≪2022年11月号≫月刊 書店員すず木

≪2022年11月号≫月刊 書店員すず木
この道10年以上のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ1作品を勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!

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今月の書店員すず木賞

少年・青年マンガ

      • ルリドラゴン 1

        ルリドラゴン 1

        高校生の青木ルリは、ある朝目覚めると突然頭にツノが生えていた! 実は父親が龍だから遺伝かも?と母に言われたルリは戸惑いながらも、とりあえず学校へ…。見慣れないツノに興味津々なクラスメイト達に加えさらにもう一つのドラゴン体質が明らかに!? いつもの毎日にちょっとした異変――。ドラゴンガール・ルリ...

        人とドラゴンのハーフな女子高生の日常系マンガ!?今までにない新しさを感じる物語!!

        女子高生の青木ルリ、ある朝起きたら頭にツノが生えていた!?
        そこで突然母親から明かされたのは、実の父が龍(ドラゴン)であるということ。
        自分が人とドラゴンのハーフだと知ったルリは、驚くものの意外とすんなり状況を受け入れて…!?
        人とドラゴンのハーフとしての日常がスタートする。
        この物語を読んで感じたのは「新しい!」ということ。
        女子高生が人とドラゴンのハーフという設定も斬新ですが、この物語の新しさは特殊な状況を本人だけではなく周りも受け入れるという寛容さにあると思います。

        もし主人公がルリでなかったならば、ある日突然ツノが生えたら慌てふためくし、ツノを隠して生活しようとするだろうし、突然陥った状況に苦悩し悲観するかもしれません。
        まして火を噴いて友達を傷つけてしまったりしたら、自己嫌悪に陥り親を恨んで…といった感じでダークサイドに落ちてしまうかも。

        ですがこの物語の主人公ルリは、ツノが生えても「生えてしまったものはしょうがない」とツノを隠すことなくいつも通り学校へ行くし、友達から聞かれたら「父親がドラゴンらしくてさ…」とまるで他人事のようにカミングアウト。火を噴いた後は流石に学校に行くことを躊躇いますが、自分の人生を悲観したりはせず火を吐く練習に勤しんだりと現状を受け入れた上でどうするかを考えるのです。

        またルリの周りにいる人たちが彼女のことを気色悪がったり拒絶したりせず、ルリの状況をありのまま受け入れ今まで通りに接しているところも「新しい!」と思ったポイントです。
        それは多様性が叫ばれる現代のあるべき姿を表しているのではないでしょうか。

        絵柄も可愛く、ルリの豊かな表情が魅力的!!
        コマ割りも読みやすく、普段マンガを読まない方でも楽しめるのではないでしょうか。

        普通と違う女子高生がゆるっと日常を送る平和な物語。
        心が辛くなった時に癒しを求めて読むのもアリかもしれません。
        元気をもらえて、前向きになれる気がします!!
        今後どういったドラゴンの能力が開花し、どう向き合っていくのか、ルリの成長にも注目です。

少女・女性マンガ

      • 朝子のムジカ!!【電子単行本】 1

        朝子のムジカ!!【電子単行本】 1

        値引き

        夫と離婚して故郷に帰ってきた五來朝子は、やりたいことを見失い、どこか居心地の悪い日々。昔、一生懸命打ち込んだ吹奏楽部時代のトロンボーンを見つけ、河原でひとり吹き始める。ある日、中学の吹奏楽部時代からの友人であるおーちゃん、マキに離婚の報告をしていたところ、やけに自分を睨む無愛想な青年・千尋に出...

        自分が大切にしたいことって一体何だろう?と考えさせられる40歳女性の人生やりなおしドラマ。

        離婚して仕事も辞め、茨城の故郷に帰ってきた五來朝子(ごらい あさこ)、40歳。
        人生のやり直しを考えるものの、自分の選んだ道が正解だったのか迷う日々。
        学生時代一生懸命打ち込んだ吹奏楽部時代のトロンボーンを見つけ、河原でひとり吹き始めたとき、楽器を吹くのが好きだったことを思い出します。

        たまたま河原でランニングをしていた千尋から嫌味を言われるものの、毎朝練習に励んでいました。
        ピアノで音大に進みベルリンまで留学した腕を持つ千尋でしたが、家が老舗旅館・星辰館を営んでおり、彼もまた音楽という道を捨て実家を継ぐために地元に戻ってきたのでした。
        それからも何かと朝子に突っかかる千尋。
        実は、千尋が音大を目指したのは朝子の一言のお陰だったのですが、そんなことをすっかり忘れていた朝子にショックを受けたための行動だったのです。
        当時の朝子が千尋に伝えた
        「2つのことで迷ったら楽しそうなほうを選びなさい。ただし楽しいと楽は違うよ。」
        という言葉は、千尋だけでなく読者の胸にも響く言葉だと思います。
        朝子が当時のエピソードを思い出したために千尋との距離がぐっと近づきますが、今後二人の関係に変化が訪れるのか気になるところ…!!

        色々な事情により、やりたいこと・やりたかったことを手放して生活をしていることもあると思います。
        物語の中に登場する朝子の親友で同じ吹奏楽部にいたおーちゃん。彼女は地元で結婚し専業主婦をしています。彼女は義母から「専業主婦だから時間があるでしょ」と言われちょっとしたお願いごとをされるのですが、そういうことの積み重ねで家族によって勝手に予定を埋められ自分の時間を奪われているという描写があります。
        時間があるように見えて、楽器を弾く余裕なんてない…。そんなおーちゃんと同じ状況の方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。

        登場人物の背景がとてもリアルで、ほんとうにいそうなほど普通な人たちです。
        物語もいまのところドラマチックな展開というよりは地味…かもしれません。
        ですが、そのゆったり感が読んでいてとても心地よいのです。
        ゆったりとした中にドラマチックな部分が秘められており、よりリアルな人生ドラマを見ている気分がします。

        昨今、女性の人生やり直しドラマを描いた作品が増えてきている印象があります。
        ですがこの物語は、「人生はやり直せる!頑張れ!!」という強いメッセージというよりも、「やりたいことがあったらやってみたらいいよ」と優しく伝えてくれているのです。

        それぞれの事情で今がある。
        どれが正解でどれが駄目なんてことはないし、逃げても良い。
        ただ、なるべく楽しくいられるのが良いよね!というメッセージが詰まった作品です。

こちらもオススメ!!

惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!

書店員すず木

2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。

最近の書店員すず木:アニメ『チェンソーマン』始まりましたね!!私はアニメ放送に合わせてマンガ全巻読み返しました。
マンガの独特な世界をアニメでどう表現するのだろう…と思っていたのですが、凄い!!
今期一番ハマったアニメになりそうです。

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