だと思う
        その船が最初からクルーザーの人もイカダの人もいて
        誰でも船は出せる」
        というのがあります。

        作中、タイミングが訪れた表現として、うみ子の足元に波が押し寄せる描写があるのですが、“船を出す”というセリフに結び付く重要なキーとなっています。
        瞬間的意欲というのは誰しも感じることがありますが、そこから先に進むかどうかはとても難しい。
        セリフの通り船を出せる状況でも、天候が悪いから、海図が読めないから、船の性能に不安があるから…など、色々な理由をつくりがち。
        それでも漕ぎ出しさえすれば海に出ることができるのだと、うみ子さんが体現してくれています。
        どのタイミングで波が現れるのか、是非注目してください。

        また、晴れて大学生となったうみ子ですが、若者からの悪意ない高齢者扱いに気が引けてしまい自信を持つことができません。
        うみ子は、映画を撮ろうとする姿勢を学生から「老後の趣味の自由時間」と言われてしまい、モヤりつつもついつい自分のことを茶化してしまいます。
        ですがその後、海との会話で何気ない一言が取り返せない後悔になることを思い出すのです。
        真剣に取り組むのが何故か気恥ずかしくなり、自分を茶化してしまうことは年齢を問わずあるのではないでしょうか。
        そういった少しずつ摩耗していく日常にうみ子はどう立ち向かっていくのか、うみ子がどういった映画を撮るのか…続きが楽しみです!

        うみ子を見ていると、自分もまだ何かできるような気になります。
        新しい環境に踏み出す勇気をくれる作品です。

こちらもオススメ!!

惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!

書店員すず木

2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。

最近の書店員すず木:イチジクを買って熟すのを待ち、いざ食べようとしたら半分くらいが腐っていました…。果物の食べるタイミングを見計らうのが苦手です…。(アボカドもタイミングが解らない…)

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